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評価懸念

傍観者効果の要因の1つ
他者からの評価を気にかけることであり、援助行動に限らず、他者が存在する場面では、他者の目にどのように映るかを気にしながら私達は行動している
自分がとるべき行動が明白でない場合、周囲に他者がいるほど自発的な行動が抑制される
評価懸念は規範的影響とも強く関係している
先走った行動はその場の暗黙の社会規範を破る可能性があり、自分が良かれと思ってとった行動でも、他者からの非難や排斥を招くことが予想されるため、抑制されやすい

「他者からの否定的な評価に対する心配や,否定的に評価されるのではないかという予測に対する心配」(Watson & Friend, 1969)
この「否定的に評価されているのではないか」という不安は,自分が他人と比べて劣っているというネガティブな自己像を反映したものであるという(Butler, 1993)

社会的評価不安
社会的状況における苦痛不快感恐怖不安などの程度
社会的状況における意図的な抑制行動や回避行動
他者からの否定的な評価を受けることに対する恐れ
面前に他者が存在するかしないかといった状況の違いはあまり関係がない
聴衆の面前に立つ場合や知らない人と接する場合などの直接的な対人場面に限らず、それを予測したり改装することによっても生じるから
他者に否定的に評価される材料を与えてしまったかどうかわからない場合や、客観的に考えると不安を感じる理由は何もない場合でさえも生じる
評価懸念対人不安(social anxiety)の中核的な概念であるとされている(Leary, 1983a)
「現実あるいは想像上の対人場面において、他者から評価を受けたり、それを予期したりすることによって生じる不安」(Schlenker & Leary, 1982)
「人前に出たときに感じる不快感」(Buss, 1986)
評価懸念は単なる対人不安の下位概念にとどまらない多様な不適応問題を説明することができる可能性のある概念
評価懸念が回避行動の頻度や不快経験の有無とは明確に区別される一方で(Watson & Friend, 1969)、対人不安という概念には複雑に関連しあう次元(感情認知行動)が混在している(山本・田上, 2007)
扱っている次元の違いという点で弁別可能
"気がかり"や"心配"といった認知的な不安の程度(山本・田上, 2001a)である評価懸念
感情・認知・行動という複数の次元で捉えられる対人不安
行動感情認知によって決定づけられており、行動と感情の変化は認知の変容によって生じる(Spence, 1994)
認知的な不安の程度を表す評価懸念を取り上げることは、不安にまつわる行動や感情の理解や変容にも役立つ可能性がある