>表札が思いつかれるのは、何枚かの「親近性のある」紙きれの一行見出しが、単に文字記号面だけの意味だけでなく、その意味の中心を取り巻いて、その周囲にモヤモヤと連想的雰囲気をたたえているからである。一行見出しを作るときに、「けっして抽象化しすぎるな」、「堅くるしい熟語や術語にこだわるな」、あるいは「できるだけもとの資料の土の香りを残せ」などという注意をあげたのは、ここのところである。最少必要限度の「概念化過程」が大切なのであって、不必要に「概念」にまで仕上げてはならないのである。