Taxation as an endgame(エンドゲームとしての徴税)
この10年間で、インターネットは(クリプトとして)価値のレイヤーを手に入れた。そして、誰もがトークンを発行することが可能になった。
そのトークンに価値がつくかは、あなた次第ではあるが
これはかつてないほどのパラダイムシフトであり、今までのインターネットではできなかったことが、クリプトという価値の流通を支えるインフラの上で、実験されている。
>情報に依存するあらゆるものが、当初のインターネットによって深く変化したように、私は、お金のインターネットが、社会における価値の移転の仕方に深い構造変化を可能にすると信じている。デジタル資産市場の大半が銀行(DeFi)やアート(NFT)に集中している一方で、私は「インターネットネイティブな仕事」や「デジタル公共財」のようなロングテールのユースケースに注目している。
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> 私は、あらゆる種類の公共財を構築し、資金を提供し、維持するために成長する公共財同盟を構想している。このような同盟は、多元的で、グローバルで、非中央集権的で、分散化された公共財の資金提供のDAOとなるだろう
> 従来のインフラは、(1)国民国家の政府によって構成され、密結合で、特定の国の市民にのみ奉仕している、(2)NGOで構成され、管理コストが大きく、一般的に大規模な寄付者に依存している。
> インターネットマネーは、このようなインフラの構築を可能にする根本的なパラダイムシフトだと私は信じている。国民国家の公共財アーキテクチャーでは対応しきれない実存的リスクがある。
> - 気候変動は、どの国にも縛られないグローバルな存立リスクである。
> - 誤報は、どの国にも属さないグローバルな存立リスクである。
> - 資金不足のデジタル・インフラは、どの国にも属さない世界的な存立リスクである。
> - 核拡散、森林伐採や汚染などの環境リスク、資源不足など、他にもたくさんある。
"Web3"は確かに短くない時間を費やし、Scamプロジェクトに翻弄されてきたかもそれない。
しかし、その中でも地に足をつけて"クリプトならでは"の実験を繰り返し、少しづつ仮説を検証していっているプロジェクトもある。 前述で引用したテキストは、
GitcoinのFounderである
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のものだ。
"分配方法"に関してはある程度検証できつつあると思う。しかし、継続的な仕組みとなると、まだまだだと思う。
そこで、「
徴税」機能があると、いろんなプロジェクトが次のフェーズに行けると思う
ほとんどのプロジェクトは機能自体は持っているけど、それを社会に実装するフェーズまでたどり着いていない
「徴税」と聞くと、多くの人は行政とかを想像すると思う。個人的な解釈として徴税は
社会契約の中に含まれていると思っていて、この機能によって社会に対して再分配が可能になる。
なぜこの文脈で社会契約について触れたかというと、クリプトという概念は通貨を発行することができて、
スマートコントラクトによる強制執行が可能で、これらはものすごく国家の仕組みと似ているし、一部であれば代替できる可能性があると思っているからだ。
私は日本でCivichatというWeb2スタートアップのGov-techを創業しました。これは、チャットボットがあなたの状況に応じて最適な公共福祉サービスをレコメンドするものです。創業」と書いたのは、失敗したからです。Civic-techプロジェクトからスタートアップとしてGov-tech企業になる道を探そうとしましたが、政府向けのサービスを販売するのはとても難しく、複雑です。
目次
まず、Ethereumエコシステムで試みられている「合意形成のプロセスをいかに効率化し、公共財に資金を供給するか」について、最新の予算分配方法を前提知識とともに紹介する。(例:
Gitcoin、
Hypercerts)
最後に、クリプトの枠を超えて次のような視点を共有したい
既存のほとんどのNPOは寄付だったり、非営利のコンサル(サービスの売買)に資金を依存している。そこで、彼らが特定のエコシステムの統治者になり、徴税機能を持ち、財源を再投資するための方法
実験はクリプトの全てだ。クリプトで最も素晴らしいことは、今までは理論だけだったものをプロジェクトとして実装できることだ。それでは始めよう!
