コミュニケーションとインタラクション
1.1 コミュニケーションとは
コミュニケーションとは、英語では communication と書くが、その
日本語訳としては、コミュニケーションの他に、通信とか伝達などもある。ここでは、コミュニケーションと通信とは別のものとして考える。すなわち、単なる
情報のやり取りやcommunication の
技術的側面を「通信」と呼び、
人間同士の情報交換や意志の疎通などを「コミュニケーション」と捉える。ヒューマンインタフェースでは、コンピュータなどの機械とのやり取りを
インタラクションという。
インタラクションとコミュニケーションとはかなり近い
言葉ではあるが、微妙に違うように思える。「人と人とのコミュニケーション」という言い方は一般的であるが、「人と機械とのコミュニケーション」とはあまり言わない。仮に言ったとしても、その
場合の機械は擬人的な
存在である。また、「遠隔コミュニケーション」という用語があるが、これも間に機械(コンピュータや
ネットワークなど)を挟んで最後は人同士がつながっている。逆に、人同士でもうまく意志の疎通が取れないときには、「コミュニケーションができない」というような言い方になる。一方のインタラクションは、人と人との間だけではなく、人と機械との間でもごく普通に使う。
そこでここでは、コミュニケーションとは「人と人とが意志の疎通を目的としたやり取りであり、インタラクションは人と機械、あるいは人同士の単なるやり取りである」としておく。「意志の疎通」という場合に、心が通じあうとか、気持が分かりあえる、といったことも含まれる。したがって、コミュニケーションは人同士だけではなく、ときには、人と動物(特にペット)とは可能な場合もある。
Postel's law を見たときに、通信するノードとして機械も人間も区別せずに同等に扱うことを考えれば、通信プロトコルの経験則として役立つことが人間同士のコミュニケーションにも役立つのでは、と思った