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駆け出しマネジャーの成長論 〜 7 つの挑戦課題を 「科学」 する

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まとめ
マネジャーとは?
本質は、他者を通じて物事を成す人のこと
他者とは、部下だけでなく上司や他部門の長、経営者なども
対人関係 : 挨拶屋、ベクトル合わせ屋、連絡屋
情報関係 : 分析屋、伝達屋、宣伝屋
意思決定 : 変革屋、障害やりくり屋、配分屋、決定屋
実務担当者からマネジャーになるには、「生まれ変わり」 が必要
現代のマネジャーを取り巻く環境 (過去との違い)
突然化 : 組織構造がフラットになったため、マネジャーの練習をすることなくマネジャーになる
二重化 : マネジャーにもプレイヤーの役割が求められる
多様化 : 組織の人員が多様化しており、過去では飲み会コミュニケーションが有効だったが現代はそうではない
煩雑化 : 高度情報化が進んだ結果、予防的な雑事が増加している
若年化 : 経験の浅いマネジャーが増加している
マネジャーになるということ
ポジティブな感情とネガティブな感情を持つことが普通
自分の感情をモニタリングしながら、焦らず少しずつ前進すること
日々仕事を振り返って、矛盾や混沌といったディレンマをマネージしていく
マネジメントの原理原則を学びなおし、自分なりの原理原則を導き出していくこと
会社・組織として
マネジャーは自身の仕事にやりがいを感じている一方で会社からの支援や資源が不足していると感じていることが多い
階層研修にはマネジャー自身の目線に立つ視点や、マネジメントを学ぶ機会が不足している
人事・人材開発担当者へ
経験の浅いマネジャーには、メンタリングの機会とフォローアップ研修を
中長期の視点での育成には、あらゆる諸階層に対して人材開発
企業経営者へ : 経営者自身が学ぶこと、さらには社員の学びの環境を整備していくこと

内容詳細

>どんなによいビジョンがあっても、PDCA を発揮して、ヒト・モノ・カネを細かく管理していかなければ、部門は動きません。

>マネジャーとはひと言で言ってしまえば、図表 1 に見るように 「Getting things done through others」です。 「Getting things done」 とは日本語にすれば、「物事を成し遂げた状態にすること」 です。 そして 「through others」 とは 「他者を通じて」 実現することを言います。 ということは、「Getting things done through others」 つまり 「他者を通じて物事を成し遂げること」 がマネジャーの本質ということになり

>マネジャーになっていく人は、原則としては 「自分ではタスクを追ってはいけない」 「自分が動いてはいけない」 という意識の転換を求められることになります。
本書でも出てくるけど、プレイングマネジャーであれ、みたいな期待がなされているときにこれが難しい nobuoka

>部下は 「他者のひとり」 であって、すべてではありません。 マネジャーには、部下以外のさまざまな 「雑多な存在」──場合によっては、マネジャー自身の上司や、他部門の長、経営者──とつきあい、かつ、彼らを動かしていくことが求められます。 マネジャーの日常は 「組織の (さまざまな人々の) 狭間を動くこと」 に費やされるのです。
わかる〜〜 nobuoka

>外部環境の変化に応じて、組織の中でリスクをとって変革を起こしていく役割のことを言い

>組織の目標を達成するために、職場のメンバーに対して、ヒト・モノ・カネなどの資源を「配る」役割を言います。

>すなわち、マネジャーは最初から「マネジャー」として会社に存在してい

>マネジャーが経験しなければならない変化 (学び) には、2 種類のものがあります。
>1 つは、実務担当者時代の未経験分野を新規に学び直すこと、もう 1 つは実務担当者時代に身につけた知識やスキルをマネジャー用に変更することや、場合によってはそれらを捨て去ることです。

