市民がお互いにお互いの意志を伝えなければ常に一般意志が議決において現われる
『社会契約論』第2編第3章で言われていること
「意志を伝えあう」という岩波文庫の訳について
謎だ
その理由で謎に思うのであれば、それは正確ではない
ルソーは「お互いに話し合わない」とは言っていない
>もし、十分な識見をもった国民が議決する場合に
と言われている。
ここで思い出すのは『社会契約論：ホッブズ、ヒューム、ルソー、ロールズ』p232
>原初状態の人とは、特殊な知識一般を取り去られる一方で、一般的な知識のすべてを持っているような人である。そしてこの知識のあり方、自分については何も知らないが、社会全般とそこでの人びとの生についてはよく知っているという状態を、ロールズは「無知のヴェール」がかかった状態と呼ぶ。
ルソーの議論とロールズの議論との違う点
ルソーの議論では市民が知らないのは他の市民の意志であって、自分が何者かを知らないのではない
正確ではない
ルソーの議論では、市民は他の市民の意志を単に知らないのではなく、「お互いに意志を少しも伝え合わない」のだ。ゆえに、光文社古典新訳文庫では「たがいに前もって根回ししていなければ」と訳されている。
党派性への批判
市民が中途半端に集まってお互いの意志を徒党の意志として同一のものに仕立て上げると一般意志は損なわれる
連想されること
デルポイ法では回答者が他の人の回答を見ないことが重要だとされている
牛の重さ当てコンテストの話ではお互いが意見交換をしないことが予測において重要な契機だとされる
たぶんここらへんから『一般意志2.0』に繋がっているのだろう