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ONIの話よりも、理科の話。

物質の熱に関するステータス
このゲームには各物質に熱伝導率と熱容量が設定されており、その性質に基づいて温まったり冷めたりする。
https://oni-db.com/https://oni-assistant.com/database/elements で性能順に調べたりもできるので確認するとよい

熱エネルギー単位のDTU
ONIだと独自エネルギー単位として、エネルギーの強さをDTU(Duplicant Temperature Units) として定義されている
Duplicant Temperature Units 直訳して「複製人間温度単位」
昔は現実と同じくジュール(J)だった

熱伝導率=熱の伝わりやすさ
周りが熱ければその熱を吸い、逆に周りが寒ければ熱を放出する性質
ONIだと DTU/(m*s)/°C、「1度上がるごとに、1秒あたりに隣の空間に何DTUの熱を撒くか」 と定義されている
熱伝導率が 高ければ高いほど放熱や吸熱する素材熱を取り出したり発散する、周りの温度を均す機能
逆に 低ければ低いほど、断熱に優れた素材熱や冷気を漏らさない、隔てる機能
熱伝導率の高さは
1位 #テルミウム (220)
逆に低い順では(採掘できないニュートロニウムを除き)
1位 #断熱材 (0.00001)
2位 #塩素 (0.0081)
3位 #二酸化炭素 (0.0146)
4位 #プロパンガス (0.015) (プロパンガスとかヘリウムとかは、なぜか実装だけはされてる)
5位 #酸性ガス (0.018)
6位 #酸素 (0.024)
現実で ↓ のような話で連想できるのでは
「アルミ製の鍋は熱伝導率が高いので火が通りやすい」とか、
「CO2は温室効果が高く〜」「間に空気があると断熱材として〜」とか、
基本、固体>液体>気体の順
金属は大抵熱伝導率が高い
常温で気体の物質は断熱性が”それなりに”ある
水素とエタノールは熱伝導率が「−100〜100℃で存在する気体の中では高い」程度
熱伝導は 高くても低くても使い道がある

比熱容量 = 保温性や保冷性
「その物質1グラムの温度を1℃上げるのに必要な熱エネルギー」という定義
低いほど「熱しやすく冷めやすい」
高いほど「熱くも冷たくもなりにくい」
熱容量の高さでは
1位 #超冷却剤 (8.44)
2位#断熱材 (5.57)
3位# #汚染水 (4.179)
4位#塩水 (4.1)
熱容量の低さでは
1位 # (0.128)
2位 # (0.129)
4位 #リン鉱石 (0.15)
金属は熱容量が低くて熱伝導率は高い
ということは、 物質の熱を中継するのに向いている
ファンタジー素材を除けば水が一番高い
そらそうだ

↑ に、機械が動いている間の熱の発生について書いた

「何を冷やすか」「何で冷やすか」「何で熱を受けるか」
上記の基本知識がゲームプレイに影響するのは、このことを考慮に入れないと 効率が悪いどころか全く効果が無い 対策をとってしまえるため。その説明をする。

例えば、ありがちな以下のようなケースである
「発電機などが熱くてオーバーヒートしそうだから冷やしたい」
「電解装置の酸素が熱すぎて農園が枯れてしまう」
「蒸気噴出口の水が熱くて灌漑に向かないから冷やしたい」

ここで、 #空調設備 で周りの空気を冷やせば良い?」 あるいは 「水を #反エントロピー熱無効化装置 #水素 で冷やせば良い?」 と考えるのは 「冷やす」=「『冷気』をぶつける」=「冷える機能を使う」 と考えて、対象の熱容量を考慮してないが故に起きる失策である。

二酸化炭素を空調設備で冷やしても石炭発電の排熱に負ける
例えば、石炭発電機の周りの空気が暑くなりすぎたとして、吸気ポンプで吸い出して、空調設備で14℃冷やしてから戻す、という冷房システム。
二酸化炭素の比熱容量は 0.846
空調設備に送ることの出来る量は1度に 1kg/s
熱交換で取り出せる(冷やせる)熱量は -11.8kDTU/s
石炭発電の排熱量は1台で +9kDTU/s
…石炭発電機2台以上あったら温暖化は止められなくなる
そもこのために吸気ポンプ×2 (480W) 空調設備 480W で、これを動かすのに 960W 要る (石炭発電2台以上必要)
考え直すべきは、その発電所にある発熱する機械の排熱量を合計して、それに打ち勝つだけのマイナスの熱量をどう稼ぐか
という視点。

水素を空調設備で冷やした時の熱交換量は 33.6kDTU/s
冷えた水素を輻射パイプで、発電所の壁裏に上→下に蛇腹状に這わすループ配管にする
石炭発電機3台以下であれば空調設備1台で冷却力が勝る
気体輻射パイプの原料は金属鉱石なので安い。特に金アマルガムや重マンガン鉱石は性能が良い
空調設備の熱交換量を12で割った本数のウィーズウォートで相殺できる
農場の保温保冷でも有効

