第8章 VRと社会
8.1 ヒト・社会の測定と評価
8.1.1 実験の計画
8.1.2 心理物理学的測定
感覚が生じるか生じないかをランダムに提示して有無を実験する
主観的な基準に影響されやすいので、感じるかどうかではなく、どちらが感じるかを判定させるのがいい
このとき出鱈目に判断していたら正答率は50%になる。正答率75%を閾値(感じる可能性が50%)とする
独立変数をどうとるかによってさまざまな問題が起こる
主観の影響が入りにくい良い方法だが、閾値を求めるのに数百施行が必要で負担が高い
主観的透過点(PSE)
別に感じるものを知覚的に同じものにするように調整する。この時の物理的の差が錯覚の量問えする
標準刺激を100とするとそれ以外はどうかを推定させる
8.1.3 統計的検定
実験で差があるかないかは統計的検定で主張する
適切な検定を選択する必要がある
「差がない」ことは主張しづらい
8.1.4 調査的方法とその分析
実験ができなければ調査を行う
質問文によって得られるデータは変わる
肯定文・否定文
聞き方
因果関係の主張はできないので相関の分析にとどまる
よく使われる測定法
形容詞の反対語ついを提示して5-9段階のスケールで答えさせる
この結果はparametric統計を適用できない尺度だが、定量性や正規分布を仮定して
t検定や分散分析を行うことも多い
共通因子を抽出して、各項目がそれにどれだけ寄与するのか推定する
10-30の質問項目を1-3の共通因子に落とし込める
基礎研究なら共通因子の抽出そのものが研究成果になる
因子の解釈には背景知識が必要
共通因子が被験者間や他の要因でどう変わるか、変わらないかを調べる
8.1.5 VR心理学
リアリティはどう生じるか
物理的リアリティ
デバイスを使うと現実から劣化する
心理的リアリティ
漫画にリアリティを感じることもあるので、物理特性とは異なる
心理処理をうまく使えばリアリティを増幅させることができるかも
こういう問題を扱う領域をVR心理学ということができる
心理学を発展させるVR研究の事例
自分の姿を後ろから撮影した映像を見ながら背中を叩かれると体外離脱体験が生じる
ほんとかな?
資格情報と触覚情報を同時に与えられると、自分の視点が資格情報の視点に移動してしまう
現実には倫理的にできない
社会心理学実験をVRを用いて行う
8.2 システムの評価と設計
8.2.1 VRの人体への影響
文献調査から映像評価は3点が重要
1. 自律神経系
心電図のピークの間隔の時間的ゆらぎを周波数平面で求める
0.3Hz付近の成分がHF
0.15Hz以下の成分がLF
LF/HFは交感神経活動の成分にほぼ対応すると言われている
2時間映像をみた被験者の疲労度は2Dより3Dの方が上で個体内では統計的にも有意。ただし、個人差でばらつきが大きく優位差はない
2. 眼精疲労に関係する視機能
個人差の優位性の観点から唯一評価指標として使えるのは目のレンズ系の
調節ターゲットが遠くから手前に瞬時に移動したのに焦点を合わせた時のレンズの厚み
レンズの厚みを増加させるのに副交感神経の活動が減少する
医療用頭蓋骨画像(3DCG)をを提示すると調節速度が提示まえの80%になる
VR酔いしている時(視覚と前庭感覚が不一致する時の
自己運動感覚)が続くと重心動揺が大きくなる
逆に重心や頭の動きを計測するとVR酔いを評価できるかもしれない
MRシステムの実験結果が例示されている
8.2.2 福祉のためのVR
この福祉とは医療で治癒できない障害が残った状態の人の支援
人間には可塑性があるが年齢とともに衰える。年齢を重ねると経験が増えるので高齢者は経験を活用するべき
独居老人の精神支援、(外には出れないが)在宅雇用の機会拡大、医療サービスとの提携
介護のロボット活用
8.2.3 感覚の補綴と拡張
聴覚障害者向け:音声を触覚に変換
感覚神経を直接電気刺激
人工内耳
脳幹インプラント
人工内耳も効果がない人向け
視覚障害者向け
文字を触覚に変換
TAJODA
環境の構造を音に変換
大脳高等部の視覚視野に電極を装着して画像を提示する
人工視覚1970sに盛んに研究されたが、最近は
BCIという広い概念に変わった
ユーザーの情報の全てを読み取って無意識までの欲求にも応えるのが理想
8.2.4 運動の補綴と拡張
VRのインタラクティブ性はVR情報の需要→脳における処理→VR情報の制御のループがあるので、一部に障害が出た時に再構築に利用できる
バランス支援
認知症の多くは視野の片側の一部が知覚されない脳機能障害を持つ(半側空間無視)がHMDを利用して知覚範囲を広げる研究がある
FES, 電子義手を自由に動かせるようにするためのループを繋ぐ
ここでいうVRは相当広い意味な感じ
脳から直接信号を義手に出す
BMIも同じフィードバックをどうするかの課題がある
8.3 文化と芸術を生み出すVR
8.3.1 メディアの進化
テレビ(リアルタイム・一方向)
マルティメディア(双方向)
VR(体感メディア)
前のメディアもなくなるわけではなく、軸方向に表現力を拡大させる
8.3.2 高臨場感メディアと超臨場感メディア
これから何が必要?
高臨場感:時間や空間を超えてあたかもその場にいる感覚を与える
超臨場感:五感を駆使した体感だけでは得られない、体感を超えたメディア
俳句は貧弱なメディアだが、貧弱な文化ではない
8.3.3 体感メディアと心感メディア
超臨場感とは感動させるメディア
刺激によって心の中に膨らんだもの
例
カラー映画より白黒映画の方がリアルに感じる
実写版より面白い原作小説
印象派絵画の方が写実派よりリアルに感じる
感じ取れるのは修行が必要であり、誰でも感じられるものではない
VRは全てを感じさせてしまうので逆に感性が衰退する可能性がある
うーん、そうかなぁ。漫画は規制があるから面白い表現が生まれるというような意見を疑っているので同じロジックが飲み込めない
これってもはやVR関係ないよな
8.3.4 かけがえのあるメディアと、ないメディア
かなりポエムの節
8.4 VR社会論
8.4.1 VRの社会的受容
法的にどう解釈するのか考察する節
訴訟の証拠になるか
自己投射性に近い概念
CT→PET→fMRIと進化するにつれて
大きさは正常か(構造)→
脳死か(機能)→責任能力があるか(行動)と拡大してきた
いずれかを確認できれば良い
1. 証拠はテスト可能だ
2. 理論または技法はピアレビューを受けて出版された
3. 技法の誤りの確率は既知か計算可能
4. 技法は関連する科学者コミュニティにおいて一定の水準で受容されている
フライ基準はこれだけの基準だった
8.4.2 VRの社会化
8.4.3 VRの乱用,悪用
8.4.4 VRにかかわる知的財産権
8.5 VR産業論
8.5.1 ゲームとVR
8.5.2 アートへの展開
8.5.3 省資源・省エネルギー・安心安全に貢献するVR
VRで生産コストを減らして多品種・少量生産ができるという夢が語られる章
8.5.4 「いきがい」を生み出す産業にむけて
示唆深い章