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破産
> 「お金くらい......。 たかだか三百万などという端金、貸してあげたいですけれども、私も持ってはいないのです」破産 嶽本野ばら ・位置33
> 「足りない分を借りる時、 後、 一万五千円が必要な時、一万五千円きっかりしか借りない人は深みに陥りません。つい、一万五千円必要だからと、二万円借りてしまう。 差額の五千円は使ってしまう。 一度、借りてしまうと働かずしてお金が得られることの楽さが無意識にインプットされてしまう。 すると働いて返済しようという前向きさより、 他にまだ何処か貸してくれる処を探す後ろ向きさを優先するようになる。 転落の典型ですね」 ぐうのねもでない。破産 嶽本野ばら ・位置1258
> 私、ノブレス・オブリージュ、騎士的精神ってやつが大嫌いです。 胡散臭いでしょう。 社会的に地位や名誉、富を持つ者は公共に対し責任感を持ち、 奉仕をする義務を欠かしてはならない―――ってやつ。 そうするのが貴族たるものの美徳だなんて、 ちゃんちゃらおかしい。 というか、 何、その上から目線って、耳にする度にムカつきます。後、自己犠牲ってのも嫌いですね。 自分で自分を幸せにしてあげられない人が、 他人を幸せになんて出来るんでしょうか?
> 要蓉子は自己犠牲に生き甲斐を見出す者は、自分の為にやっているだけ、 誉める必要はないと辛辣なことをいったが、その意見に同調していいのか否か考える余地は残るけれど、 ともかく僕に関しては彼女のいう通りだ。身を削るようにして、 自分を苛め抜いて一作一作に心血を注いできたけれども、それは僕がやりたくてやってきたことなのだ。 自分のアイデンティティを確かめようとして文章を綴る――そんな大層なものではない。 幾ら書いたところで自分とは一体、何なのかなんて解りはしない。 というかそんなことに興味なぞ一欠片たりとも持っていなかった。 今も知ったことではない。 只、書きたいだけなのだ。 小説でもエッセイでも、書ければ僕はそれで満足するのだ。破産 嶽本野ばら ・位置2522
> 太宰さん、貴方は人間を失格になりこの世を去った。 僕は人間失格ではない。 人間と名乗ってよいのかすら定かでないヘタレだ。 自殺することすら恐くて出来ないヘタレの中のヘタレだ。 だからせめてヘタレであることくらいは、辞めさせないで欲しい。 ヘタレすら失格になったならば、 もう僕には何処にも居場所がなくなってしまうのです。 破産 嶽本野ばら ・位置2552
> 自分のことしか書けないこんなヘッポコ作家なのにね。 もっとガチに文学に取り組んでいる作家は、一杯いるのにね。 恵まれている。 申し訳がないくらい恵まれているのです。破産 嶽本野ばら ・位置2591