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言葉を飾るな
> 文章を書くときに避けなければならないのは、語彙の乏しさを恥じて、いたずらに言葉を飾ろうとすることである。それは飼っているペットに夜会服を着せるようなものだ。ペットはいい迷惑であり、そのような受け狙いの小細工をした者はとんだ恥さらしということになる。書くことについて ~ON WRITING~ スティーヴン・キング (pp.124-125). Kindle 版.

> 受動態と同様、副詞は臆病な作家が好んで使う。書くことについて ~ON WRITING~ スティーヴン・キング p.133

> たとえば〝Heclosedthedoorfirmly〟(彼はドアをしっかりと閉めた)。少なくとも動詞は能動態だし、文章自体に間違いはない。が、〝firmly〟はどうしても必要なのか。もちろん〝Heclosedthedoor〟と〝Heslammedthedoor〟とはちがう。そのことに異を唱えるつもりはない。だが、問題は文脈である。ドアを閉めるという場面に到るまでに、かならず何かがあったはずだ(かならずしも情緒的なことでなくてもいい)。そのことがドアをどのように閉めたかを語っていないだろうか。それまでの文章ですでにわかっていることだとすれば、〝しっかりと〟は余計だ。そんなものはいくらでも削っていい。書くことについて ~ON WRITING~ スティーヴン・キング (p.133). Kindle 版.

> 地獄への道は副詞で舗装されていると、私はビルの屋上から叫びたい。別の言い方をすると、副詞はタンポポである。芝生のなかに一輪ぽつりと咲いていたら、かわいらしい。だが、抜かずに放っておくと、次の日、花は五つになり、その次の日には五十になり、そのまた次の日には……というわけで、いつのまにか芝地はタンポポでいっぱいになってしまう。タンポポが雑草だと気がついたときは、ゲッ!もう手遅れだ。書くことについて ~ON WRITING~ スティーヴン・キング (p.133). Kindle 版.

> 作家のなかには、副詞無用のルールをかいくぐるために、動詞にステロイドをたっぷり注入する者がいる。 結果はパルプ・フィクションやペーパーバックの書きおろしのお馴染みの文章が一丁あがりとなる。 「銃を降ろせ、アタースン!」 と、 ジェキルは凄んだ。「キスをするのをやめないで!」と、シェイナはあえいだ。 「しつこいやつだな!」 と、 ビルは吐き捨てた。 これだけはやめてもらいたい。 お願いだ。 会話を説明する言葉としては“言った〟がいちばんいい。 “彼は言った〟、“彼女は言った〟、“ビルは言った、、“モニカは言った、で充分だ。書くことについて ~ON WRITING~ スティーヴン・キング p.135

> そして、どうか覚えておいていただきたい。副詞を使うのはひとの常、 “彼は言った、、 “彼女は言った、と書くのは神の業である。書くことについて ~ON WRITING~ スティーヴン・キング p.138