EFのGrantsページに行くと、画像のようにプロジェクト特化の助成金(あなたのプロジェクトが、掲載されているいくつかのプロジェクトに関連していれば助成金の対象になる)も存在する。
さて、なぜ彼らが公共財を支援するインセンティブがあるのか?その問いに対して私は、「(Ethereumを含めた)Public blockchainエコシステムは国家のようなものだから」と答えている。
ここで挙げた「国家」は実際に領土を持っているかは問わず、エコシステムのひとつであり、通貨を持ち、そこに住み、働き、何かを作る市民を持っているものの例えだ。
そして、自分の住むエコシステムを越えて(市町村、都道府県、州、国家を移動するよいうに)「移動する自由」という市民の権利を持つ。
国家が「より良い公共」を提供できなければ、エコシステムから人口を減らし、税収を減らす。最終的には、税収が少ないので公共投資に行き詰まる。
>企業や国が衰退したとき、声を上げるか、撤退するか、どちらかを選ぶことができます。Voiceは基本的に内部からシステムを変えることで、Exitは新しいシステム、新しいスタートアップを作るため、あるいは時には競合他社に加わるために去ることです。 Royaltyはこれを調整することができます。あるときは自発的な愛国心であり、あるときはExitに対する意図しないロックインです。
> そして、私たちは様々な例の文脈でこれについて考えることができ、その感触を得ることができます。つまり、オープンソースの文脈における「Voice」はパッチであり、「Exit」はforkです。顧客の文脈での「Voice」は苦情フォームであり、「Exit」はビジネスを他に移すことである。会社の文脈での「Voice」は、経営改革であり、「Exit」はスタートアップを設立するために退職することです。そして、国という文脈での「Voice」は投票であり、「Exit」は移住である
> つまり、"Exit"とはメタ概念であり、代替案についてです。競争、分岐、創業、物理的な移住を包含するメタ概念です。つまり、政治に関与することなく、悪い政策が自分の生活に与える影響を減らすためのツールを人々に提供することです:平和的にオプトアウトするツールです。
今はなくなってしまった、かつては理想だと思われていた健全な、原始的な国家の例のように 重要なのは、エコシステム自体が発展することが、その国家を作る側の人たちにとってのインセンティブになることです
例え直接的にはお金を産まないもののであっても、多くの人に使われるサービス( 公共財)は、Public chainにとってエコシステムを発展させる重要なものです
とにかく、コンセプトに戻ろう。Ethereumのエコシステムは国家に似ていると述べた。国家」と聞くと、警察や軍隊、法律など、予算として税金で賄われる公共サービスを思い浮かべるだろう。
背景情報として、イーサリアムと(政府としての)イーサリアム財団が何を提供しているかを紹介したい。
ブロックチェーン(エコシステムも含む)は何を提供しているか
基本的には、大まかに2種類に分けることができる。
1. ワールドコンピューターとしての機能
2. 公共財への資金調達
これで全てだ。
>ブロックチェーンは、ブロックを販売するビジネスです。インターネット上で止められない、分散型の価値伝達のためのサービスを提供しています。
ブロックスペースを提供するのに必要なのは、そもそもブロックチェーン自体を動かすのに必要なマイナー(バリデーター)だけだ。
>Ethereumのマイニング発行報酬は1日あたり約13500ETH(約$40m)。取引手数料も同様に高く、EIP1559で燃やされていない部分は1日あたり約1500ETH(~$4.5m)で推移しています。
ブロックチェーンはブロックを販売し、そのためにマイナー/バリデーターへ報酬を支払う。
では、誰がブロックを買うのか?
例えば、Ethereum上で
DEXを作る動機は「このアプリケーションがあれば、開発コストよりも大きな利益が得られるから」という純粋な商取引的なものでもこの概念はうまく当てはめられる。
「安くブロックスペースというインフラを買い→(アプリケーションを乗っけるという文脈で)加工し→サービスを売る」、これらは普通の産業と変わらない構造であることが分かると思う。
その後、サービス利用に対して手数料を課すことが出来る
なぜこのサービスが利用されるのかというと、「
ワールドコンピューターという仕組みの上で動くFinancial System(
DEX)が既存のInstitutionよりも上手く機能すると期待されているから」だと思う
「なぜ、既存の制度構造を暗号プロジェクトで作り直すことが有効なのか」という疑問があるなら、ブロックチェーンの歴史を振り返ってみるのがいいだろう。
> 1. 2005年、ギリシャは政府と救済債権団との協議が決裂寸前となり、銀行の破綻を防ぐため、銀行口座からの引き出し額に制限を課す。
>2. 2008年、サブプライムローン問題をきっかけに、世界的な金融危機が発生。リーマン・ブラザーズが破綻し、世界中の多くの銀行や金融機関が政府による救済を必要となる。いわゆるリーマンショック。
> これらの事件は「現代の金融システムのもろさ」や「銀行やその他の金融機関が人々の資金をリスクにさらす可能性がある」ことを認識させました。
