> 叙事詩環(じょじしかん、ギリシア語: Επικός Κύκλος エピコス・キュクロス、英語: Epic Cycle)とは、古代ギリシアで作られた、トロイア戦争に関する叙事詩サイクル(一群)のことである。叙事詩の環、叙事詩圏とも。叙事詩環に含まれる叙事詩を並べると、トロイア戦争についての記述が完結する。ホメーロスの叙事詩(厳密にはホメーロス作と言われる叙事詩)『イーリアス』と『オデュッセイア』も入れる研究家もあるが、ホメーロス以外の詩に対して用いられる場合がより多い。
題名 | 巻 | 作者 (推定) | 内容 |
キュプリア | 11 | スタシーノス | トロイア戦争の引き金となった事件、とくにパリスの審判と、トロイア戦争の最初の9年間。 |
イーリアス | 24 | ホメーロス | アキレウスのアガメムノーンに対する憤激。親友パトロクロスを殺された復讐としてトロイア王子ヘクトールを殺害。 |
アイティオピス | 5 | ミレトスのアルクティノス | ペンテシレイアならびにメムノーンがトロイアの援軍としてやって来てアンティロコスを討つが、復讐に燃えるアキレウスの手で殺される。さらに、アキレウスも死ぬ。 |
小イーリアス | 4 | レスケース | アキレウスの死後の出来事。トロイアの木馬の建造を含む。 |
イーリオスの陥落 | 2 | ミレトスのアルクティノス | ギリシア軍によるトロイの攻略。 |
ノストイ | 5 | アギアス or コリントスのエウメーロス | ギリシア軍がトロイアを去る。アガメムノーンとメネラーオスの帰還。 |
オデュッセイア | 24 | ホメーロス | オデュッセウスが長い航海の果てに帰郷。不在中、妻ペーネロペーに求婚していた敵への復讐。 |
テレゴネイア | 2 | エウガモン | オデュッセウスのテスプローティアーへの旅とイタケーへの帰還。キルケーとの間に生まれた子テーレゴノスのために死ぬ。 |