>人間の発達における理想のゴールとされる「知恵」という考え方がある。ただし、知恵に関連する知識で水準の高いものはめったに見られない。青年期後期から成人期前期にかけては、知恵に関連する知識が現れる最適期である。知恵の基盤は、個人と公共の利益に資する知性と徳の調和的統合にある。知恵に関する知識の評価指標として協力なのは、知能などの認知要素ではない(Stermberg, 1990参照)。評価指標として優れているのは、特定の生活体験(たとえば、生活上の複合的な問題に関わる分野で実践するなど)や、個人の関わる要素(たとえば、経験に対する開放性、創造性、情報の比較・評価・判断を好む傾向など)である(Baltes, Gluck and Kunzmann, 2002; Baltes and Staudinger, 2000参照)。