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2022年8月10日

昨夜は、寝るまで清水克行室町は今日もハードボイルド―日本中世のアナーキーな世界―』を読んでいた。極めて面白い。日本の中世というのが多元的な社会で、今とはずいぶんと価値観が異なること、逆にいうと、江戸時代的な一元的見方がいかにバイアスになっているかということをまざまざと示してくれる。エピソードもいちいち面白過ぎる。それで、今朝起きてからもすぐに続きを読み始める。

Kが先日アクアパッツァを作ってくれたのだが、その際に参考にしたレシピや、作り方などをYouTubeで解説しているという方のお店に行きたいということで、外苑前の「リストランテ アクアパッツァ」(すごい名前だ)へ。入口には、YouTubeのチャンネル登録者数10万人を超えるともらえるという銀色の盾が、シェフの著書数冊の平積みとともに飾られている。当然、アクアパッツァをいただけるコースをお願いする。カルパッチョ、鱧のフリット、パスタ、スズキのアクアパッツァ、子豚のロースト。アクアパッツァはオリーブオイルをふんだんに使っていて、旨味がすごい。ただ、どれもややしょっぱ過ぎる。どれか一つではないので、意図的なのかなんなのか。デザートを食べようとしている時にシェルがいらっしゃって、写真撮りましょうといって撮ることになった。もともとKが撮りたいといってはいたのでいいのだが、撮る前提になっているのが面白い。Kはレシピ本も2冊購入。

銀座で用事のあるKに付き合って、僕はShisha bar SMOKER CATへ初訪問。築地川・祝橋の西詰にある。最近できたのかな。銀座にもシーシャ屋さんはいくつかあるのだが、ちょっと好みから外れるところが多く、いい場所なのでもっとあれこれ増えてほしいと思っていたところだった。多分、わりと新しめのお店だと思われる。お茶しながら、清水本の続き。読み終えたので、さらに高野秀行清水克行世界の辺境とハードボイルド室町時代』を購入して読み始める。意外な組み合わせだが、ソマリの人々と室町の人々とは色んな意味で似ているのだという。

用事を終えて買い物をしているKを三越まで迎えにいったのち、 GINZA SIXへ。蔦屋で本を眺める。『方丈記』、徳川夢声話術』、三島由紀夫近代能楽集』、林家彦三汀日記 若手はなしかの思索ノート』、篠田正浩 河原者のススメ』を購入。林家彦三さん、知らなかったのだけど、本を見てピンときた。きっと面白いに違いない。また、篠田監督の本は玉川奈々福さんの『語り芸パースペクティブ: かたる・はなす・よむ・うなる』を読んで以来、気になっていたもの。

帰宅して、夕食後に一仕事。以前、ちょっとしたことでテーブルが崩壊してしまったのだったが、その後いいものがなくて数ヶ月テーブルなしで暮らしていたのだった(キッチンに皿を並べて食べていた)。ようやく、とりあえずこれでいいかというものが見つかったので注文したのが今朝届いたので、組み立てることにした。その前に、崩壊した元のテーブルを釘やネジまでバラして、粗大ゴミとして出せるよう取りまとめ。その後、組み立て。ゴミ捨てまで含めると1時間半ぐらい集中してやっていた。

作業をしながら、中村橋之助さんがホストを勤めるポッドキャストに九龍ジョーさんが出ている回を聞く。橋之助さんの真摯な思いが語られるのはよかったが「歌舞伎座に来て、観てくれればわかる」の一点張りなのは、もちろんそう思うけど、幕見席は閉鎖されているし、3階席はろくにチケットを取れもしないのだから、もうちょっと工夫しないと厳しいんじゃないかなあと思ったりする。


方丈記』を読む。折に触れて読んでいる気がするが、「鎌倉殿の13人」や芸能史関連で、自分の中で平安末期から中世にかけてが盛り上がっているので、あらためて読もうと思って買ったもの。「無常」についてロジカルな導入、迫真の描写をもって語り出した勢いが、だんだんとミニマリストであることを誇るかのような、逆に痛い感じになってきたところで、能でいうところの「序破急」の「急」的にほぼラストあたりで展開し、それ自体も執心に過ぎないよなあと、ただ「南無阿弥陀仏」と唱えるばかりであったと締める流れに、ストーリーテリングの面白さを感じた。

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