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「専門家」以外の人のための決算書&ファイナンスの教科書
西山 茂(ニシヤマ シゲル)
>早稲田大学ビジネススクール教授
>早稲田大学政治経済学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートンスクールMBA修了。監査法人ト-マツ、西山アソシエイツにて会計監査・企業買収支援・株式公開支援・企業研修などの業務を担当したのち、2002年より早稲田大学、06年より現職。学術博士(早稲田大学)。公認会計士
2019

具体的な数字がたくさん出てくるので良い

目次
【基礎知識】アカウンティングとファイナンスの違いと一体化
第1章 財務3表から企業の状況を読む【財務会計
1 貸借対照表から何がわかるのか
【ストーリー】 買収、 のれん、 無形、 有形・・・なぜわかりにくい?
貸借対照表とは決算日の数字を使った記念写真
「この取引先は大丈夫?」 安全性がわかる
「どんなビジネスをしているのか?」 事業の構造がわかる
「潜在的な課題は何か?」 企業の課題が見えてくる
どの割合が大きいか調べ、最も大きいものを減らす典型的な方法があるということ
簡単というわけではない
【ケース】 5つの企業の貸借対照表の比較
貸借対照表を見るとどのような事業なのかわかる
先んじてどういう事業なのかのイメージがあると素直にわかる基素
全く知らない事業のB/Sを見ても一般的なことしか言えなくてはずしそう
【後日談】 BSから安全度や事業構造が見える
2 損益計算書から何がわかるのか
【ストーリー】 高級ブランド品の原価と儲けはどれくらい?
一等地にしつけの良い店員がいるガラガラのブランド店舗を構える企業は大きな利益率のはずだ、ではどれぐらい?
損益計算書は売上高からスタートし、 純利益というゴールに至る
IFRSには経常利益がない
利益構造、コスト構造が見えてくる
企業の課題や特徴が見つかる
【ケース】 5つの企業の損益計算書の比較
【後日談】 原価よりも販売管理費のほうが高いコスト構造
3 キャッシュフロー計算書から何がわかるのか
【ストーリー】 なぜキャッシュフローが重視されるのか
キャッシュフロー計算書とは何か
企業の動きがわかる
フリーキャッシュフローと営業活動からのキャッシュフローに注目
【ケース】 大塚家具とキヤノンのキャッシュフロー計算書の動き
【後日談】 情報共有でもキャッシュフローはよくなる
4 IFRSと日本の会計基準の違い
【ストーリー】 IFRSの導入で何が変わるのか
IFRS導入の理由と経緯 「なぜ会計基準の統一が必要なのか」
世界で統一すると海外投資家は比較しやすくなる基素
IFRSの特徴は原則主義と貸借対照表重視
IFRSと日本の会計基準の代表的な違いを押さえる
経常利益がない
のれん代の扱い
減価償却しないのでいきなり減損がありうる
日本でのIFRSの導入状況とそれによる変化
【ケース】 IFRS導入の影響と独自の利益の集計J.フロントリテイリングとアステラス製薬
【後日談】 IFRSと 「独自の利益」の導入 比較しやすさを求めて
5 ROEROAから何がわかるか
【ストーリー】 ROEが低いと社長退任まで要求される?
ROEとは株主が出した資金に対する儲けの率
ROEを3つの比率に分解したデュポンシステム
ROAは保有している資産に対する投資効率を評価する
ROA の意味とROEとの関係—2つは連動する可能性が高い
ROE ROA活用の際に注意すべき3つのポイント
【ケース】 ROEから見る明治ホールディングスの変化
【後日談】 利益率改善の手段には、価格設定や業界再編なども
6 収益性効率性を読み解く
【ストーリー】 大学同期でも業種が違えば別世界
収益性―利益を生み出す能力は「率」 ではかる
効率性 ―「小さなBSと大きなPL」 の関係が効率がよい
収益性と効率性の関係はトレードオフ
【ケース】 ROAから見るひらまつとサイゼリヤの違い
【ケース】 スクールビジネスを展開するTACのCCC
【後日談】 収益性や効率性は業種によって違う。 CCCの目標達成も重要だ
7 安全性成長性を読み解く
【ストーリー】 30年来の取引先から支払日延長の依頼・・・何があったのか?
