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5項補題
five lemma
このような証明法を図式追跡と言う
diagram chasing



以下のような左R加群の図式(可換図式)を考える
2つの行が完全列

5項補題
h_1全射h_2,h_4単射ならば、h_3単射
h_5単射h_2,h_4全射ならば、h_3全射
従って、h_1,h_2,h_4,h_5同型ならば、h_3も同型である
ちなみに
①,②はそれぞれ4項補題とも呼ぶ
故に、5項補題は、2つの4項補題から得られる、と言える





①の証明
オレンジの数値は示していく順序を振っているmrsekut
オレンジのn番目は、以下では n という表記で記していくmrsekut
x\in M_3を、h_3(x)=0を満たすような元であると仮定する
このxが、x=0であることを示すことが目的mrsekut
仮定より、0=(g_3\circ h_3)(x)=(h_4\circ f_3)(x)
最初の = は仮定より言える
g_3(0)=0g_3が準同型写像であることからわかるmrsekut
2つ目の = は青の正方形の可換性より言える
h_4は単射なので、f_3(x)=0
図中 3 の部分mrsekut
つまり、x\in\mathrm{Ker}(f_3)がわかるmrsekut
すると、x\in \mathrm{Ker}(f_3)=\mathrm{Im}(f_2)より
∵完全列mrsekut
あるy\in M_2により、x=f_2(y)と書ける ... 4
すると、0=h_3(x)=h_3(f_2(y))=g_2(h_2(y))
最初の = は、仮定より
2つ目の = は、 4 より
3つ目の = 、緑の正方形の可換性より
これが、 5 , 6 mrsekut
ここで、 6 より、h_2(y)\in\mathrm{Ker}(g_2)がわかるmrsekut
すると、h_2\in\mathrm{Ker}(g_2)=\mathrm{Im}(g_1)より
∵完全列mrsekut
あるz\in N_1により、h_2(y)=g_1(z)と書ける
デジャヴュですねmrsekut
これが、 7 mrsekut
また、h_1は全射なので、
あるw\in M_1により、z=h_1(w)と書ける
すると、h_2(y)=g_1(h_1(w))=h_2(f_1(w))
1つ目の = は、 7 , 8 より
2つ目の = は、紫の可換性より
両端のh_2(y)=h_2(f_1(w)) 9 とするmrsekut
ここで、h_2は単射なので、
y=f_1(w)
従って、x=f_2(y)=f_2(f_1(w))=0
1つ目の = は、 4 より
2つ目の = は、 10 より
3つ目の = は、M_1,M_2,M_3が完全列であることより
この辺、何をやっているのかと言うとmrsekut
最初の仮定では、x\in M_3は、h_3(x)=0という条件でだけであって、xが単位元かどうかは自明ではない
そもそもそれが知りたくで証明しているmrsekut
また、このM_1\xrightarrow{f_1}M_2\xrightarrow{f_2}M_3は完全列であるので、\mathrm{Ker}(f_2)=\mathrm{Im}(f_1)であることも最初からわかっている
つまり、M_1の任意の元を、f_2\circ f_1で写すと、必ずM_3の単位元になることがわかる
そこで、色々迂回していって、f_2(f_1(w))=xであることがわかった
よって、x=0がわかる
従って、x=0なので、h_3は単射である






②の証明
オレンジの数値は示していく順序を振っているmrsekut
オレンジのn番目は、以下では n という表記で記していくmrsekut
任意のx\in N_3を取る
この任意のxに対して、x=h_3(w)となるu\in M_3の存在を示すことが目的mrsekut
h_4の全射性により、あるy\in M_4によりg_3(x)=h_4(y)と書ける
すると、0=g_4(g_3(x))=g_4(h_4(y))=h_5(f_4(y))
1つ目の = は、完全列より。
5項補題#607c43ae19827000009c2faaで言ってることだなmrsekut
2つ目の = は、 1 より
3つ目の = は、赤い正方形の可換性より
また、h_5の単射性により、f_4(y)=0
これが 2 mrsekut
よって、y\in \mathrm{Ker}(f_4)=\mathrm{Im}(f_3)なので、
あるz\in M_3より、y=f_3(z)と書ける
これが 3 mrsekut
この時、g_3(x)=h_4(y)=h_4(f_3(z))=g_3(h_3(z))
1つ目の = は、 1 より
2つ目の = は、 3 より
3つ目の = は、青い正方形の可換性より
この両端g_3(x)=g_3(h_3(z)) 4 とするmrsekut
ここ、x=h_3(z)とは言えないことに注意mrsekut
これより、g_3(x-h_3(z))=0が言える
g_3加群準同型なので、加法の演算を保存するmrsekut
g(a-b)=g(a)-g(b)
6 mrsekut
よって、x-h_3(z)\in \mathrm{Ker}(g_3)=\mathrm{Im}(g_2)なので、
あるw\in N_2により、x-h_3(z)=g_2(w)と書ける
7 mrsekut
また、h_2は全射なので、
あるv\in M_2に対して、w=h_2(v)と書ける
8 mrsekut
従って、x-h_3(z)=g_2(h_2(v))=h_3(f_2(v))
1つ目の = は、 7 , 8 より
2つ目の = は、緑の正方形の可換性より
この両端を 9 とするmrsekut
9 より、x=h_3(z+f_2(v))が得られる
従って、u:=z+f_2(v)とすれば、x=h_3(u)
従って、h_3は全射




参考