社会構成主義(Social Constructionism)
社会構成主義(Social Constructionism)
「社会の様々な事象は人々の頭の中で作り上げられたもの(
認知)であり、そこを離れて社会は存在しない」
社会構成主義は、本質主義に対立する概念として
ポスト構造主義の思想家により提唱されたもので、
その一人であるデリダは「社会現象や意味は、人間が作り上げたものにすぎず、社会の中には本質的な実在はない」とまで主張した。
こうした見方は極めて哲学的で、分析的アプローチとは合い入れないことから、
社会構成主義は社会科学者の間で次第に廃れていくこととなった。
これに対し心理学者のケネス・J・ガーゲンは、
「社会構成主義とは一つの観察方法なのであり、社会の全てが幻想であるとか実在は存在しないといった議論ではない」、「『本質的で客観的な真理』は人間にとっては直接観察不能であり、何らかの枠組みによって観察されざるをえないのであるから、どのような社会的枠組みに依拠しているのかを議論すべきである」として、社会構成主義に新たな見方と存在価値を与えた。
ガーゲンは、「わたしたちが日常使っている言葉や感情は、所属しているコミュニティの文化そのものである」、
「こういうことは楽しい、こんなことは悲しい、という感情表現も、そのコミュニティの文化と密接にリンクしている」、
「つまり異なる文化のもとでは、言葉の意味する内容、感情、反応までもが全て異なる」とした。
そしてこの考察を踏まえてガーゲンは、「人々はお互いの言葉のやり取り(対話/ダイアログ)の中で『
意味』を作っていくのであり、『意味』とは話し手と聞き手の相互作用の結果である」と結論づけた。そしてこれを、Words create world(言葉が世界を創る)と表現した。