安全性―貸借対照表と財務比率で適切に評価
成長性―売上と資産の増加率に注目
【ケース】 ミクシィ、 P&G、 花王の安全性を比較する
【後日談】 取引先は、売上は伸びているが安全性がよくない
8 株価をベースに評価するEBITDAマルチプルPERPBR(会計指標)
【ストーリー】 経営企画部へ抜擢も、 M&Aの話についていけず···
EBITDAマルチプル―営業キャッシュフローと企業価値の倍率
【ケース】 5社のEBITDAマルチプルの違いから見えてくる
もの
PER―1株当たりの株価と純利益の比率
PBR―1株当たりの株価と純資産額の比率
3つの評価方法の限界 「特徴や強みを十分には評価できない」
【ケース】 PERやPBRの高い、 あるいは低い企業
【後日談】 買収金額が割高なのがわかった
第2章 これだけで大丈夫! ファイナンス入門
1 金利とリスク、割引率と現在価値 ファイナンスに不可欠な考え方①
【ストーリー】 A案,B案、 どちらに投資すべきか?
金利とリスク―「今年の1億円」 「来年の1億円」、どっちが得?
割引率と現在価値―未来の儲けを現時点の価値に置き直す
【ケース】 JR東海と任天堂のリスクを財務数値をもとに比較する
【ケース】 割引率を使って10年後現在価値を見てみよう
【後日談】 割引率を使ってプロジェクトを評価する
2 資本コストとWACC、ハードルレート ファイナンスに不可欠な考え方②
【ストーリー】 収益力投資効率とWACCは、 どう関係する?
資本コスト (Cost of Capital)― 資金提供者が期待(要求) している儲け
WACCとは資本コストを具体的に計算したもの
【ケース】 業種の違う5社のβ値からわかること
【ケース】 コマツのWACCを計算する
WACCの高さを決める3つの要因
割引率はWACCを使う―資金提供者が1年間で期待する 「儲けの率」
投資プロジェクトの評価と毎年の業績評価で使う
【後日談】 自社のWACCを知ることは 「期待されている儲け」 を知ること
3 Free Cash Flowとは自由に分配できるキャッシュフロー
【ストーリー】 フリーキャッシュフローとは 「自由な」 「資金の」 「流れ」 ?
投資プロジェクトの儲けはフリーキャッシュフローが基本
フリーキャッシュフローはこう計算する
キャッシュフロー計算書とファイナンスのフリーキャッシュフローの違い
【演習問題】 予測財務諸表からフリーキャッシュフローを計算する
【後日談】 フリーキャッシュフローの予測が投資プロジェクトの評価のキモ
4 NPVIRR―投資プロジェクトの評価方法
【ストーリー】 プロジェクトの評価をしろといわれても......
NPVは現在価値でいくら儲かるかで評価する
IRRは儲けの率で評価する
慣れれば5分! エクセルでNPVとIRRを計算する
重要なのはフリーキャッシュフローの予測
シンプルな回収期間法はNPVやIRRと一緒に使う
【演習問題 】 新規事業の評価 「高級美肌クリームは儲かるか」
【後日談】 エクセルを使えば簡単だが…注意すべき点も多い
5 最適な借入の水準(最適資本構成)
【ストーリー】 借入が多い取引先はすべて危ないのか?
最適資本構成 借入金と社債のメリットとデメリットのバランスを考える
WACCと借入金・社債の関係 借りるとWACCは下がる?
格付けと借入金・社債の関係 実務への示唆
最適資本構成は事業の状況、 業界、 業界順位で変わる
【ケース】 事業の違いと資本構成不動産、鉄道、 ゲーム業界の比較
【後日談】 無借金経営が必ずしも善ではない
6 配当と自社株買いは株主還元。どちらを選択?
【ストーリー】 自社株を買うことがなぜ株主還元になるのか
バフェットが 「自社株買いを望む理由」
配当は利益などをベースにした株主への還元
配当の水準に影響を与える 「成長ステージ」 や 「財務状況」
業績悪化や赤字の場合でも配当する理由
「配当の増減 = 経営者の自信の変化」 と考えられて株価に影響
自社株買いの発表と実行が株価上昇につながる理由
配当、 自社株買い、 どちらを選択するべきか?
