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GPTsの価値を考える上で悩んだこと
背景
2024年3月にClaude3 Opusが登場した。
その影響で、ChatGPT有料版の解約をする方たちが多くいた。(Claude3の登場で、何が変わったか?)
これまでGPTsを高く評価していたりGPTsを作りまくっていた人が、そう行動する理由が、気になっていた。
おそらく、GPTsによる自分の仕事へ与える価値を、$20/月以下と見積もったからであろう。
(もしくは、解約できても自分で作ったGPTsはそのまま使えるため、それなら十分だと判断したのであろう)
もともと自分の仕事用のGPTsは作っていなかったのかもしれない、という考察もできる。
人ごとではなく私もそうで、本当に欲しくて自分で作りたいGPTs(Udemy 企画書作成GPTs、セールスレターGPTsなど)があるのに、まだ作れてないという現状の有様である (前者は1週間以内に作成する...)

GPTsの本質的な価値とはなんだろうか?
つまりは、nice to haveではなく、must haveな価値とはなんだろうか?
20$のコストを上回るベネフィットは?
2024年3月時点で、おそらく誰も答えを出せていないため、ここに考察する。


先に結論
ビジネスの現場では、特に
バリューチェーン
この2つが、本質的な価値の源泉と考えられる。


考察したこと
性能のよさ?
これは、違ってそう。
実際、GPT-4よりも性能が良いClaude3 Opusの登場で、離脱されている。
GPTs特有の価値ではない。

Actions?
外部APIを叩けることによって、現実世界と対話でき、リアルタイムで取得したり外部サービスを操作したりできる。
これはかなり尖った目玉機能である。
特に、複数API endpointを設定することができるため、検索/取得/可視化などを一気通関で指示できるのは強い

が、、、実際問題、自分の仕事に、APIってどれだけ関わっているだろうか?
つまりは、もともとAPIを使ってNoCodeなどで自動化してこなかった領域に対して、無理やりコネクリ回してActionsからAPIを使って実装しても、それは、システムのための開発という感じがする。
NoCode使えるくらいのITリテラシーがあり、Zapierなどで自動化してた方などは、わざわざGPTsに乗り換えるメリットは少ない。
OpenAPIのSchemaかくのもめんどくさいし。(Schema用のGPTsもあるが...)

APIについて、これまでの自分の仕事を振り返ってみると、このAPIによる恩恵があったのは以下のような仕事
Instagramへ投稿 -> 30分後、1時間後、6時間後、1日, 2日, 3日...と、自動で分析データを取得してリサーチとしてまとめてくれる(アイリサーチ)

NotionのDBに変更があったら、自動でGoogle SpreadSheetの値を更新し、Looker Stuidoのデータを更新。
そのLooker Studioをimportしたブログ記事の分析データをリアルタイムで更新。
AWS Lightsailから、ハッキングされてないかの監視目的で、ログをPCへ自動取得。
EC2上で、DB情報の更新をもとに、AlgoliaのIndexを一括更新。

など、主に、分析系でのAPI活用が多かった。

つまりは、生成AIは、完全なルーチン性のある仕事には不向きであり、ただのAPI連携であれば、SaaSや、NoCodeツールを使えば、十分まかなえる。
最近、ZapierやMakeなどのiPaaSツール上でもOpenAIのAPIを使えるようになっている。
つまりは、Actionsだけでは、GPTsを使い続けるという理由にはなりにくい。


Knowledge?
これは、かなり便利だし、RAG自体にとてつもない可能性を感じている。
が、公式の情報が少ないためベストプラクティスがわからないという弱点がある。
裏側でどういう仕組みがわからないから、最適解がわからず、試行錯誤せざるを得ない。
ドキュメントサイズが小さいと、プロンプトに組み込まれてコンテキストウィンドウを圧迫してしまう。

また、RAGをするのであれば、Difyのようなツールの方が、使い勝手が良い。


Pythonコードの実行?
例えば、Pythonコードの実行でQRコードなどを作れる。
が、そもそも論だが、Pythonコードを実行させたい人は、わざわざGPTs使わない。
エンジニアなら、コマンドラインから数秒あればコードを実行できるから。
GPTsを使おう!とメンタルスイッチを起動し、ChatGPTを開いてGPTsを選択して、promptを入力する方がめんどくさい。

もちろん、non programmerにとっては便利かもしれないが、本質的な価値かと言われたら、そうではなさそう。


機能性?
Webサイト制作やロゴ作成などができるという機能は確かにすごい。
が、ほとんどの人は仕事において、そんなにWebサイトは立ち上げないし、ロゴも作らない。
画像は情報発信している人は作る。(サムネイル画像など)
執筆補助に関しては、Claude3 Opusに軍配があがる
GPT-4Vの画像認識も、Claude3 Opusに軍配があがる


えっと、つまり...
GPTs特有の価値が見当たらないのである。
こういう動画もあるくらいw
こちらの動画では、以下の3つがGPTsの価値として結論を出していた。
膨大な情報の理解 (Retreieval)
定められたPythonコードの実行
外部APIの呼び出し

しかしこの3つでさえ、must haveとはいえなくなってきている。


考えている価値1.
ChatGPTなどのLLMやGPTsが人間にもたらしたことは、形式知の再現性である。
簡単な言葉で言うと、能力の民主化
デザイン、プログラミング、データ分析、翻訳など、従来は一部の専門職にしかできなかったタスクを、誰もが簡単にできるようになった。
それだけではない。
SECIモデルの3領域をGPTsがカバーできるようになった。

どういうことか?

