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ステータス・ゲームの心理学: なぜ人は他者より優位に立ちたいのか

目次
>ベン・ガンの人生とその後
> まわりとうまくやりつつ、人より成功する
> シンボルにあふれた想像世界
> ルールにあふれた想像世界
> 三つのゲーム
> 名声ゲーム
> 支配ゲーム
> 男性、誇大妄想、屈辱―ゲームオーバーの三大要素
> ルール変更はプレーヤーを変える
> ステータスのスロットマシン
>欠陥
> 人類共通の偏見
> 夢を生きる
> 服従、革命、文明化
> プレーヤーがつくられるまで
> 夢を信じる
> ゴールドラッシュ!
> 戦争ゲーム
> いとこたちの専制
> 被害者、戦士、魔女
> 夢で道迷う
> ステータス製造機
> 破滅へーーステータス製造機、第二部ーー
> 地獄から脱する道
> 新自由主義の自己像
> 公平と不公平
> 夢と夢がぶつかるとき
> 共産主義の寓話
> ステータス・ゲームの七つのルール

「人生はステータスゲームである」と主張する本
人生ゲームを攻略したいのであれば、ステータスの上げ下げを意識しなさいと啓蒙する
基本的には進化心理学がベースとなっている
p8
>人間の脳が進化によって設計されてきた数百年というあいだ、わたしたちは周囲に比べて自分のステータスが高ければ高いほど、生き残って繁殖する可能性を最大化することができた。
「周囲との比較」でステータスを高く保つことが生き残りに重要だったからこそ、脳は周囲との差を意識してしまう

>ベン・ガンの人生とその後
少年時代に人を殺め、刑務所で長年を過ごしたベン・ガンのエピソード
釈放が許されたが、自ら刑務所にとどまることを選んだ
それは、刑務所内で自身のポジションが得られており、満足できていた
刑務所を出ることは、それまでのステータスがリセットされ、外の世界で「前科者」という低ステータスで生きていくことを示している
事実、ベンは刑務所を出てからは絶望的なメンタルになっている


> まわりとうまくやりつつ、人より成功する

> シンボルにあふれた想像世界
わたしたちは自分を物語のヒーローだと感じている
だからレイク・ウォビゴン効果のように自分を平均以上だと認識しやすい
自分にとって都合の良いように解釈を作り出す
ちょっとした出先でも、周囲の人の服装や顔、年齢や家族構成などを観察し、ステータスゲームの勝ち負けを判定している
リア充爆発しろが流行ってしまう

> ルールにあふれた想像世界
我々が生きる世界には暗黙的なルールに支配されている
重力にしがみついて、呼吸をして、他の生き物を食べて、睡眠することなどは当たり前のルールとなっている
社会的な交流における暗黙のルールがある
住んでいる地域でルールの傾向が異なる
個人主義の西洋と集団主義の東洋
その国のローカルルール

> 三つのゲーム
支配ゲーム
力や恐怖によるステータス獲得
美徳ゲーム
義理、従順、道徳によるステータス獲得
成功ゲーム
スキルや才能によるステータス獲得


> 名声ゲーム
名声あるステータス層から学んで自分もそのステータスを得たいという欲求から、模倣をする
猿もステータスの高い仲間を模倣する習慣がある。

> 支配ゲーム
カレン・ターナーの支配ゲームの敗北
自らの権力を誇示することで警察官を言いくるめようとして失敗してしまったエピソード

> 男性、誇大妄想、屈辱―ゲームオーバーの三大要素
屈辱誇大妄想が爆発してアメリカ史上に残る犯罪者となった例

> ルール変更はプレーヤーを変える
p104
>「社会経済的ステータスよりも、ローカルグループ内における尊敬と賞賛のほうが主観的幸福感を予測しうると、複数の研究で示されている。
別に世界大会で勝つ必要はなく、小さいローカルグループ内で頼り頼られている状況で十分に幸せになれる。
ランク・アンド・ヤンクシステムで業績を上げたと思われたエンロン
史上最も腐敗した企業と言われることも多い
ランク・アンド・ヤンクシステムというルールが、人の行動を変えてしまう
不正をしてでも周りより高いステータスを保たないと、自分が解雇されてしまうから

> ステータスのスロットマシン
近年、世界中の人が熱中しているステータスゲームが、SNS
プロパガンダについて学んだフォッグ博士のフォッグの消費者行動モデルの知見がふんだんに使われている
スマートフォンが発明される何年の前から、双方向性のやり取りができる携帯端末がユーザーの心を捉えるだろうと予測していた。
スロットマシンを例にして、「促したいユーザーの特定行動に対して予測できない正の強化を行うと、その行動が強化される」と予測している。