さて、上記の例でブロックチェーンが何を提供するかはご理解いただけたかと思います。
しかし、国民国家の例で述べたように、Ethereumそのものであっても、他のL1パブリックチェーンとも競合する。
パブリック・ブロックチェーンは、その性質上、パーミッションレスであり、必然的に「移動による投票」が増えることになる。以下はL1 ブロックチェーンを評価する際の観点である:
1. 技術的指標
ワールドコンピューターとしての性能。
2. 技術的特性
スケーラビリティなど。
3. エコシステムの成長指標
そもそもそのPublic Chainの中に人や財が流通しているのか
(実際には、"あるPublic Chainと他のPublic Chain間の行き来のしやすさ"みたいなものは段々と簡単になって行ってる
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)
4. エコシステムの指標
他のPublic Chainで作ったアプリケーションを移植しやすいか
この構造を、他の例に例えると分かりやすいと思う。例えば、国や地域など。
EUの言語は英語(と仮定)で、€(ユーロ)が通貨になっている。日本でいう、「都道府県を跨いで通学する」ような気軽さで国を移動する。
場所が変わると雰囲気は変わるが、言語や法律が変わらないとしたら、もっと今より移住・移民しやすくなるのが想像できると思う。
これに加えて、入国審査やビザなどもない(誰の許可も必要とせずに国・エコシステムの一員になることが可能)とすると、そのエコシステムの雰囲気が自分に合わなければ別のところに移動することがもっと簡単にできるようになる。
以上、ワールドコンピューターとしての比較ポイントについて紹介した。次に、パブリック・チェーンが解決すべき問題とは何か、公共財の資金調達である。
>1996年のサイバースペース独立宣言以来、サイファーパンクのイデオロギーと呼べるものには、未解決の重要な矛盾が存在してきた。一方では、サイファーパンクの価値観は、暗号技術を使って強制力を最小限に抑え、その時点で利用可能な主な非強制的調整メカニズムである私有財産と市場の効率と範囲を最大化することにある。
> しかし、私有財産と市場の経済論理は、繰り返される一対一の相互作用に「分解」できる活動に最適化されており、アート、ドキュメント、科学、コードが、一対多の不可逆的な相互作用を通じて生産・消費される情報圏は、その正反対である。
>このような環境には、解決すべき2つの重要な問題が内在している:
>1. 公共財に資金を提供する:コミュニティ内の広範かつ非選択的な人々にとって価値のあるプロジェクトでありながら、多くの場合ビジネスモデルを持たないもの(例えば、レイヤー1やレイヤー2のプロトコル研究、クライアント開発、文書化...)に、どのように資金を提供するのか?
> 2. プロトコルのメンテナンスとアップグレード: プロトコルのアップグレードや、プロトコルの長期的に安定していない部分(例えば、安全資産のリスト、価格オラクルソース、マルチパーティ計算キーホルダ)の定期的なメンテナンスと調整作業は、どのように合意されるのでしょうか?
基本的に、パブリック・ブロックチェーンは、公共財のための資金調達を達成する財団組織を持っており、その目的は現在の政府の機能に似ている。
DAOのコントリビューターであり、現在は台湾のデジタル庁(
TAIWANmoda)のPlurality課で働いている友人の
Mashbean
から以下の文章を引用する。彼は、伝統的な政府とWeb3の公共圏の橋渡しを積極的に行い、2つの世界の接点を作ろうと努力している。
彼のコメントに全面的に同意する。
そして、財団チームがどのように活動しているのか、その一例を紹介したいと思います。イーサリアム財団だ。
この記事では、EFについての紹介と、補助金配分の決定方法について触れている。
さて、前章で「Public Goods are Good」ということをある程度理解していただいたところで、公共財に投資するインセンティブは既存の国家と大差ない。
しかし、どのように公共財を成長させるか、それが問題だ。
公共財への助成
公共財の資金調達の難しさ
公共財(つまり、排他的でないすべての人に恩恵をもたらす財)は、民間市場を通じて資金を供給するのが難しい。誰もその利益を享受することができないため、誰もが「ただ乗り」しようとし、共有される利益の公正な取り分よりも少ないものを供給することになる。これは経済学の古典的な問題である。
政府や慈善団体のような中央集権的な資金提供者は、しばしば介入してこの市場の失敗を是正しようとする。しかし、こうした資金提供者自身が問題を引き起こすこともある。具体的には、コミュニティが自由に選択できないようなものに資金を提供することがある。
分配メカニズムの正統性
公共財は良いものだが、資金源が公共財にプラスの影響を与えるのは、それが合法的に分配される場合に限られる。
>正統性(Legitimacy)とは、集団によって異なる意味を持つ。私自身にとっては、そのメカニズムが信頼に足る中立的なもの(Credible Neutrality)であり、他の利害関係者に取り込まれることなく、公共財に最も価値をもたらす人々に一貫して資金を振り向けることができることを意味する。
