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マルコフブランケット


マルコフ過程(マルコフかてい)とは、マルコフ性をもつ確率過程のことをいう。
すなわち、未来の挙動が現在の値だけで決定され、過去の挙動と無関係であるという性質を持つ確率過程である。

関係性のある確率場
>統計学や機械学習において、ある変数の集合で確率変数を推論したいとき、通常はある部分集合で十分であり、それ以外の変数は無用である。このような、有用な情報をすべて含む部分集合をマルコフブランケットと呼ぶ。

有用な情報をすべて含む部分集合がマルコフブランケット。
因果性ないし、相関性の認められる統計的部分集合

マルコフブランケットが最小である場合、つまり、情報を失うことなくどの変数も落とすことができない場合、それはマルコフ境界と呼ばれる。
マルコフブランケットやマルコフ境界を特定することで、有用な特徴を抽出することができる。
マルコフブランケットとマルコフ境界という用語は1988年にジュデア・パールによって作られたものである。


Miyabiこっからここまでは関係あるけど、そこから先はあんまり関係ないよ。みたいな、確率分布の概念。
Miyabi界面活性剤がアナロジーとしてはわかりやすい。界面活性剤は泡を形成するが、これは親水性のある部位と、親油性の高い部分に別れている。この時、閉じた泡にとっては、内部は親油性が高く、外部は親水性が高いという形のマルコフ性を示す。

>英国の脳神経学者カール・フリストンによれば[Friston, 2013]、細胞膜が果たしている機能は、機械学習に関して唱えられた「マルコフ・ブランケット」と同じ考え方で説明できるのだとする。
>マルコフ・ブランケットという考え方は、システムが相対的に局所的な作用関係を中心に構成される場合、「遠い」サブシステムどうしは影響し合わないので、その結果として常に「内部」と「外部」との区分けが起こり、「内部」と「外部」との間に仕切り──即ちマルコフ・ブランケットが生じ、「内部」は「外部」の変化を推論して適応しようとするメカニズムが生成される、という考え方。

細胞膜はまさにこのマルコフ・ブランケットである。
細胞内と細胞外のやりとりはすべて細胞膜を通して行われる。その結果として細胞膜の「内と外」を分ける機能がますます強化される。
>フリストンは、従来のように内部のエントロピーの拡大を防ぐために細胞膜が機能していると考えるのではなく、より人工知能的に、細胞はその周辺の環境から「サプライズ・ショック」を受けないように周辺環境に働きかけ、その働きかけを通じて周辺環境を感知するという機能を果たしており、そのことが結果としてあたかも内部のエントロピーの拡大をおさえ自由エネルギーを極小化しているように見えるのだ、と主張している。
この常に外部のデータを感知しながら、「サプライズ・ショック」を受けないようにするメカニズムは、人工知能で活用されているベイズ推定と同値
FEPがベイズ脳と言われる所以。

>マルコフ・ブランケットそのものはさらに二つの部分、すなわち「外部」を感知する「感覚」部分(センサ)と、「内部」からの働きかけを行う「行動」部分(アクチュエータ)に分けられるとし、この外部-マルコフ・ブランケット(感覚・行動)-内部というスキーマは、細胞の内外のみならず、まさに脳と外界との関係とも共通なのだと、述べている。つまり、複雑性が増大しパターンを生むメカニズムと、その複雑性を感知するメカニズムとは同型であるということに他ならない(第3章3・1節で紹介したように、深層強化学習は同様にセンサとアクチュエータのループ構成を採用している)。

Miyabiサイバネティクスにおける制御のように見えるものが、実際には偽目的性であり、あたかも制御に見えるだけである。
確率分布で近似して表せるということ。
同調するシステムを制御する時のサブシステムは線形一致性するが、相互に創発的な線形一致を示す系は、あたかも制御に見える。
この部分が能動的推論と関連する。

マルコフ・ブランケットは細胞レベルに現れるだけではなく、さまざまなレベルに適用可能。

動物(人間)というマルコフ・ブランケット
器官というマルコフ・ブランケット
細胞というマルコフ・ブランケット
原子核というマルコフ・ブランケット


>理論的考察により自由エネルギー原理の普遍性を示す研究も行われている。一般に、生物とその周囲の環境が区別されることは、内部状態と外部状態を統計的に分離するマルコフブランケット(Markov blanket)の存在を示唆する。
>システムが(非平衡)定常状態に達したとき、
>生物の内部状態の条件付き期待値は、外部状態に関する事後確率を表現していると見なすことができる。このことは、いかなる(非平衡)定常状態も、何らかのベイズ推論を実現していると解釈できることを意味する。



引用