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安彦良和
>安彦 僕にとっては、学生運動の挫折の、ひとつの「総括」ですよね。まあ新左翼(1960)崩れですから、世界は基本的には進歩し続けるし、人間は賢くなるという理想をやっぱり信じていた部分があったんです。でもその甘さを突き付けられた。
> 父親の世代があれだけの戦争を経験していながら、なぜ自分たちの歴史感覚はこんなに鈍感なのだろう。だったら、歴史を問い直さなければならない。そう考えたんです。
> 敗戦の反動で皇国史観は否定され、天皇制や国家神道に結びついた古代神話の時代にはフタがされてしまいました。膨張主義や侵略の片棒を担いだとされたアジア主義五族協和の思想も葬られた。あれほどの人を不幸に巻き込んだ「国体」というものの正体も分からないまま。でも、日本がどこで間違ったのかを知るためには、封印してきたものにも正面から向き合うべきだと思いました。戦後に勧善懲悪のかたちで教え込まれた歴史を再構築する必要があるだろう、と。