容易になった、暗黙知の形式知化: 表出化
言語化は難しい...
自分の持つ知識や経験、スキル
他人のベテランが持つ知識や経験、スキル
だが、AIの力を借りれば、簡単に言語化できるようになった。
ネット記事やPDF・書籍などの言語化された形式知(一般知)を活用したり
生成AIに質問して言語化させることもできる
暗黙知が持つ無限の可能性の通り、まだ十分に活用できていない暗黙知を形式知化できるだけで、無限大の可能性があるといえる。

容易になった、形式知の集結: 連結化
生成AIによって、断片的な形式知を集結でき、マニュアル作成などを簡単にできるようになった。
生成AIは大量の言葉を学習しているため、様々なアイデアの集結にはめっぽう強い

容易になった、形式知の活用: 内面化
従来いくら良い書籍やアドバイスを受けても、実行するとなると話は別で難しかった。
理論を知っても実践はできない問題。
しかし、 上2つを通して作られたGPTsを使って実践すれば、誰もが簡単に実行できるようになった。
能力を与えたGPTsを作り、切り出せば、いつでも誰もがその形式知へとアクセスできるようになった。
そのGPTsにタスクをさせたり、専門的なアドバイスをうけたり、レビューさせて改善点を洗い出したり。
Claudeなどの生成AIでは、固定の形式知を持つように調教するために、事前に何往復もやりとりが必要。
固定化して能力を与えた状態のLLMを切り出せる」ことは、GPTsならではの価値。 #💡

その結果
個人が圧倒的な知識創造をできるようになった。
組織にとっては
社員の知識創造を高速に
より組織を活性化できるように。
技術の継承が楽ちんに
ベテランの暗黙知を、どんどん表出化 -> マニュアル化 -> GPTsにして実践させる -> フィードバックループ
費用削減に
コンサル業務を代替できるようになった。
教育コストを下げられるようになった。

GPTs = 専門特化した優秀なコンサル
GPTs = 退職したベテラン社員の代わり 

つまりは、個人も組織も
SECIモデルの知識創造のサイクルを、高速で回せる。
無形資産を構築するスピードを圧倒的に早くできるようになった。


考えている価値2.
ITnaviさんの、以下の記事に最も近い。

これから、OpenAIは、エージェント機能の実装やGPT-5のリリースなどが控えている。
@メンション機能や、Box機能、GPT-Scriptなどの新機能を考えると、(GPTsに搭載される予定の新機能)
GPTsはより小さく専門に特化したものが中心となっていく。

どの細分化された専門特化のGPTsを使うかは、最終的にエージェントが自動で制御できるようになる。
ということは、

AIは実行を支援するものではなく、実行を全て担当できるものになる。
一部の業務の支援ではなく、運用代行に近いイメージのものとなる。

Coral Capital のJames氏がいうように、
バリューチェーンの最初から最後まで、一貫して業務を行わせることができるようになる。
AIの役目が実務者の支援から、実務者になるようになる。

>LLMブームが起こる以前から、私たちVCはこうしたスタートアップのことを「フルスタック・スタートアップ」と呼んできました。「バリューチェーンの最初から最後まで一貫して自社で扱い、プロダクトやサービスを生み出す企業」と定義されています。実際、業界によっては既存の企業にツールを提供するよりも、直接エンドユーザーにサービスそのものを提供するほうが、より早くビジネスの成長と(マージンは低くなりますが)優れたサービスを実現できる可能性があると私たちも考えています。もちろん、Coral Capitalでは以前から「実務者の支援」を目的としたSaaS企業にも投資しています。しかし、それと同時に「実務者になる」ことを目指すフルスタック・スタートアップにも投資してきました。例えば貿易業務サービスのShippioや、不動産業のすむたす、保険のjustInCase、クリニック経営のCAPSなどです。


考えている価値3.
若干価値2に重複しているが
生成AIは、完全なルーチン性のある仕事には不向きの通り、人間が思考をする必要があり、これまで完全な自動化が実現できなかった領域に対しては、かなり向いている。

具体的には、ChatGPT研究所さんのSpread Sheet GPTが良い事例。

ネット検索して競合調査を行い、得られた結果を、スプレッドシートへまとめる機能を持つ。
ここまでだけだったら、 AIじゃなくても可能だが。
このGPTsの真骨頂は、その後、擬似思慮ができていること。
つまり、自分で集めた情報結果をもとに、考察ができることにある。
これで、分析業務というバリューチェーンを最初から最後まで完結できた。
情報収集 -> SaaSへ貼り付け -> 結果を分析する

非常に素晴らしいGPTsだと感じている。


更新履歴
結論が出ました。