家族的類似性
ある要素があるグループの一員であるかどうかが、共通の特徴によって定まらないことがある、という概念。
図のターゲットはグループ1に似ているか、グループ2に似ているか
東洋人はグループ1、西洋人はグループ2を選ぶ傾向がある。
Norenzayan, A., Smith, E. E., Kim, B. J., & Nisbett, R. E. (2002). Cultural preferences for formal versus intuitive reasoning. Cognitive science, 26(5), 653-684.
2通りの考え方を掘り下げてみる
4つの属性がある
属性1: ターゲットの花びらは丸い、グループ1は3/4の花びらが丸い、グループ2は1/4の花びらが丸い
属性2: ターゲットの花の中心は一重丸、グループ1は3/4が一重丸、グループ2は1/4が一重丸
属性3: ターゲットには葉がついている、グループ1は3/4に葉がついている、グループ2は1/4に葉がついている
属性4: ターゲットの茎はまっすぐ、グループ1は0/4の茎がまっすぐ、グループ2は4/4の茎がまっすぐ
この状況で、ターゲットをグループ1に入れるか、グループ2に入れるか。
東洋型: 4つの属性のうち3つが「グループ1の方が近い」と示しているのだから、グループ1に入れるべきだ、という考え方。
西洋型: 属性1~3はグループを明確に切り分けるものではない。属性4こそがこの2つのグループを分ける基準であり、その基準に従えばグループ2に入れるべきだ、という考え方。
西洋型は判断の理由を他人に説明しやすい。「茎がまっすぐならグループ2である」という明確な命題にすることができる。一方で、ノイズに弱い。この例では属性4できれいに切り分けることができたが、もしノイズが入って属性4でも切り分けることができなかった場合、西洋型では「この2つを区別する明確な基準は存在しない」という思考停止に陥る。また、属性の一部が観測不能である場合にも弱い。たまたま属性4が観測できなかった場合は判断が逆転する。
東洋型は、ノイズにも強く、観測不能にも強い。しかし判断の理由をシンプルに説明できない。あえて説明するなら「花びらが丸ければグループ1に1票、花の中心が一重丸ならグループ1に1票、葉がついていればグループ1に1票、茎がまっすぐならグループ2に2票。合計して票の多かった方のグループとする」というルールになる。