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多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織

>第1章 画一的集団の「死角」
> 第2章 クローン対反逆者
> 第3章 不均衡なコミュニケーション
> 第4章 イノベーション
> 第6章 平均値の落とし穴
> 第7章 大局を見る
メディチ・インパクトrangeと近い位置の本
(画像はamazonページより)
小さな世界ほど、画一的である特定の能力に特化した集団や個人の方が立ち回りやすい
100mリレーチーム
eSportsのチーム
大きな世界ほど、認知的多様性のある集団が様々な視点を持って、議論をしながら進めたほうが生き残りやすい
多国籍企業
研究チーム
CIA: Central Intelligence Agencyは画一的集団の罠に陥っていた
既にいる人たちから見て優秀な人ばかりを採用した
その結果、白人男性ばかりが採用された
ムスリムや黒人の文化背景を理解できず、テロに対する予測範囲は狭かった
「能力の高さ」vs「多様な集団」の二者択一と二項対立
大きな世界では、多様な集団であることがその "チーム" の能力の高さを底上げする

1980年代末、イギリス政府が導入した人頭税の大失敗
それまで多額の固定資産税を支払っていた資産家にとっては減税となり、狭い借家などに住む世帯にとっては増税になる逆進性があった。
人頭税の導入を決めた政府関係者はエリート集団であり、一般市民の暮らしを想像できるものがいなかった。
後から見返すと、「なんでこの制度を導入しようと決めたんだ?」と唖然とする出来事だが、当時の審議会では納得の上での採用だった。
身銭を切っていない人々が決めた制度には、従えない
エニグマの解読に貢献した多様性のあるチーム
同じような考え方をする精鋭・クローンチーム vs 多様性チーム
経済予測のような複雑なモデルでは、多様性チームの平均予測の方が成績が高い

登山家ロブ・ホールと1996年のエベレスト大量遭難 - Wikipedia 事件
>1996年5月に起きたエベレスト登山史上有数の遭難事故の一つ。5月10日に起きた嵐の影響で8人の登山家が死亡し、その前後も含めると春の登山シーズン中に12人が死亡した
今でも事件に要因についての意見の一致はないが、本書では権威勾配が大きな原因と主張している
知識を持つリーダーが強い権力を持ってしまい急な権威勾配で意見が出せないチームになってしまうと、集合知は低下して弱くなる
マイクロスコープと逆の構造のTRPGを想像すると何となく分かる
マイクロスコープは多様な意見から生じる予測不能な意外性が面白さを生んでるゲームの印象
紹介されているエピソードはいずれも、反論をしたくてもできない状況だった(明示的に反論をするなと発言したロブ・ホール、暗黙的にリーダーに報告しづらい空気だったユナイテッド航空173便燃料切れ墜落事故
現実問題としては、指摘したらガチでキレてどんな報復されるか分からないケースがあるからコミュニケーションは難しい
そこはもう、運の領域

p143からの「反逆的なアイデアがない会議はクソだ」の章が反逆的で面白い
Googleのマネージャー撤廃施策の失敗からの、心理的安全性が重要という研究結果のエピソード
代償調整
不安定な状況だと支配型のリーダーを頼るようになり、安定した状況だと尊敬型のヒエラルキーを好む傾向があるとのこと

2つの種類のイノベーション
特定の方向に向かって1つずつ前進していくタイプ
それまで関連の無かった異分野のアイデアを融合するタイプ
現代ではこの融合タイプのイノベーションの数が増してきている
Scrapboxのプロジェクトをこまめに分けずに、1つの何でもありプロジェクトにすると異分野のアイデアが混ざりやすい空間になる?
ジェフ・ベゾスは寄り道(wandering)の重要性を説いている p192
> 寄り道は効率とは対極にありますが、同じぐらい欠かせません。(中略)並外れて大きな発見をするーー「直線的」でない複雑な問題に立ち向かうーーためには、寄り道が大いに必要なんです。
寄り道は、迂回生産とほぼ同じ概念だと捉えてるkidooom
p195
>アメリカの経済学者、ポール・ローマーは言う。「アイデアはおのずと新たなアイデアを誘発する。アイデアの共有を促す環境が、そうでない環境よりも生産的かつ革新的になるのはそのためだ。アイデアが共有されると、その可能性はただの足し算ではなく何倍にも膨れ上がる」
アイデアは個人の成果ではなく、集団脳による組み合わせの成果
タスマニア効果のエピソード
集団が小さく限定されたために、アイデアが発展せずに原始的な技術しか保持していなかった
p205 ヘンリック教授の言葉
>「クールなテクノロジーを発明をしたいなら、頭が切れるより社交的になったほうがいい」
天才族とネットワーク族のたとえのシミュレーション
ルート128の衰退とシリコンバレーの隆盛
秘密主義だったルート128の大企業
人々の交流や人材の行き来が盛んだったシリコンバレー
スティーブ・ジョブズピクシーオフィス設計のエピソード
スタッフが頻繁に出くわす導線設計をし、立ち話や雑談の機会を増やした