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グローバル・ヴィレッジ
> マクルーハンは、テクノロジーの進歩とコミュニケーションの変化を「グーテンベルクの銀河系」から「グローバル・ヴィレッジ」への変化と捉えた。われわれは銀河系の住人からムラの住人になろうとしている。
> 「グローバル・ヴィレッジ」、グローバルという大きな世界を表す言葉とヴィレッジという小さなムラを表す言葉の合成。大きさと小ささ。スケールの大きさとその中に含まれる断裂対立分断のイメージ。
> 鷲田清一は、宇野重規民主主義のつくり方」の書評にこう書いた。「統合ではなく対立や分断を内に抱えていることが社会の構成要件になってゆく」。断裂対立分断は歴史の中で何回も何回も、いろいろな場所で現れる。

> マクルーハンはこの用語を文字通り世界規模の村という空間的な名称として用いているが、現在ではある歴史的段階を指す名称として使われている。すなわち、マクルーハンの言う「グーテンベルクの銀河系」に続く時代である。グーテンベルクの銀河系とは、根源的には「表音アルファベット」(マクルーハンの用語で、表音文字のこと)の発明まで遡ることのできるものだが、狭い意味ではグーテンベルク印刷機という技術上の発明によって導き入れられたものである。
> 1960年代前半のマクルーハンの見解によれば、西洋文明のグーテンベルク銀河系時代は終わりつつある。グーテンベルク銀河系時代の視覚文化に代わって、電子メディアを基礎とした「電子的な相互依存」の時代が始まるという。
> 人類が、グーテンベルク銀河系が象徴する個人主義と孤立の世界から、「部族的基盤」をもった集合的アイデンティティへと移動する。この新しい社会構造を指してマクルーハンは「グローバル・ヴィレッジ」という新語を用いたのである。後年この語は普及につれて肯定的に用いられるようになったが、もともとマクルーハンはこの語を否定的なニュアンスで使っていた。