【ケース】 三菱商事の赤字の中での配当方針 (2016年3月期)
【後日談】 X社の株主還元の考え方が見えてきた
7 買収金額の評価
【ストーリー】 買収金額はどう決めるのか?
買収金額の評価方法は大きく3通り
マーケットアプローチでは 「比較企業」 の選択がカギ
DCF法は 「事業」 と 「それ以外」、2つに分けて評価
DCF法による評価の注意点 「フリーキャッシュフローの予測」
DCF法をもとに企業価値 ・ 株主価値の向上策を探る
【演習問題】 DCF法で企業価値と株主価値を計算する
【後日談】 買収金額を評価するときの3つのポイント
8 企業に対する調査「Due Diligence
【ストーリー】 監査法人による調査結果の報告がよく理解できない
デューデリジェンスの元々の意味は 「最善の努力」
M&Aで行なわれるデューデリジェンスは主に5つ
アカウンティング面のデューデリジェンス
【ケース】 製造業企業の会計デューデリジェンスで浮かんだ課題
【後日談】 貸倒引当金、退職金の準備… 叩けばホコリが出てくる
第3章 業績管理と意思決定のための数字の活用【管理会計
【ストーリー】 なぜ、 固定費削減に集中するのか?
変動費と固定費 売上や生産量に応じて変化するか、 しないか
短期的意思決定は利益をベースに考える
売上から変動費を引いて計算する限界利益
コスト構造の管理は事業環境に応じて変化する
「利益がちょうどゼロになる」 損益分岐点を使って分析する
【ケース】 変動費の比重が低く、 固定費の比重が高い事業の盲点と解決策
【ケース】 A社の損益分岐点売上高を計算する
【後日談】 キモは固定費の削減
2 アウトソーシングとシェアードサービス、どちらを選択?
【ストーリー】 間接業務の効率化をどうすすめるべきか
社内業務を社外へ委託するアウトソーシング
アウトソーシングの注意点 「競争優位との関係」 「信頼性と管理」
社内に分散している業務を集中・標準化させるシェアードサービス
シェアードサービスの注意点 「標準化の徹底」
アウトソーシングを優先するほうが望ましい
【ケース】 アウトソーシングやシェアードサービスの成果
【後日談】 間接業務に従事していた人の雇用はどうなる?
3 ABCは正確なコスト計算のための間接費の割り振り
【ストーリー】 間接費の中身と集計方法がわからない
ABCの意味と目的
ABCを活用して効果がある企業、 あまりない企業
メリットが多いABCだが、 手間がかかる
顧客視点から原価の改善を行なうABM
ABCやABMからわかることと「顧客の要望」
【演習問題】 通常の原価計算とABCでコストを計算する
【ケース】 製品Xと製品の原価の比較と対応策
【後日談】 間接費の割り振り方法の違いで、 各製品の儲けの見え方が変わる!
4 予算はトップダウン? 積み上げ?
【ストーリー】 苦労が多い予算作成、 他社はどうやってる?
予算の意味、意義、種類、設定方法
最高の業績につながる予算とは
超予算モデル 予算管理の問題点を乗り越える
【ケース】 ディスコ 環境変化の激しい事業の業績管理
【後日談】 予算の仕組みを見直す必要があると思い始めた
5 ROEROIC…どの財務目標がよいのか?
【ストーリー】 財務目標はどの指標が適切なのか? 目標水準はどの程度がよいのか?
財務目標の選択と浸透
ROICについて
【ケース】 リクルート、 花王の財務目標
【ケース】 ピジョンの財務目標とPVAツリー
【後日談】 資本コストを意識させるにはROICがよさそうだ
6 重要業績指標KPIはどう決める?
KPIの意味
BSCの意味とKPIとの関係
EVAの意味とKPIとの関係
【ケース】 オムロンのKPI
【後日談】 全社の財務目標を意識し、 何をすべきかを考えると部門のKPIが見えてくる
参考文献