>キャリア発達論で知られるナンシー・シュロスバーグによると、キャリアの転換期 (トランジション) に対処するためには、自己 (Self) の属性や、他者から受けられる支援 (Support) の中身を知っておくことに加え、自分が置かれている状況 (Situation) をしっかりと把握し、戦略 (Strategy) を立てることが大切だといいます (この枠組みを「4S システム」と呼び

>スパン・オブ・コントロール (span of control)」 という概念がよく用いられます。 「 管理する範囲 (管理できる人数)」 という意味です。 その古典的原則では、「どんな上司も、連動する仕事に従事している 5 人以上あるいは 6 人以上の部下の仕事を直接管理することはできない」 とされています。

>日本のミドルマネジャーの多くが、プレイヤーの部分をあわせ持ちつつマネジメントを行っていることがわかります。
はい nobuoka
エンジニアリングマネジャー の話とかでは 「できる限りプレイングはやれ」 みたいな話もある

>しかし、ここには落とし穴 (pitfall) もあります。 マネジャーが、「プレイヤーとしてかける時間」 と 「マネジャーとして働く時間」 のバランス、つまり 「プレマネバランス」 をうまくとりながら仕事を進めるのは、そう簡単なことではありません。 「プレマネバランス」 をうまくとることを現代のマネジャーは実践知として学ぶ必要があるのです。
どうしてもマネジャーになりたての頃はプレイングの比重を大きくしてしまいがち nobuoka

>膨大なペーパーワークに関与せざるをえないマネジャーは、本業で成果を出すという 「前向きな仕事」 に取り組む余裕を奪われます。 膨大なペーパーワークをこなさなければならないために、部下と面談をする時間、戦略を構想する時間などが失われてしまうのです。 その結果が 「僕にマネジメントをさせてください」 という叫びにも似た言葉にあらわれています。

>マネジャーの受信トレイを脅かしているのは、「一応、報告しておく」 という目的のための 「CC メール」 です。 その量はすさまじいものになり、あるマネジャーは 1 日に 200~300 件の CC メールを部下から受け取っていると言います。
>僕はこうした CC メールを 「CC 爆弾」 と呼んでいますが、部下の方からすれば、何かあった場合にも 「マネジャーにも CC しましたよね」 と、リスクヘッジができるので、非常に便利なのかもしれません。 しかし、それを受け取る方は 「雑多で煩雑な世界」 を生きなくてはなりません。
自分も上司を CC に入れがちなので気を付けよう nobuoka

> あるサービス系の IT 企業の人材開発部長は、「 うちの人材育成は 40 歳で CEO、38 歳で役員クラス、35 歳で部長級、30 歳で課長級を育成しなくては、競争に勝てません」 とおっしゃっていました。

> 新任マネジャーが実務担当者からの移行において乗り越えなければならない課題は、 ① 部下育成、 ② 目標咀嚼、 ③ 政治交渉、 ④ 多様な人材活用、 ⑤ 意思決定、 ⑥ マインド維持、 ⑦ プレマネバランスの 7 つです。

> こうした行動のことを組織論では「プロアクティブ行動」と呼んだりし

> 部下育成の原理とは、リスクをとって部下に仕事を任せ、適切なタイミングでフィードバックをすること です。

> 「立ち位置」は「メンバー」と同じで、「顔」は「会社の方向性」に向ける。

> でも、中長期で見れば、パフォーマンスは落ちますね、確実に。 (鉄鋼/Aさん)

>3番目の挑戦課題である「政治交渉」は、 組織内にネットワークをつくり出し、それを通じて自部門に資源(ヒト・モノ・カネ)を集めつつ、かつ、他部門ともうまく協調していく

>マネジャーが交渉・調整を行う相手には、自分の上司も含まれます。 マネジャーは 「自分の国」 を切り盛りするために、上司とのコミュニケーションを通じてその意向をくみ取ったり、時には上司を動かしたりしなければなりません。 そのような交渉・調整のことを「ボスマネジメント」と呼び

