こんてむつすむん地
>御あるじのたまはく。われをしたふものはやみをゆかずただ命のひかりをもつべしと。
>『キリストに倣いて』のキリシタン時代における邦訳本。タイトルはラテン語のcontemptus mundi(世を厭(いと)う)を写したもの。1596年(慶長1)、イエズス会のコレジオから、ポルトガル式つづりのローマ字本が出されたが、1610年、一般信者向けに省略、改訂のうえ、漢字交じりの平仮名文で出版された。〈日本大百科全書〉
読む時の参考書
抄録
1巻にこんてむつすむん地が注釈付きで載ってる
聖書
>日本伝来当時はキリシトであったが、江戸時代後期からキリストとなった。中国イエズス会士によって、音訳語「基利斯督」およびその略語「基督」がつくられ、後者はプロテスタント宣教師に受け継がれて、一九世紀中葉の漢訳聖書用語として定着した。〈日本国語大辞典、「キリスト」語誌〉
Chi-Rhoににてるような似てないような...
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試しに読んでみる(適宜漢字混じり文に直し、句読点を加えた)
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>第一 世界のみもなき事をいとひ、ゼズキリストを学び奉る事
>Lui fequitur me, non ambulat in tenebris, fed habebit lumen uita. Joao. 8
> 御あるじのたまはく、我をしたふ者は、闇を行かずただ命のひかりを持つべしと。心の闇をのがれ、まことのひかりを得たく思はば、キリストの御功績と御かたぎを学びとれと。この御言葉をもてすすめ給ふ也。しかるときんばキリストの御功績を観念する事を我らが第一の学問とすべし。キリストの御教へは諸々の善人の教へに優れたまへり。善のみちにいたりたらん人はここにかくれたる天の御身をおぼゆべし。
>◯しかるに多くの人キリストの御法を繁く聴聞すれども善の望み少なき事あり。これキリストの御教へを味わひとらぬ故なり。キリストの御ことばを味わひ深く分別したく思はば、我が身の身体ことごとくキリストに等しくし奉らんと嘆くべし。へりくだりなきによてちりんだあでの御内証をそむき奉らば、其御内証の高き御事を論じてもなにの益ぞ。まことにこびたる言葉は善人にも正しき
このときは「御あるじ」なんだ 現代は「主(しゅ)」だけど、いつごろ変わったんだろう
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解読議論
>第一 世界のみもなき事をいとひ、ゼズキリストを学び奉る事
最初「世界のみもなき事をいとひせず、キリストを学び奉る事」だと思ってた
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「いとひ、ゼズ(=ジーザス=イエス)キリスト」だと思う
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「実のないことを避けて、(実のある)キリスト教を学びましょう〜」なのかな?
たしかに!読めておらなんだです
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>Lui fequitur me, non ambulat in tenebris, fed habebit lumen uita. Joao. 8
ラテン語として判別してる
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Johnとは「ヨハネによる福音書」のこと
なるほど
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> イエスは、また人々に語ってこう言われた、「わたしは世の光である。わたしに従って来る者は、やみのうちを歩くことがなく、命の光をもつであろう」。
+1
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冒頭の
御あるじのたまはく、我をしたふ者は、闇を行かずただ命のひかりを持つべしと。と呼応してる
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>(へりくだりなきによてちりんだあでの御内証をそむき奉らば、其御内証の高き御事を論じてもなにの益ぞ。まことにこびたる言葉は善人にも正しき)人にもなさず、ただ善の行ひこそ人を
の御内証にあわせ奉る?也。
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おそらく固有名詞
行ひたる人?
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「こそ」かも
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なるほど
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奉る?也
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者?
者でよさそう
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>こんちりさんといふこうくはいの理を知るよりも、それを心に保つ事は猶好ましき事也。
こんちりさん
> キリシタン用語。深く罪を悔いること。痛悔〈日本国語大辞典〉
痛悔を後悔ということのわけを知るよりも、それを心の内に保つ事はより好ましいことである。
>びいびりあといふたつとききゃうもんのうへをことごとくそらんじ諸々のがくしゃうのごを知り尽くしても、
の御大切とがらさなくんば皆何の益ぞ。
びいびりあ
Biblia。聖書をいうらしい
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>びいびりあといふたつとききゃうもんのうへをことごとくそらんじ
聖書という尊い経文の上をことごとく諳んじ、か?
がくしゃう
>学問に長じていること。また、その人。学者。ものしり。〈日本国語大辞典〉
>天草本伊曾保物語〔1593〕イソポの生涯の事「ソノトコロニ シャントトユウ gacuxoga (ガクシャウガ) アッタガ」
がらさ
「とがらす(尖らす)」かと思ったけど違うみたい
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>キリシタン用語。(神の)恩寵。聖寵。〈日本国語大辞典〉
なるほど~
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聖書という尊い経文をそっくり諳んじて、諸々の学者の語を知り尽くしたとしても、〇〇の愛と恩寵がなければ一体何の役に立とうか。
やっぱ
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は神っぽいね
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当時の日本人が「
神」という言葉でイメージするものとは乖離してて、神と呼ぶことが誤解を招くから新しい言葉と字を作ったのかな
当時の「神」の使われ方を見てみたい
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菅原道真が死んで怨霊になって困ったから天神さんになってもらった的なカルチャーじゃないのかな
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>1868年に神仏分離令が交付。神宮寺、鎮守社、権現号や菩薩号、神社内の仏像など奈良時代より続く、神仏の関係は外見上、姿を消した。
割とドタバタしてるな…
いや今回は1610年の話だからまだまだか
>日本の神はインドの仏・菩薩が民衆を救うために現れた(権現)とする、本地垂迹説
この状態が長く続いてまだ壊れてないくらいか
そりゃキリスト教の神を「神」と呼んだら「仏の顕現」ってことになって都合悪いわな
>*日葡辞書〔1603~04〕「Arafitogami (アラヒトガミ)。すなわち、ヒトニ ツキタタル カミ」
>*日葡辞書〔1603~04〕「Icusagami (イクサガミ)。〈訳〉マルス、すなわち、戦争のカミ(神)」
>*日葡辞書〔1603~04〕「Quojin (クヮウジン)。アラキ カミ〈訳〉台所のかまど、なべの加護を願う神」
>
御一体を大切に思ひつかへ奉る事よりほかはみもなき事の皆みもなき事也。
ここからしばらく「みもなき事」尽くし
>世をいとひて天の国に至らんとこころざす事、最上の知恵なり。しかるときんば、はつるたからを尋ね求めそれに頼みをかくる事みもなき事也。
接続詞で「そのようなときには」「それゆえに」という意味
はつるたから
なくなってしまう宝か?
>位誉れをのぞみなげき身をたかぶる事もみもなき事なり。
>こつにくののぞみをしたひ、いごふかくめいわくすべき事をのぞむはみもなき事や。
>ぎやうぎのただしからん事をなげかずしてながいきをのぞむはみもなき事也。
>ぜんざいの事をのみもっぱらとしてみらいのかくごをせぬ事はみもなき事や。
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半濁点みつけた
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>はやくはつる事を大切におもひはつる事なきたのしみをいそぎもとめぬもみもなき事や。
>ひとのまなこはみる事にあかずみみはきく事にたつせずといふとをつねに思ひいだすべし。しかるときんばわが心をもくぜんの事よりはなち目にみえぬかたにうつす事をなげくべし。其のゆへはしきしんの
下線のついているとこよくわからない、途中から漢字振り替えもやってない
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下線部分は注釈をみて解決した
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稀書解説. 第2編 (大正9-15)