Gitcoinは先ほど述べた「公共財への資金分配」プロジェクトの一つであり、どの商品に対してどれだけの資金を分配するかを決定する「
「きめ方」の論理」を大きく改善した。
いわゆる「補助金の分配」を次のレベルに引き上げたという意味で、イーサリアムのエコシステムにおいて注目すべきプロジェクトだと思います。
> 公共財に対する資金不足は、公共政策、特に地方自治体にとって基本的な問題である。「コモンズの悲劇」ということわざがあるが、これは公共財に対する他人の貢献に「ただ乗り」するインセンティブを個人が自然に持っているために起こる。
> Vitalik Buterin、Zoë Hitzig、Glen Weylによる2018年の論文は、慈善活動の "マッチングファンド "を再設計することで、この問題に対処する新しいメカニズムデザイン、Quadratic Financeを提案した。これは、より多くの人々から寄付を受けたプロジェクトや活動に対して、より大きなマッチングを規定することで、マッチング・ファンドの有用性を最適化するものである。
> すなわち、ある提案に対する資金総額は、各個人からの寄付金の平方根を合計し、それを二乗したものになる。次のセクションでは、この公式を順を追って説明する。クアドラティック・ファイナンスの背景にある研究は、個人の私的インセンティブと公共財を最適に整合させることを示している。したがって、QFは「情報問題」(政府は各公共財をどれだけ提供すべきかわからない)と「フリーライダー問題」(個人は公共財への拠出を過小にし、他人の拠出にただ乗りする)の両方を実際に解決する。
> マッチング・ファンドは、公共財のための貴重な資金調達手段であり、この問題を解決するのに役立つ。要するに、マッチング・ファンドは、中央集権的な資金提供者と分散的な資金提供者との協力を可能にする。中央の資金提供者(マッチング・ ファンドを提供する側)と小規模の資金提供者(「マッチング」 ファンドを提供する側)は、それぞれが資金を出し合い、共有され た目標のために互いにインセンティブを与え合う。
> マッチング・ファンドには、いくつかの明確な利点がある:
>- 何に資金を提供すべきかについての分散化された情報を活用する。
> - 慈善団体や政府の支出をより効率的かつ迅速にする。
> - 中心的な資金提供者や小口寄付者に、より大きなインセンティ ブを与えることで、資金調達の最大化に貢献する。
Gitcoinについて
そして、この仕組みをイーサリアムのエコシステム上に実装したGitcoinは、おおよそ以下のような流れで公共財プロジェクトに資金を分配します:
1. 公共財プロジェクトは、Gitcoin Grant Roundと呼ばれる定期的な助成金分配ラウンドにリストアップされます。
2. イーサリアムエコシステムの市民であれば、誰でも好きなプロジェクトに寄付することができる。
3. 寄付先と寄付額に応じて、マッチング・プール(助成金予算)から各プロジェクトに資金が分配される。
マッチングプールと呼ばれる助成金予算から各プロジェクトにポイントが分配され、市民からの寄付数によって寄付者の好みの強さを示すことができるため、従来の分配方法よりも民主的な意思決定が可能になる。
Gitcoinはこの仕組みを通じて、Ethereumのエコシステム内のプロジェクトに$50M以上を分配している。
UNICEFと協力して、世界中のNPOと実験を行っている。(つまり、クリプトを超えた!!!)。
私の見解では、Gitcoinはこれまでに誕生した暗号プロジェクトの中で先導的なものです。彼らは、理論的には複雑なQuadratic Fundingについて実験と教育を試みてきましたが、暗号空間でどのように機能するかを証明しています。
しかし、Gitcoin助成金ラウンドの予算源(QFのマッチング・プール資金)は現在、寄付金に依存しています。イーサリアム財団からの資金、成長したプロジェクト、そしてコミュニティ・メンバーからの資金です。
以下はGitcoin Grantsの資金源のタイムラインです:
第1ラウンドから第6ラウンドまでは、イーサリアム財団(そして時には小規模な寄付者)によって資金が提供されました。
ラウンド11+は、(これまでの資金調達メカニズムに加えて)
Moonshot BotsのようなNFTによって資金調達される。 Gitcoinは、コミュニティから180万ドルの資金調達を達成した
NFTs Fund (Moonshot Bots)からの資金調達を試みました。
しかし、少なくとも最近は更新されていない。そして、ウェブサイトは閉鎖された。
Gitcoinの創設者である
Kevin Owocki
氏は、あるプロジェクトがGitcoin助成金に資金を提供する動機について、以下のように書いている:
イーサリアムのエコシステム構築の支援
特定のカテゴリー(Covid、気候変動、crypto for change、メディア、インフラ技術、ダップ技術)の支援
このOwocki氏の投稿には、いくつかの洞察に満ちたメモがあります。
>残る疑問は、もちろん、こうしたインセンティブがどの程度持続可能なのかということだ。
> 利他的で広報的なインセンティブは、このような規模の寄付が一度だけ殺到するのに十分な大きさしかないのだろうか、それとももっと持続可能なものになり得るのだろうか?