> 僕の印象では、マネジャーが抱く人間関係上の悩みは、6~7割が部下に関するもの、3~4割が上司に関するものです。

> 実務担当者より少ない知識や情報をもとに、リスクやメリット、デメリットを勘案して、適切に部門の意思を決定し、自ら責任を負わなくてはなり

>マインド維持とは、ひと言でいえば「折れないように自分を維持すること」です。

> マネジャーに必要なのは)「不真面目力」と「スルー

> 多くのマネジャーの時間や精神的余裕は有限ですし、部下のキャリア意識や成長意欲もまちまちです。ですから、マネジャーはどうしても「誰を育てるのか」という厳しい問いと向き合わなくてはなりません。

> 「納得」をつくりだすことは、かくして大変重要なことです。

> 「部下の現在の能力 仕事の難易度」となるようなマッチングを考えて、部下に自分の能力を上回る仕事に挑戦 してもらわなくてはなりませ

>たとえ自分がやった方が 10 倍速く終わる仕事であっても、部下に任せる。

>このように上司の行う 部下育成は、「快適空間」でもなく「混乱空間」でもない、ほどよい挑戦が求められる空間、いわゆる「挑戦空間」をつくること。 その空間においては、 ① 業務内容やめざす目標について部下の腹に落とすこと(≒目標咀嚼)、 ② 背伸びや挑戦を含む業務経験を与えること(ストレッチ)、 ③ 仕事の進捗を見て、適宜、部下の振り返り(内省)を促すことが大切だということになります。

>目標咀嚼」は、高業績マネジャーとそうでないマネジャーで明確に差が出やすい挑戦課題


黄色のハイライト | 位置: 1,350
会社や組織の目標や戦略を、そっくり「そのまま」職場の部下に伝えるのがマネジャーの仕事だと考えるのは誤りです。


黄色のハイライト | 位置: 1,377
ぜひ意識したいことは、職場メンバーに同じ船に乗ってもらうための「ポジティブ・ストーリーをつくること」


黄色のハイライト | 位置: 1,483
ボスを動かすことについて「段取り」 と「ロジックづくり」 という実践知を駆使してい

> 「他部門の現状理解」 とは、先のボスの時と同じように、他部門の目標や目的、そして置かれている事業環境、さらには持っている強み (中核技術や人材など) や弱み (現在の事業においては不足している部分) の現状を理解し、それを自部門と関係づけることです。 情報に基づいて、仕事上の関係づくりを日常から行っておくことが 「他部門との関係構築」 になります。 しかし、上司の場合でもそうであったように、他部門も 「情」 だけでは動きません。 「数字=他部門にとってのメリットを冷静に提示すること」 と 「錦の御旗=会社全体のことを考え、ひと汗かかないかという思い」 を使って、動かしていくことが求められます。

> グローバルに対応するマネジメントを行うとは、「一つひとつ言葉を尽くして説明して、納得解を得る

> なかなか見えにくいのは、本人が何を思っているのかという感情のこととか、部下同士のつながりです。そういう情報を取ることは、職場を見極める上でとても大切。自分

> マネジャーとして赴任したら、 まず職場を「泳がせる」こと ですよ。いろいろなことを見極めるために、職場を泳がせる。そうすると、部下のいろんな個性やら、関係やら、職場で起きている弊害やら問題やらが見えて

> 迅速な意思決定ができるマネジャーは、判断するスピードが速いのではありません。「迅速な意思決定ができること」とは「いつも考えていること」と同義 です。

> ここまで「部下育成」「目標咀嚼」「政治交渉」「多様な人材の活用」「意思決定」という5つの挑戦課題の克服法を、関連する科学的知見やマネジャーの方々の語りを編み込みつつ、検討してきました。これらの課題は「職場を動かすこと」に関する「攻めの能力」とも形容できます。マネジャーは部下・上司・他部門の長など、さまざまな人々の「狭間」にありながら、目標を掲げ、人を「同じ船」に乗せていきます。


