人間の条件
非常に難しく、ボリュームも多い(500p超え)ので、まずは解説動画などを視る
全体主義が発生するメカニズムを政治哲学の観点から解き明かした本という解説
本書の展開について参考になった
アーレントが人間の条件として重視する「活動」が現在失われてきており、他者を思いやることができなくなってきていると
観照的生活
抽象世界での実践を重視する生活
この世界に閉じこもることで、世界疎外が起き、全体主義に繋がる
活動的生活
現実世界での日常的な活動を重視する生活
一人一人が個人の生命を最重要視する考えに傾倒することで、人類全体の生命が危機に瀕していくだろうという指摘
人間の条件で挙げられている3つの活動力
労働: labor
生命維持のため
すぐに消費される消費財を生み出す
私的な領域
仕事: work
人間のための耐久性のあるモノを生み出す
後の世代に受け継がれ、歴史を作り出す
人間にとっての世界を創造する行為
活動: action
複数の人々が言論を交わし、新しいものを非モノを生み出す
認識やコンセンサス、愛情など
歌を歌うことをも一時的な活動になる
録音されたらそれは仕事になるが
公的な領域
政治的活動
人の複数性に対応する
労働
にんじんや小麦を生産
仕事
家やトラップの建築
活動
ペットとの交流、愛情度上げ
マルチプレイでコミュニケーションをすること
一緒に遊んだ相手との他者理解になる
活動の喪失が、全体主義の台頭を許しているという主張
古代ギリシャのポリスでは、労働を
奴隷に任せることで、他の人々は活動に専念できて自由であった
労働に縛り付けられるのは非自由である
生きるためのお金を稼ぐだけの仕事は、アーレント的には「労働」
自分が趣味で行うゲーム制作は、「仕事」
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現代の大量消費社会では、仕事がどんどん労働に変わってきている
耐久力のある仕事の成果物が、あっという間に消費されて捨てられていく