> 今後、例えば年間200万ドルから300万ドルが二次的資金マッチングに費やされることを確実に期待できるだろうか?もしそうであれば、イーサリアムのエコシステムにおける公共財の資金調達の多様化と民主化にとって素晴らしいニュースとなるだろう。
Gitcoinの試みは素晴らしい。しかし、正直なところ、資金源はまだ持続可能ではない。まだ完成していない。
Hypercertsは、あるプロジェクトが残したインパクトを追跡するためのデータフレームワークです。
プロジェクトオーナーはHypercertsをNFTとして発行することができ、「作業範囲」「時間軸」「貢献者」「Hypercertsを所有することによって得られる権利」という情報を明示的に示すことが出来きます。しかし、それ自体に強制力はないことには留意が必要です。
このプロジェクトは、上記で紹介したGitcoinのような特定の資金分配の方法ではなく、インパクトを評価するフレームワークです。
数あるFunding Mechanismと競合するのではなくて、データレイヤーとして存在する。
「もし、あなたがポジティブなインパクトを生み出した後、その働きに対して遡及的にに資金を得ることが合理的に期待できるのであれば、確率的な将来のキャッシュフローを期待して、仕事をすることができるのです。」とあるように、インパクト追跡が可能になることにより、Retroactive Fundingのような仕組みでの助成金の分配が活性するという仮説が立てられています。
Hypercertsの登場人物
ActorsType | Subtype | Description |
Contributors | | People or organizations who do the work |
Funders | Prospective funders | People or organizations who fund work before it is done |
| Retrospective funders | People or organizations who fund work after it is done |
Evaluators | Scouts | People or organizations who evaluate the potential impact of work before it is done |
| Auditors | People or organizations who evaluate the impact of work after it is done |
Beneficiaries | | People or objects that are impacted by the work |
2.
Prospective fundersは、投機目的である事が多いと思う。しかし、この公共財プロジェクトである場合の「IPO(Exit)」は、Retrospective fundersによる資金分配になる。
登場人物間のやり取り
1. ContributorsがHypercertsをmint(作成)する
4. 調達したお金を元にプロジェクトを進める
例: (詳しくは後述するが)「渋谷区がSIBを実施しようとして、コンサルに評価を委託する」みたいな関係性だと思う
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6. プロジェクトがRetrospective fundersから資金を受け取る
7. (Prospective fundersに遡及的に報酬が支払われる)
仕事をした人は、仕事の貢献に応じて参加Hypercertがもらえる
作業範囲とかが書いてる
フリクショナルなのでマージしたり分割したりできるっぽい
Hypercertsを初めて見た時に感じたのは、「
SIB(ソーシャルインパクトボンド)」とかなり近い構造だなという印象。
「公共財が産んだインパクトを測定し、そこに対して報酬を分配する」という形は、一部ではあるが現実の政府でも実験されている。
SIBの仕組み自体は、行政から民間へ委託する際の手法の一つ。事業の成果を評価して可視化し、それに評価結果と支払を紐づけた、
成果連動型民間委託契約の一つ。
従来の公共調達では、行政が事業者と業務委託契約を締結し、成果に関わらず、サービスを実施した事に対して、決まった金額が支払われていた。
しかし、SIBは事業者が提供するサービスの成果に応じて、行政が報酬を支払う。
ある程度結果が出るのに時間がかかるので、その間に民間の金融機関・投資家等がプロジェクトに投資する
世界初のSIBとして2010年のイギリスのピーターバラで再犯防止分野の実験が行われた。
それ以降、2020年時点でこれまでにイギリス・アメリカを中心に海外で138件組成され、総事業規模は$4.4Mとなっている。
なお、日本政府は2019年度の『
成長戦略実行計画』、『経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)』等において、成果連動型民間委託契約方式の推進を謳っている
ここでは、遡及的に資金を助成する方法として、HypercertsとSIBを紹介しましたが、前者については
Retrospective fundersがどう動くかに依存すること。後者については、徴税機構を持っている自治体が取り組んでいるのにも関わらず、少なくとも日本では実際のユースケースは見られませんでした。
財源(徴税が必要)
主に、公共財のための資金・予算分配の技術として、GitcoinとHypercertsの2つを紹介した。彼らは暗号の中でも暗号の外でも、このような興味深い実験を試みている。
これまで紹介したGitcoinとHypercertsは、「資金があることを前提に、いかに納得のいく形で資金を分配するか」を模索しているプロジェクトだ。
しかし、その財源は持続可能なのだろうか。したがって、公共財に持続的に資金を供給するためには課税が必要である。
以上を踏まえた上で、ブロックチェーン時代の公共財に最も有望と思われる(経常性+深い流動性+正当性のある)財源を探ってみよう。
既存の国家では、徴税は警察や軍隊による強制に基づいて達成されていた。では、イーサリアムのエコシステムはどのように公共財をサポートできるのだろうか?