黄色のハイライト | 位置: 1,938
ネットワークとは「ある」ものではなく、自ら「つくりだすもの」であり、そして「メンテナンスするもの」です。 マネジャーにとって、「マインド維持」を克服するため、「孤独にならない日々の努力」をすることは大切なことのように思います。


黄色のハイライト | 位置: 1,966
挑戦課題 ① の部下育成の項でも見たように、部下育成の眼目は、結局は「仕事を任せること」です。これを機会に3や4の仕事を下に任せていくことで、プレイヤーとマネジメントのバランスをとりつつ、部下を育成することにもつながるかもしれません。


黄色のハイライト | 位置: 1,977
断片化を避けるためのひとつの工夫は、似通った案件・仕事を「まとめて」 しまうことです。つまり、似通った案件、一緒にやった方がよい仕事を、ひとつの場で、ひとつの機会で処理してしまうことができます。スケジュール帳を見直してみて、「断片化した案件」をまとめて、もう少し、効率的な時間の使い方を行うことができないでしょうか。そうしたことを考えてみることも一計


黄色のハイライト | 位置: 2,097
ひとりの人間を「マネジャー」に昇進させるということは、「経営のフロントライン」に迎え入れる、ということです。彼/彼女に成果を求めるのならば、それに必要な資源と支援を与えることは、大切なことです。しかし現在、その支援は必ずしも多いわけでありません。


黄色のハイライト | 位置: 2,168
のは、「メンタリングの機会を設けること」 と「フォローアップ研修」 などを充実させることです。先行研究の知見によりますと、なるべく早い時期に、 マネジャーになる前やなった直後、すなわちエントリーレベルにおいてさまざま


黄色のハイライト | 位置: 2,189
次に「フォローアップ研修」 です。これは「マネジャーになって半年から1年ほど経った経験の浅いマネジャーに、自分の職場・部下・上司を振り返る機会を与えることと、次のアクションを決める機会をつくること」


黄色のハイライト | 位置: 2,227
2日目の自己を知るワークショップでは、受講者に「私の履歴書」を書いてもらいます。といっても、自分で書くのではなく、2人1組のペアをつくってお互いにインタビューをし合い、それぞれが「相手の履歴書」を書きます。

>上司と組織について知るワークショップでは、インプロビゼーション (即興劇) をやります。受講者はそれぞれ自分の上司の役になり、

> アサヒビールでは、数社との提携によって「武者修行研修」を行っており、マネジャーになる手前の人材を選抜し、異業種企業に 1 年間、派遣しています。 これはマネジャー育成を直接の目的としたものではありませんが、 出向者にとっては視野を広げる機会、自社や自分について内省する機会となります。

>この OJT 指導こそが 「マネジャー育成」 の第一歩なのです。 なぜなら、OJT 指導のプロセスにおいては、「下をよく見ること」「下にわかりやすく

>経営層にとって 「学ぶ」 とは、自らが学ぶことでもありますが、それは、自社の社員の学びの環境を、自らが整備していくことに他なりませ

>時、「好かれたい」という気持ちを捨てなきゃいけないと思いました。 なんというか、やっぱり、 人は誰だって「いい人ぶりたい」じゃないですか(笑)。でも、 その気持ちは捨てると覚悟を決めたんです。言わなくてはならない時は言わなくてはなら

>マネジャーもそれに似ていて、「こういう組織をつくりたいんだ」 とか 「こういう会社にしたいんだ」 というようなストーリーを語っていくことで、自分の色を出していけるんじゃないかと思い

>私は上司から 「部門の壁を越えて部下を持ったと思え」 と言われたことがあるんです。「そういうふうに育てると、必ず結果が返ってくるから」と。

>ボスに出世してもらうことが自分の仕事だと割りきっています。「どうぞ、私の手柄は持っていってください」っていうふうに気持ちを切り替えられるようになってからは、ストレスは感じなくなりまし