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ルミナス
ハヤカワ文庫SF・短篇集『ひとりっ子』収録 http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/11594.html
ハヤカワ文庫SF・アンソロジー『90年代SF傑作選 下』収録、版元品切

概要
イーガンの得意とする数学的な要素が主題のハードSF。
星雲賞受賞。

おすすめポイント
これぞハードSF!
イーガンといえば物理学的なSFを書く人であるというイメージが強いかと思いますが、実はイーガンの学位は数学の理学士。物理学はイーガンにとっては周辺分野に過ぎないのです。
そんなイーガンの作品の中でも、本作は特に数学的な要素が強く前面に打ち出された作品です。数学はその体系の中に矛盾を含まないように形成された論理体系ですが、イーガンはそこの少しだけ嘘を仕込むことで、直感に反するものすごく面白い論理体系を構築します。
有限回の自明な操作を繰り返すことでAという命題から非Aという命題を導き出せてしまう。その数学を悪用しようとする秘密結社と、世界を守ろうとする数学者たちのたたかい。数学風の装飾が過多なだけで、物語の主軸は非常に明確かつ古典的な作品でもあります。
この作品を読むと、円城塔さんの作品『Self-Reference ENGINE』と『Boy's Surface』の理解がものすごくよくなると思います。

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