生きていること
Being Alive: Essays on Movement, Knowledge and Description
翻訳版が刊行されたのは2021年だけど、原著は2011年に発行された
両方の序章を読むと、ほとんど同時期だったように見える
序文より
> いろいろな意味で、本書は二〇〇〇年に公刊された私の小論集『環境の知覚』の続編となっている。二十世紀最後の十年間に私が書いたものから選んだ小論を集めた『環境の知覚』と同じく、本書は二十一世紀の最初の十年間の小論を集めたものである。
> 生きることは線に沿うものあるいは散歩だという考え、運動の優位性、地面の性質となりたち、住まう地面と遠い惑星というこの大地に対する分裂した視点、大地と天空の交錯、風と気象の交錯、素材の流動性と摩擦、光や音、感触の経験、つくることの意味、線で描くこと、字を書くことと物語ること。
> 動くこと、知ること、そして記すことは直列につながれる別々の操作ではなくて、むしろおなじプロセスの並列した複数の側面であり、生そのものに他ならない、
動くこと、知ること、そして記すこと
Movement, Knowledge and Description
> 動くこと、知ること、記すことは世界の内に浸され、存在する以上のことを要求する。動くこと、知ること、記すことは観察することを要求するのである。
> 動き、知り、記す存在は注意深い目をもたなければならない。注意深い目をもつということは、世界に向かって生きていることを意味する。
> 本書は、生きていることについての研究を集めたものである。
目次
序文、および謝辞
プロローグ1 生に還る人類学
第一部 地面を切り拓く
2 素材対物質
3 地面の文化 足を通して知覚される世界
4 板を歩く 技術に熟練する過程を考える
5 動くものを再考すること、思考を再び動かすこと
6 点・線・対位法 環境から流動空間へ
7 アントがスパイダーと会うとき 節足動物のための社会理論
第三部 大地と天空
8 大地のかたち
9 大地、天空、風、そして気象
10 ランドスケープか気象世界か
11 サウンドスケープ概念に対する四つの反論
第四部 物語られた世界
13 分類に逆らう物語 輸送・散歩・知識の統合
14 物語ることとしての名づけ アラスカのコユコン族が動物について話すこと
第五部 線描すること、つくること、書くこと
15 Aという文字の七つのヴァリエーション
16 精神の歩き方 読むこと、書くこと、描くこと
17 つくることのテクスティリティ
18 線を束ねる 行なうこと、観察すること、記述すること
解題|生きている世界へのまなざし(野中哲士)
謝辞
索引/文献一覧