>欠陥
名前の順番で、ポール・マッカートニーオノ・ヨーコは争った
ポール・マッカートニーほど富と名声を得てもなお、名前の順番というステータスを大事にした

> 人類共通の偏見
実験で、ステータスの高い人が失墜するほどその他の参加者の報酬系が活性化した。
我々はステータスの高い人に嫉妬すると同時に、憧れて模倣もする

> 夢を生きる
自分が所属する集団を誇大評価する
「日本のここが凄い!」的な番組が流行る理由
愛国精神とも言う
「俺たち/私たちって最高だよね!」
会社においても、自分が所属するプロジェクトの方が他のプロジェクトよりもイケていると思いがち

> 服従、革命、文明化
宗教は美徳ゲーム
死後の世界で報われたければ、現世で徳を積みなさい

> プレーヤーがつくられるまで
選ばれた集団に入るために「ヘイジング(しごき)」や、通過儀礼が行われる場合がある
学校に入ると、急にステータスゲームのランク付けが始まる
オタク
学級委員長
イケてるメンバー、イケてないメンバー
アメトーークでの中学イケてない芸人がまさにそれ
社会に出ると、更にステータスゲームのランク付けが始まる

> 夢を信じる
反ワクチン運動への道
ワクチン接種は当たり前だと思っていた人に、「実はワクチンは良くない!」と洗脳をし、小さなコミュニティ内で反ワクチン運動のエコーチェンバー現象が起きることで反ワクチン活動家が生まれるエピソード
Googleで検索すると、反ワクチンを肯定するような内容もヒットしてしまう
自分の信じたい内容が出てきて信念を強化できてしまう
p175
>マランダはゲームに取り憑かれ、そのゲームを知り合い全員に説いてまわり、自分の赤ちゃんの健康を危険にさらした。よい母親になりたいという彼女の願いは、ワクチンが有害であるという信念に託されるようになった。よい母親になることとは、すなわち、自分の利益のために、子供の利益のために、世界の利益のために、ワクチン有害説を信じ、ゲームをプレーして勝つことを意味した。


> ゴールドラッシュ!
1980年代にアメリカで起きた、児童虐待を過度に取り上げたモラル・パニックについて
「子供を助ける!」という美徳ゲームに取り憑かれ、子供に無理やり「虐待があったんでしょう?」と証言を引き出し、物的証拠がないにも関わらず児童虐待で多くの人が裁判にかけられた
記者のデイヴィッド・ショーは、この時代に起きたジャーナリズムの失敗であると批判し、ピューリッツァー賞を得ている
>「それはすべてでたらめでした」とゴールドスミスは言います。「しかし、彼らは合法的な科学出版物でそれを公表しました。」1994 年、児童虐待およびネグレクトに関する国立センターは、悪魔的儀式的虐待がこれまでに存在したという証拠はないと宣言するレポートを発表しました。しかし、報告書が発行された翌年に行われた Redbookの調査によると、アメリカ人の 70% は、それが真実であると信じ続けていました。
当時、ありもしない児童虐待を作り出して騒いでいた専門家たちが信用され、多くのお金と徳が転がり込んでいた。


TODO: 次再読したときに以下の章メモる
> 戦争ゲーム
> いとこたちの専制
> 被害者、戦士、魔女
> 夢で道迷う
> ステータス製造機
> 破滅へーーステータス製造機、第二部ーー
> 地獄から脱する道
> 新自由主義の自己像
> 公平と不公平
> 夢と夢がぶつかるとき
> 共産主義の寓話


> ステータス・ゲームの七つのルール
1. やさしさ、誠実さ、能力を示す
支配行為をする気がないこと、公平にプレーすること、自分は集団に貢献できることを示すとステータスゲームの中をうまく泳げる
2. ささやかな名声の瞬間をつくる
「他者に」ささやかな名声を差し上げる瞬間をつくる
ありがとうの言葉や、相手を称える態度は、減るものではない
3. ゲームのヒエラルキーをつくってプレーする
たくさんのゲームをプレイし、特定のイデオロギーに染まらないようにする
反ワクチンの思想から脱した人の例
4. 自分の道徳的領域を小さくする
他人の行動ではなく、自分自身の行動に関心を向ける。
いいね!されることを要求しない
5. トレードオフの精神を育む
勝者と敗者という二項対立にとらわれないこと
対立する二つの陣営どちらの物語も、どこかしら真実や納得いくことが含まれている
6. 人と違ったことをする
7. 夢を見ているということを忘れない
最後の一文 p386
>つまり、わたしたちが追い求めるべきは最終的な勝利ではなく、シンプルに謙虚に前進すること、すなわち正しい方向へ進んでいる時の果てない喜びなのだ。ステータス・ゲームで勝つ人はいない。勝者は絶対に生まれない。人生の意味とは、勝つことではなくプレーすることなのだ。
最終的な勝者などいないゲームで、勝者になることばかり考えて戦うことは虚しい
ただ楽しくプレーしていればいい