『モロッコ』
【配給】パラマウント映画
【上映時間】92min
特徴 :
はじめて日本語字幕がついたトーキー作品。
男装や女性同士のキスなど、当時としてはセンセーショナルな描写であった
ディートリヒを美しく撮影する照明技法の開発
チャールズ・シルバーによると、後期サイレントの美術的価値とトーキーの融合。そして「沈黙の価値」 を理解し、音の到来を効果的に活用した ("Sternberg was the first director to attain full mastery and control over what was essentially a new medium by restoring the fluidity and beauty of the late silent period. One of the key elements in this was his understanding of the value of silence itself. Morocco contains long sections sustained only by its stunning visual beauty, augmented with appropriate music and aural effects. Sternberg was the first artist to make an authentic virtue of the arrival of sound)
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地球儀がグルグルして、モロッコへ。
言う事をきかないロバを引き立てているひと。
また、カメラ引いていくかんじ
宗教的な歌? に合わせて祈るひとたち
マーチに合わせて行進していく兵隊たちだったが、そのあとなぜか以下のカットとオリエンタルな? 音楽が入る (かといってこれがすぐ今後に繋がるというわけでもなく、このカットのあとは場面が変わる & 静かになる)
マレーネの登場
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ちょっといた1場面なんだけどね。なんだか絵になっているようなかんじがする。
でたよー!! 今回は黒人だけでなくアジア人の人形。なあにこの差別的な文化は。
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このスタイルすてきだね
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そしてこの表情
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女性とのキス。男性のフリをするみたいな、まるで宝塚みたいだけど そういう芸をやっているからなのだろうけど
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なんなのさこの柱~
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こう視線を横にして伏せるから、マレーネもゲイリーを見ていたようなかんじに個人的にはみえる
「この席の客は金がない (だから行くのはムダだ)」 という興行主、「そうかしら」 と言っておあいそするマレーネ
「おつりよ 兵隊さん」 と言いながらコッソリ鍵を渡すマレーネ。すてき~~
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またこう、いいかんじの場所だね
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すてきなおべべ...
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ここの動きがなんだかとっても優雅
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壁でマッチを擦るのってなんなのいったいwwwww 『ニューヨークの波止場』でもやってたけど
「結婚したい女なんていないよ」 「私も、結婚したい男なんていないわ」
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ここはちょっとニューヨークの波止場の「オレと結婚したい女なんていないさ」 「こんな私と結婚したがる男なんていないわ...」 の箇所を思い出す
「女にも外国人部隊があるのよ ただし軍服はないわ 旗も 勲章ももらえない でも勇敢よ」 「戦って傷つくのは 心だけ」
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わーん、すてき...
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ここの悩んだような感じもカッコいい
一枚目のあと、覗き込むような動作があってから、このカット。ここのカットの繋がりはこれでいいの?
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ああ、ここでやっとわかった。これ、別人か笑笑
別の兵士が、ゲイリーの様子を監視していたっていう流れなんだな
やっぱり、見た目の違いがたいていわからない。マレーネやギッシュくらい個性的ならさすがにわかるんだけど...ゲイリーはハンサムでも、なんかあまり個性的じゃないというか笑
人妻、不倫相手のままならなさにキレてゲイリーを暗殺しようとするのだけど、暗殺者?である現地人は返り討ちにあう。あーんとかうあーとか、現地人はすっごいやる気なさそうな感じで「やられちまったー」 みたいなこと言うからわらえる。
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なにこの衣装!! めちゃくちゃカッコいい!!!!!
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しかしこの不倫の人妻だけど...格好からして、スカーフで顔をおおっていて、もしかして現地人なのかしら。
>「力になりますよ」 「男がそういうときは必ず見返りを期待する」
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いいねー。この映画のヒロインはまじでしゃれている。女性ウケも、当時もよかったんじゃないかな?
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またおしゃれな背景だね...
大富豪に言い寄られているマレーネ、そのとき「好きな人がいるの」 と聞かれるが「そうでもないわ」 と。「あの兵士に会っていなかったら違った?」 と聞かれても、「べつに、返事は変わらないわ」
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あら? けっこう兵士を気に入っていたと思ったんだけどちがったのか
かと思ったら、「密航するから一緒に行くか」 と言うと、「ええ」 と答える。
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どういうこと~!?