ひとつは、次のツイートで
shogochiai
が言及しているように、売上に対する課税と同じ方法である:
長期的な目標は、L2/アプリ(ロールアップMEVオークションなど)からのTX手数料が直接マッチングプールに供給されるようにすること
ここで、どのような仕組みに徴税するべきなのかという解像度が上がったと思います。
> Optimism L2ネットワークの創設者は、彼らのネットワークの初期シーケンサー手数料の100%をイーサリアムネットワークの公益のために寄付することを誓約しました。
> これらは「公的」な発行ではなく「私的」な利益であるため、この誓約はOptimismの創設者の裁量で行われ、彼らのネットワーク設計に組み込まれていることに注意してください。これにより、EIP 1559 / EIP 1890の発行に伴う正当性の問題の一部を回避することができます。
> Optimismはシーケンサーフィーで1日10万ドルを稼いでいるので、これは公共財に資金を供給する有望な方法である。これは、資金調達の井戸であり、定期的な資金源であるという我々の基準の両方を満たすものである。
> OptimismはL2であるため、イーサリアムネットワークのようなセキュリティの前提はない(ガバナンスにおいて信頼できる中立性を保つ必要もない)。L2は実験の島であり、公共財のための資金調達をプロトコル層で行うことができる。
RetroPGFとは、
過去の実績をもとに、すでに貢献しているプロジェクトに資金を与えようという資金分配の考え方です >1. DAOを創設し、すべてのOptimismの収益をこのDAOに回す。
> 収益の原資は、Optimismの「シーケンサー」作業による利益である。
> 2. DAOは、蓄積された資金をどの公共財(オープンソースプロジェクト)に分配するかを決定する。
> DAOは、そのプロジェクトが将来役に立つかどうかではなく、すでに貢献したかどうかで結果を評価する。DAOの名称が「リザルト・オラクル」と表現されるのはこのためだ。
> DAOは当初、技術に精通した20~50人程度で構成される。
> すでに貢献度の高いプロジェクトの中から選ぶ」という点は重要で、将来役に立つかどうかよりも、すでに貢献度の高いものを選んだ方が自明なので、DAO内でのコンセンサスが得られやすいからだ。
> 3. 資金提供先が決まったら、以下のような複数の資金提供方法がある。
> 上の2つは単純な資金調達で、資金(ETH)をアドレスに送るだけです。
> 3つのトークンを使ってプロジェクトに資金を提供する場合、分配される資金を使ってプロジェクト・トークンの買い注文を作成します。これにより価格に下限が設定され(図の青い線)、プロジェクト・トークンの保有者はプロジェクト・トークンを売却して収益化し、価値を押し上げることができます。
この仕組みは、GitcoinやHypercertsのような公共財の資金調達プロジェクトとは異なり、ORUのシーケンシングで得た利益を資金分配の原資としている。
つまり、パブリックチェーンの利益は公共財に分配される。
Optimismは、サービスの利用から税金を徴収し、公共財に分配する構造を模索しており、今回紹介した他のサービスよりも持続可能な構造に近いと考えている。
最適なRetroPGFがある世界では、富の分配も証明可能なレベルになっているはず 私は、自分の収益のX%が、自分が恩恵を受けた公共財の等価な価値の支払いに充てられることに全く問題ない
これを機能させるには、完全な自動化と貢献の証明に向かう必要がある。
次の徴税メカニズムを紹介しよう。
具体的には以下の通りである、
>ある都市に、ファーマーズ・マーケットを開くための100店舗分のスペースがあるとする。しかし、そのマーケットで商品を販売したい地元の食品業者が300人いるとする。この場合、出店できる事業者をどのように選べばよいのだろうか。
