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ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書)


目次
>●はじめに――ネガティブ・ケイパビリティとの出会い
> 精神医学の限界
> 心揺さぶられた論文
>
> 【第一章】キーツの「ネガティブ・ケイパビリティ」への旅
> ・キーツはどこで死んだのか! ?
> ・燃えるような愛の手紙
> ・キーツの短い生涯
> ・文学と医師への道
> ・経済的困窮の中で「受身的能力」へ/ほか
>
> 【第二章】精神科医ビオンの再発見
> ・精神分析におけるネガティブ・ケイパビリティの重要性
> ・ビオンの生涯
>第一次世界大戦の戦列へ
>精神分析医になる決意
> ・ベケットの治療から発見したこと/ほか
>
> 【第三章】分かりたがる脳
> ・セラピー犬、心くんの「分かる」仕組み
> ・マニュアルに慣れた脳とは?
> ・画一的思考が遅らせたピロリ菌の発見
> ・分かりたがる脳は、音楽と絵画にとまどう
> ・簡単に答えられない謎と問い
>
> 【第四章】ネガティブ・ケイパビリティと医療
> ・医学教育で重視されるポジティブ・ケイパビリティ
>終末期医療で医師には何が必要か
> ・ネガティブ・ケイパビリティを持つ精神科医はどうするか
> ・小児科医ウィニコットの「ホールディング」(抱える)
> ・人の病の最良の薬は人である
>
> 【第五章】身の上相談とネガティブ・ケイパビリティ
> ・日々の診療所から
> ・八人の受診者
> ・身の上相談に必要なネガティブ・ケイパビリティ
>
> 【第六章】希望する脳と伝統治療師
> ・明るい未来を希望する能力
> ・楽観的希望の医学的効用
>山下清を育んだもの
> ・ネガティブ・ケイパビリティを持つ伝統治療師
>精神療法家はメディシンマンの後継者/ほか
>
> 【第七章】創造行為とネガティブ・ケイパビリティ
>精神医学から探る創造行為
>芸術家の認知様式
>小説家は宙吊りに耐える
>詩人と精神科医の共通点
>
> 【第八章】シェイクスピア紫式部
> ・キーツが見たシェイクスピアのネガティブ・ケイパビリティ
> ・理解と不理解の微妙な暗闇
> ・紫式部の生涯
> ・『源氏物語』の尋常ならざる筋書き
> ・源氏を取り巻く万華鏡のような女性たち/ほか
>
> 【第九章】教育とネガティブ・ケイパビリティ
> ・現代教育が養成するポジティブ・ケイパビリティ
> ・学習速度の差は自然
> ・解決できない問題に向かうために
> ・研究に必要な「運・鈍・根」
> ・不登校の子が発揮するネガティブ・ケイパビリティ/ほか
>
> 【第十章】寛容とネガティブ・ケイパビリティ
> ・ギャンブル症者自助グループが目ざす「寛容」
>エラスムスが説いた「寛容」
>ラブレー
> ・つつましやかな、目に見え難い考え/ほか
>
> ●おわりに――再び共感について
> 共感の成熟に寄り添うネガティブ・ケイパビリティ
> 共感豊かな子どもの手紙

言及SB

この言葉を作り出した詩人のジョン・キーツは、ウィリアム・シェイクスピアがネガティブ・ケイパビリティを有していたと書いている
精神医学の分野では、治療への答えが無いことが多い
答えが無いことを受け入れて、宙吊りの状態に耐えられる力が必要とされる
ただ話を聞いてあげることだけで、患者の力になることがある
性急に答えを求めない、忍耐力を持つこと
答えを教えないのは、相手の好奇心を殺さないため
すぐにそれらしい答えを得られる環境では、答えを導こうとする力が養われにくい
苦労の接種効果が働かない
p89 セネガルの言い伝え
>人の病の最良の薬は人である。

一章まるまる、プラシーボ効果の凄さについて解説している
小説家は宙吊りに耐える
鬼平犯科帳の作者の池波正太郎氏のエピソード
ある回の最後に主人公を襲った者の正体は、書いた時点では作者も見当がついていなかった
ウィリアム・シェイクスピア紫式部ネガティブ・ケイパビリティのある偉大な芸術家として紙面を割いて紹介している
現代の教育では、答えがある課題を早く早く解けと急かされるように能力を鍛えられる
実世界では、答えが無い事柄も多いのに
早くできることばかり目指していては、わかりやすいものばかり咀嚼すれば、噛み砕く力は弱くなる
p194
>研究に必要なのは「運・鈍・根」

不寛容であると批判されているドナルド・トランプ元大統領