当の大富豪のほうは、そんなことを言ってみながらも、兵士がくれば「席をはずすよ」 と余裕しゃくしゃくである...
マレーネが出ていったあと、大富豪の帽子をかぶってみて、また自分の帽子をかぶりなおす。そして、「気が変わった」 と鏡に書く
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ううむ、しゃれた流れだね
出発のシーン
ずいーっとカメラがよこにズレていって、いろいろ様子がうつっている
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またまたおしゃれなかっこう。白と黒のバランスがすてき。
兵士は真剣っぽいようすをみせつつ、女がたくさんいるからマレーネは毎回ちょっとショックを受ける。
後衛部隊 (兵士の妻たちが、軍隊についていく) に対して「どうかしてるわ」 と言うマレーネ。だけど、「後ろを向いている」
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後ろを向いているときはたいてい含みありだよね~。ウソついてる。
そこで、大富豪は「それはどうかな。愛していれば当然そうするんじゃないか」 などと言う
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え!!! それ言わなくていいよ、敵に塩だよ
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これまた絵づらがおしゃれだけどひどいことになってしまった部屋...
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しかし、大富豪は気が長いなあ。ものを送るし、送ったものが投げつけられていると知ってもまだ彼女に会いに行く。いったいどういう心情なんだろ。ワキ役だから結局かかれていなくてわからない
このあたり、1min30くらいセリフなし。というか、あまり気づいていなかったけど、わりとセリフなしのシーンがおおいね
まあ
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は基本的にセリフなしですまされるならなしがいいと思う。せっかく映像があるんだから映像で語ればいい
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ブラウン (ゲイリー) が戦争に行っているシーンがかなり長々と入る。
これってあまり本筋と関係ないように見えるけど関係あるってことなんだよね
結局マレーネは結婚してしまう。
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なぜ? トムが女たらしで自分をだいじにしない (ように見えている) からだろうか。
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それで、大富豪はなんのつもりなんだ? マレーネと結婚して嬉しいはずなのに、「会いに行かなくていいのか?」 と言ってみたり。大富豪はマレーネを愛していつつも、やはりトムのもとへいったほうがよいと考えている、という人物として描くことでマレーネへのヘイトが向かないようにってことなんだろうか
ここで大富豪が「自分を愛してくれ」 という態度であれば、婚約解消したマレーネがあまりにひどい、ということになってしまうからあくまで大富豪はマレーネの理解者として描いた?
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こういうのは、異国情緒的なやつなんだろうか
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ふたつのアーチ、きれい
「私は彼女を愛しています。なんだってしますよ」
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なんだか、大富豪は、年齢の差から見ても「お父さん」 として描かれているように見える。
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スカーフ巻いてるのもかわいい
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あいつと結婚するのか?のくだり。顔を伏せて帽子に隠している演出
机の彫り物をみつけて、つれないと思っていたブラウンの心に気付く。それまでの表情も上手だし、いいシーン
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スカーフ! かわいい~。こういうかっこうしたい
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幸せと愛、どっちを取るか、かあ。
金持ち男ではなく、社会的地位の低い兵士を最後にえらぶ結末。
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枠のなかに入っているのが、おとぎ話みたいで素敵。
靴を脱ぎ捨てる。
シンデレラからずっと、靴は玉の輿のメタファ (だよね)? それを捨てるってことは、約束された輝かしい未来を捨てたってことだ
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これもいい絵