> パーシャル・コモン・オーナーシップの場合、出店スペースは100店舗の中から最高入札者に競り落とされる。そして、ライセンス保持者は「ライセンスを保持するため」に年会費を支払う。この手数料の額は、自己査定額/評価額のn%である。そして、ここに部分的共有のマジックが登場する。他の事業者がライセンス保持者の自己査定額以上の金額を支払った場合、元の保持者はその金額で譲渡しなければならない。
1. 一定数のライセンスを販売する。ダッチ・オークションダッチ・オークション(すなわち、価格の降順)またはチャネル・オークション を利用することを推奨する。チャネル・オークションでは、下限価格があり、徐々に上昇しチャネル・オークションでは、徐々に上昇する下限価格と、徐々に下降する上限価格がある。買い手は、少なくとも下限価格での購入を約束する、しかし、いつでも上限価格で直接購入することができる)。
2. 保有者は自己評価額をオンライン・プラットフォームに掲載し、年会費(例えば20%)を支払う。前述したように、適切な年会費率は、ゼロと回転率(例えば20%)の間ゼロと回転率(つまり、より価値の高い買い手の間のどこかになる。)
3. 資産をより高く評価する購入者は、オンライン市場でいつでもその資産を購入することができる。
一見すると普通のオークションだが、自己申告を行うことで「商品を最も活用できる人」に割り当てられる。自己申告額のn%は「税金」として共同国庫に入る。
>私たちは土地はコモンズ(共有地)であるべきだと考えているのです。ですから、私たちが徴収した税金は、公共財に再投資されるべきなのです。だから、すべての人が参加できるような形で、この技術に拍車をかけることができるという考えは、本当にエキサイティングなことなんです。税金でUBIのようなものを提供することができるのですから。
> そんなレベルじゃないだろう。それにシビル耐性とかいろいろあって、ネットでUBIをやるのは厳しい。でも、排除できない、誰でも使える公共財に投資すれば、それはみんなのUBIみたいなものでしょう?より多くの人が使えるソフトウェアを作り、より多くの豊かさを生み出すことができれば、それは良いことであり、エコシステムの前進を助けることができるのです。ですから、ハーバーガー税や部分的な共有権、その料金が公共物やコモンズに対してどのような効果をもたらすのか、そのフィードバックループにとても興味があるのです。
このメカニズムは、特に土地や芸術作品のような、数に限りがあり(競争力があり)、またそれらが属するネットワークから価値を得る財に適用できそうだ。
公共財の分類、PCOを実施するための問題点:
記事を公開した
以下、下書き
P
しかし、次のレベルに行くためには持続可能性のある形で財源を確保することが必要だ
R
Ethereumエコシステムにおける統治技術の実験として以下の例がある
どの財に対してどれぐらいの資金を助成するべきかという「決め方の倫理」を大きく改善したものに、Gitcoinがある
Quadratic Fundingというメカニズムを使って、Public Goodsとしてのプロジェクトに対して助成金を分配する
分配する予算である「Matching Pool」はEthereum Foundationの他、いくつかのクリプトプロジェクトからの寄付によって賄われていた
長期的な目標は、L2/アプリ(ロールアップMEVオークションなど)からのTX手数料が直接マッチングプールに供給されるようにすることです。
公共財に対していち早くキュレーションするインセンティブをつけたHypercerts
似たようなシステムに、行政が公共財に対して資金を分配する方法の1つとして
PFI・
SIBとかがあった
彼らは徴税をする機能がある
消費税
累進課税
...
