発達障害
書いた記事
歴史について
発達障害という言葉が初めて使用されたのはジョン・F・ケネディーによる。「障害のある人達への手厚い支援を行う」という信念の元、知的障害者を対象にした総合的な支援を行う法律を制定した。その際に「developmental disability」という用語がつくられ、「精神遅延、脳性麻痺,etcetcおよび精神遅滞と同様の症状がある個人で18歳までに発症し、生涯に渡ってハンディキャップを伴う」と定義された。(1963年)
診断について
一口に発達障害といってもその言葉からイメージするものは人によって違う
→診断に差が出てくる。
そこで世界で使われる共通の診断基準が必要とされた。
有名なところではDSM、ICD-10などがある。
診断基準は歴史とともに変化してきた。
→より客観的で、人によって診断にばらつきが出ないように。
その結果、医師は症状だけを見るようになり、原因については鑑みなくなった。
しかしまだ医師による診断のばらつきは見られる。
→ある医師では発達障害と診断される人でも別の医師では健常の範囲内と見なされるなど。
論争について
生まれか育ちか。
有名な所ではベッテルハイムによる「
自閉症は親の拒否的な態度によるもの」とする冷蔵庫マザー仮説。
以下の理由により現在では否定されている。
親たちの養育には問題なかったことがわかった。
ベッテルハイムの治療法では効果がなかった。
ASDについて
原因について
心理学的仮説
神経学的仮説
単一遺伝疾患とか知能指数70以下とかを発達障害と呼ぶのはいいのだけれど人間の性格特性の端っこにいる人間も全部発達障害と一括りにして議論をするのはなんだか違和感がある。
一口に発達障害と言っても
>「『発達障害』とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。」
注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)
知的能力障害群(知的障害)
コミュニケーション障害群(吃音など)
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害
限局性学習症/限局性学習障害(ディスレクシアなど、いわゆる「学習障害」)
運動症群/運動障害群(発達性協調運動障害、チックなど)
生物学からのアナロジー(もしくは推測)
日本での発達障害の短い歴史
2000年 キレる17歳とも言われ、17歳の起した凶悪犯罪が話題となった。中には発達障害と診断される犯人もいた。
2002年 文科省による学校大規模調査。通級に通うおおよそ6.3%がなんらかの発達障害を持つとされた。
2005年 発達障害者支援法が施行される。これにより発達障害は知的障害や身体障害を含まないものと定義される。
2007年 文部科学省が「原則として軽度発達障害という表現を使用しない」と通達を出す。
2011年 米田 衆介 『アスペルガーはなぜ生きづらいのか』
2012年 大人の発達障害があさイチで取り上げられる。
2012年 文科省による学校大規模調査。通級に通うおおよそ6.5%がなんらかの発達障害を持つとされた。
2013年 DSM-5出版 自閉症、アスペルガーなどが自閉症スペクトラムに統合される。また、三つ組みの障害が二つ組の障害になる(コミュニケーションの障害の項目の削除)。
2015年 栗原類が自分が発達障害であることを明かす。
2016年 相模原障害者施設殺傷事件 多くの障碍者が犠牲となる。
2018年 借金玉『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』
雑感
2011年ごろから2012年ごろにかけて発達障害の話題が一番盛り上がった時期だと推測できる。
基礎研究的な内容
発達障害と愛着障害の違いが述べられている
認知機能の発達の仕方に違いが出てくる
愛着障害と後天性の発達障害と高次脳機能障害は全て≒だと思っている
宮口 幸治『ケーキの切れない非行少年』
河野 俊一『誤解だらけの「発達障害」』
田淵 俊彦『発達障害と少年犯罪』
の何れにも共通するキーワードは認知機能の障害
これらの本が出てくる前に前記の主張をした五藤博義先生はすごい人。ひょっとしたらこのことを最初に言いだした人かもしれない。
雑感
方法論が気になるところ
基礎研究と臨床とのギャップ
基礎研究と臨床とのギャップを常に感じる。
基礎研究で止まってて臨床レベルにまで落ちてこない話題は割とあるのではないか。
畑が違うから当然なのかもしれないが、両者の交流をもっと積極的にしていきたい。
当事者の感情的な面も否定できない。
疑問
認知機能とIQとの関連は何だろうか?
WISCが発達障害の診断基準に使われだしたのはいつだからだろうか。
そもそも
海外の文献で自閉症児の扱い方はさんざん言及されてるのになぜまた最初から試行錯誤しているのか?
目下の課題
愛着障害と先天性発達障害の鑑別が求められる。
でもこの分野は下火のように感じられる。マイケル・ラターの認知・言語仮説によって自閉症というものが幼児早期自閉症は幼児期の精神分裂病ではないと結論付けられた。
あと、経験則として、愛着障害は治療効果がすぐ現れるが、発達障害のそれは何年も時間を要すること。
注意しなければならないのは、両者は排他ではないということ。
すなわち併発群も存在するということ。→この併発群が少年犯罪に走りやすいという話題になってる。
これらを踏まえて
純粋な発達障害は発達凸凹と呼んだ方がいい気がする。