水を液体クーラーで冷やした時の熱交換量は 585kDTU/s
冷えた水や汚染水を液体輻射パイプで、ガスヒートパイプ法と同じように通す
石炭発電機65台分の排熱量を相殺できる
液体輻射パイプの原料は精錬金属なので、建造コストは序盤じゃ厳しい
ランニングコストも液体クーラーなので高いといえば高い (1200W)

水32トンを1℃上げるのに必要な熱量は 133'728kDTU
石炭発電機1台をずっと稼働しつづけても 1℃上がるのに25サイクルかかる
発電所の真上に水のプールを熱伝導率の高い素材で作る
時々そのプールの水を液体クーラーや製氷機で冷やす
殆ど排熱よりも冷却の方が勝つし、水の保冷力を活かせる
冷却機構を後回しにして最序盤で作れる温暖化対策

水素をいくら冷やしても熱湯をなかなか冷やせない
これもありがち。
水素をウィーズウォートや反エントロピー熱無効化装置で冷却し、高温の熱湯をパイプで送りつつ冷却するシステムの効率を検算してみる
水の比熱容量は 4.179 (そも、現実世界で常温の液体の中で最も比熱の大きい物質)
水素ガスの比熱容量は 2.4
ウィーズウォート1本が水素を冷却した際の熱量は -12kDTU/s
反エントロピーの冷却する熱量は -80kDTU/s
...水を1トン、1℃下げるのに必要な熱量は -4'179kDTU
出来る冷却に対して、必要なエネルギー量が桁違いにかけ離れてるのがわかると思う。
このあたりは ウィーズウォートや反エントロピー熱無効化装置への過信 で解説しているので、替わりとなる方法はそちらを参照。
また 「冷水はそもそも必要か」 も一読されたし。

ちなみに、「水を溜めたプールに水素のガスヒートパイプ法で冷やす」のも、殆ど電力のムダに近い非効率な手。気体パイプは1kgしか流量がないのに、水は1トン単位で100kg〜1000kgも1マスの空間に収まるので。
なので、逆に「冷水プールに輻射パイプを通して、酸素をヒートパイプ法で冷やす」のが効果的
水1トンに対して酸素1kgかつ、酸素の比熱容量は水の1/4以下なので、酸素側がよく冷え、水も温まりにくい

「冷やす」≒「熱を偏らせる」+「本当に熱エネルギーを消す」
このゲームならではの要素になるが、確かにウィーズウォートや反エントロピー熱無効化装置のように、熱エネルギー自体をゲームの世界から消去してしまう、『熱破壊』をするものがある。

ウィーズウォートは 気体1kg/sを吸って、そこから5℃分のエネルギーを吸い取って吐く
反エントロピー熱無効化装置は10g/sの水素を消費して −80kDTU/s 自身の熱エネルギーを奪い取る
周囲が冷えていくのは装置の部品と漂う気体が熱交換をしているからであって、周囲のエネルギーは奪っていない
宇宙空間で液体を蒸発させると、宇宙に霧散してその気体のエネルギーを全て消し飛ばすことができる
蒸気タービンは125℃以上の蒸気の熱エネルギーから 1032.46DTU/(s * W) のレートで電気エネルギーとして取り出す
製氷機は水から氷を作る仮定で収支 -4kDTU/s なぜか熱エネルギーが減っていることになる
サウナ は蒸気を使って複製人間にリラクゼーションを提供するが、使用後の排水25kgは80℃の水で、利用中の排熱と蒸気の持つ熱量で収支を取ると熱破壊が起きている(破壊量はまだ検証中)

メインは『熱を偏らせる』仕組み作り
確かに熱破壊は利用することが多いけれど、殆どは以下の手順を取る
1. 『A: 温度を安定させたい場所』『B: 熱をこもらせていい場所』 を分ける
2. 何らかの方法で 『Aから熱を取り出して、Bで捨てる』仕組みを作る
3. Bの環境が破綻しないように(内部構造が破損、融解するなど)何らかの方法で『熱破壊』を行う
序盤から中盤の『冷却』と呼んでいる、直感では「冷えていってる」と感じるのは概ね1,2が中心で、
3の段階は案外実感しにくい。
特に蒸気タービンは「200℃の蒸気を95℃にしてる」猛烈な熱破壊だけれど
『95℃の水』を「冷えた結果」に思えるかといえば難しいだろう

熱エネルギーは電気エネルギーに変えることができる
#蒸気タービン は1032.46DTUを1Wの電気に変える発電機
なので、これを使いこなすとあらゆる熱量が電気の源に見えてくるパラダイムシフトが起きる