しかし、しかし、次のレベルに行くためには持続可能性のある形で財源を確保することが必要だ
実際、Gitcoinは寄付に依存している。
Hypercertsに似たものは、現実の政府で
PFI・
SIBとかがあった、でも彼らは徴税機構を持っている。
E
具体的に、自ら徴税機構を持つことができるシステムの例
これは、別にQFのMatching Poolの財源だけの話ではない。全ての公共財をどう維持していくかの問題になる。
Ethereum自体の話
私たちは土地はコモンズ(共有地)であるべきだと考えているのです。ですから、私たちが徴収した税金は、公共財に再投資されるべきなのです。だから、すべての人が参加できるような形で、この技術に拍車をかけることができるという考えは、本当にエキサイティングなことなんです。税金でUBIのようなものを提供することができるのですから。 そんなレベルじゃないだろう。それにシビル耐性とかいろいろあって、ネットでUBIをやるのは厳しい。でも、排除できない、誰でも使える公共財に投資すれば、それはみんなのUBIみたいなものでしょう?より多くの人が使えるソフトウェアを作り、より多くの豊かさを生み出すことができれば、それは良いことであり、エコシステムの前進を助けることができるのです。ですから、ハーバーガー税や部分的な共有権、その料金が公共物やコモンズに対してどのような効果をもたらすのか、そのフィードバックループにとても興味があるのです。 どんな財がPCOを適応するのに向いているか
ネットワークから価値を得ている財に対して活用することができる
P
PCO→QFは割と現実的だなと感じる
他には、
Teaみたいなものを使ってOSSに持続可能性を持たせるとかも。
通貨を発行する(価値があるかはさておき)
今まで国家が通貨を発行していて、国家という"公共"・エコシステム内ではその通貨しか使えなかった。
しかし、ブロックチェーンは価値が載るインターネットとして誕生し、誰もがトークンを発行できるようになったことで、誰もがエコシステムになることができる
これはもちろんL1 Public ChainであるEthereum自体もそうだし、プロジェクトトークンを発行するDAOもこれに該当する
DAO自体がエコシステムになり、そこに対して貢献する人に対してプロジェクトトークンを分配することができる
そのプロジェクトトークンが価値があるかどうかは、そのエコシステムに貢献する人が決めるのであって、価格がつくかどうかは個別具体の話なのであまり関係ない
しかし、最終的には、トークンの値段の裏付けは、(愚直に)「どんな価値を出しているか」というのに依存すると思う
EthereumのようなPublic Blockchainはもちろん、その上に乗るアプリケーション自身もトークンを発行することができる。
ブロックチェーンは、ブロックを販売するビジネスです。インターネット上で止められない、分散型の価値伝達のためのサービスを提供しています。
例えば、Ethereum上でDEXを作る動機は「このアプリケーションがあれば、開発コストよりも大きな利益が得られるから」という純粋な商取引的なものでもこの概念はうまく当てはめられる。
「安くブロックスペースというインフラを買い→(アプリケーションを乗っけるという文脈で)加工し→サービスを売る」、普通の産業と変わらない構造。
その後、サービス利用に対して手数料を課すことが出来る
なぜこのサービスが利用されるのかというと、「
ワールドコンピューターという仕組みの上で動くFinancial System(
DEX)が既存のInstitutionよりも上手く機能すると期待されているから」だと思う
> 1. 2005年、ギリシャは政府と救済債権団との協議が決裂寸前となり、銀行の破綻を防ぐため、銀行口座からの引き出し額に制限を課す。
>2. 2008年、サブプライムローン問題をきっかけに、世界的な金融危機が発生。リーマン・ブラザーズが破綻し、世界中の多くの銀行や金融機関が政府による救済を必要となる。いわゆるリーマンショック。
> これらの事件は「現代の金融システムのもろさ」や「銀行やその他の金融機関が人々の資金をリスクにさらす可能性がある」ことを認識させました。
性質上パーミッションレスなPublic Chainは、他のPublic Chainと競合する
技術的指標
ワールドコンピューターとしての性能。
技術的特性
スケーラビリティなど。
エコシステムの成長指標
そもそもそのPublic Chainの中に人や財が流通しているのか
(実際には、"あるPublic Chainと他のPublic Chain間の行き来のしやすさ"みたいなものは段々と簡単になって行ってる

)
エコシステムの指標
他のPublic Chainで作ったアプリケーションを移植しやすいか
この構造を、他の例に例えると分かりやすいと思う。例えば、国や地域など。
EUの言語は英語(と仮定)で、€(ユーロ)が通貨になっている。日本でいう、「都道府県を跨いで通学する」ような気軽さで国を移動する。
場所が変わると雰囲気は変わるが、言語や法律が変わらないとしたら、もっと今より移住・移民しやすくなるのが想像できると思う。
これに加えて、入国審査やビザなどもない(誰の許可も必要とせずに国・エコシステムの一員になることが可能)とすると、そのエコシステムの雰囲気が自分に合わなければ別のところに移動することがもっと簡単にできるようになる。
実際、「エコシステム間の移動のコスト(流動性)が極度に低い」というのは、いろんな分野で言及されている
それぞれのエコシステムとして目指したい未来を定義し伝えることが出来ているかが、"より良い移民"を惹きつける起因になる。
私財と公共財を分ける
ここから発展して、課税の方法を考えてみる。
国家・エコシステムとしてより大きくなっていくためには、移民を受け入れ・選ばれ続けるものになる必要がある。そのため、既存の国家は
税金という名前をつけて混雑するものに
課税・
徴税をして、
公共財に対して助成金を分配している。
これは、別にQFのMatching Poolの財源だけの話ではない。全ての公共財をどう維持していくかの問題になる。