>インゴルドは『人類学とは何か』のなかで、人類学とは人々「について」の学ではなくて、人々「とともに」人間の生を学ぶ学だと再規定しました。これまで人類学がフィールドで長らくやって来たことを正直に述べ直すことによって、学問の制度の中で一般化されたデータを取ってくるためのフィールドワークという見方をひっくり返したのです。(p203)
> 人類学とは、多くの意味において、己の機能に怯えている学問である。たとえばそれは人類というものの総体を一般化しうる唯一の学問なのである。それは人類の全体性を考察の対象にし、あらゆる異例とも親しんでいる唯一の学問である。(p164)