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空気が支配する日本ではブロードリスニングが重要
日本の文化は特殊なのだが、まず「どのように特殊なのか」をもっと解像度高く理解する必要がある。

Erin Meyerの研究によれば日本は階層的で合意重視の極端な文化
右が階層的、下が合意重視
右下の端が日本
チームの意思が決定されたら、そのチームに属する個人がチームの意見に反対しにくく感じる文化(階層的)
図はThe Culture Mapから引用(下記二つも)
しかしボスやチームリーダーが一人でチームの意思決定をすると反感を買う。(非トップダウン)
チームメンバーは自分が意思決定のプロセスに関与できないと不満を感じる。リーダーには一人で意思決定をするのではなく、メンバーの意見を集めて判断することが期待される。(合意重視)
「ボス個人がチームの意思を決定することができないのに、上位者の意思決定に逆らわない階層主義である」これはマイノリティの文化
散布図では日本とドイツとベルギーだけ
世界の多くの文化の人は「よくわからない、矛盾しているのでは?」と思うだろう
なぜ日本でこのような状況が発生するのかというと「上位者」が「ボス個人」ではないから
日本では「空気が支配する
日本では「会社」「組織」「チーム」「空気」などに人格があるかのような表現がある
「会社の意向に逆らう」など
これが日本における上位者
ボス個人がトップダウンで意思決定をすることは「上位者に逆らうこと」になるから嫌われるわけだ


これに加えて日本文化の特徴的な性質が対立回避
他人の意見に対して「私は反対だ」と言わない
議論を避ける
この文化が強いコミュニティだと「発言する人」が、すごく怒っていたり、おかしな思想を信じ込んでいたり、精神的におかしくなっていたりする割合が高くなる
発言閾値が高いので、それを越えるエネルギーを持った人だけが発言するから
この種の過激な発言をみて、大多数の人が「発言すること」をネガティブに感じることでこの文化が維持強化されている
政治的対立
コンセンサス重視なのに他人と異なる意見を言うことを恐れる不思議な日本人
上記の二次元散布図では、日本の他にはドイツとベルギーが右下の象限だった
そのドイツは対立に関する軸では日本と反対側の端にいる。彼らは積極的に議論する。
日本人は、自分の意見を発言しないのに、自分の意見を聞いて欲しいと思ってる
個人的には「それはおかしいだろ」と思うnishio
日本の文化がもっと自分の意見を表明する方向に変わっていくのが好ましいと思う
しかし、文化はコントロール困難なので、現時点ではこの文化を制約条件だと考えて、それに適したシステムを設計する必要がある

Audrey TangによるPluralityの解説で、下記のように書かれている
>統計学の進歩は、何百万人もの人々が仲間の意見の分布から抽出されたエッセンスを聞くことができる「ブロードリスニング」を可能にし、大規模で民主的な熟議を強化することができます。
トップダウン意思決定の文化では、トップがみんなの気持ちを理解する力の強化になる
コンセンサス重視の文化では、みんながみんなの気持ちを理解することの強化になる
この「みんなの気持ち」とは、日本では「空気」であり、それが可視化されることによって誤解したり解釈が食い違ったりすることが減る
「空気によって統治されている日本の組織」を空気のデジタル化によって高速なデジタル民主主義に置き換えていくキーになるのがブロードリスニング

海外で成功しているブロードリスニングのやり方を、そのまま日本に持ち込んでもうまくいかない
文化という制約条件が異なるからだ
gpt-4ブロードリスニングは個々の意見や視点の共有を奨励し、全体の意思決定に対する貢献を通じて、日本のコンセンサスと階層的な文化に特に適しています。しかし、日本の「対立回避」の傾向はブロードリスニングの実施を困難にする可能性があります。メンバーは自分の意見を表明することをためらい、ブロードリスニングが求める全ての視点と意見の開放的な表現を妨げます。そのため、メンバーが自分の意見を安心して表現できる環境を作ることが求められます。
メンバーがためらわずに意見をいう文化でのやり方を、そのまま日本に持ち込んでも「みんな意見を言ってくれないなぁ」になる
日本の状況に合わせた修正が必要だ
Polisの意見投稿、なんとなくデフォルトの「記名でなければ意見を投稿できない」のままにしてたんだけど、むしろ「すべての意見は匿名化されます」の方がいいのかもな
関連: 日本はSNSの匿名利用が多い: Twitter匿名割合
>Twitterの利用者では日本は「匿名利用」が7割を超え、他国に比べても顕著に匿名利用が多い状況にある --- 総務省|平成26年版 情報通信白書|インターネットリテラシーの重要性
総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)


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