後衛部隊のべつの女の子と一緒に、イヌをひいていく。
軍楽がフェイド・アウト、風の音
なんというか、画面がゆっくりしているかんじがいい。どう表現したらいいのかわからないけど
最後はハッピーエンドって話なんだろうけど、ブラウンは結局何度も何度も懲りずにマレーネのことを女に慰めてもらうようなやつだから、マレーネは苦労するだろうなあ。いつまでたっても坊やだと思ってやらないといけないのか。
ところで、嘆きの天使のときはマレーネって綺麗なんだろうけどそんなに...と思っていたけど、この映画ではめちゃ輝いてた...クールで粋な雰囲気がよかった。
なによりも、映像がとってもよいかんじだったし、ちゃんと画で表現するぞという気合いがよかった。しゃれたセリフはもちろんあっても、説明的なセリフなんてものはない。演技と画で語る。すばらしいと思う。
> スタンバーグがいなかったらディートリッヒはいただろうか。彼女は自伝で書いている「彼はわたしを創造したのだ。同じような奇跡はルキノ・ヴィスコンティがヘルムート・ベルガーと映画を作ったときだけだ。わたしは時間と規律を守り、いつどこででもスタンバーグの指示に従った。彼がわたしに関心をもったのは、わたしが折り目正しい人間だったからだ。わたしの美だとか魅力とかではなく、女優にはほとんどみられない独特の自制心が彼をひきつけたのだ」▼「モロッコ」はしかし難しかった。監督の注文は「謎めいた女」だった。みてくれはどうあれ、よき母であり主婦であり、無類の料理好きで面倒見がよく、全然謎めいていなかったディートリッヒは大いに苦労した。客船がモロッコの港につこうとしている。舷側によりかかるディートリッヒは無表情だ。喜びも悲しみも表さない。金持ちの紳士ベシエール(アドルフ・マンジュ)が「マドモアゼル、荷物をお持ちしましょうか」に、気だるそうにそれには及ばないと答える▼このときの「ヘルプ」の発音がドイツ人のディートリッヒはなかなかできず、その日の撮影が終わったとたん化粧室に逃げ込んで泣き、この名前も変えたいと監督に訴えた「君の名前はやがてどこででも知られるようになる」がスタンバーグの答だった。彼は前作「嘆きの天使」でディートリッヒを発掘してから、ディートリッヒを女優ではなく、スターにすることに賭けたのだ▼白黒の映像から、モロッコの光と影、砂漠の風が伝わってくる。映画は完成したが試写会では一人、また二人と記者が途中で去った。ディートリッヒは絶望しその夜のうちに荷物をまとめ、帰国すると翌朝監督に電話した。スタンバーグはひきとめなかったがその前に事務所によれと言った。やってきたディートリッヒに示した。新星ディートリッヒを絶賛する記事だった。ディートリッヒはその記者に感謝を忘れなかった▼「モロッコ」は知らなくてもラストだけは知っている映画ファンは多い。モロッコをあとにする外人部隊のゲーリー・クーパーを、見送りにきたディートリッヒの耳に、出発を告げる太鼓のダンダンという音が彼女の鼓動のように高まっていく。女は耐えられなくなる。婚約者を抱きしめて別れを告げ砂漠に走りだす。砂に足をとられ靴を棄てる。裸足で熱砂が走れるかというクソリアリズムはふっとんでしまう。遠くなる太鼓の音、はためく大きな旗が砂丘に消えていく。キャメラのダ・ヴィンチといわれたスタンバーグの撮影術は、映画史に残るこのラストシーンともうひとつ、ディートリッヒというまぎれもない「スター」を生み出したのだった。
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まーね、砂漠は走れないね笑
>Sternberg's depiction of "picturesque" Morocco elicited a favorable response from the Moroccan government, which ran announcements in The New York Times inviting American tourists to enjoy the country "just as Gary Cooper was seduced by the unforgettable landscapes and engaging people."(10) However, the movie was filmed entirely in southern California, and Sternberg felt compelled to personally reassure the Pasha of Marrakesh that Morocco had not been shot in his domain.(11)
> スタンバーグの描く「絵のように美しい」モロッコはモロッコ政府から好評を博し、ニューヨーク・タイムズ紙に「ゲイリー・クーパーが忘れがたい風景と魅力的な人々に魅了されたように」この国を楽しむようにという宣伝が載った(10)。しかし、映画はすべて南カリフォルニアで撮影され、スタンバーグはマラケシュのパシャにモロッコは彼の領地で撮影されていないと自ら念を押しておく必要があった
> (11)Sarris, Andrew, 1966. The Films of Josef von Sternberg. New York: Doubleday. ASIN B000LQTJG4
>Charles Silver, curator at the Museum of Modern Art's Department of Film, offers this assessment of Morocco:
> "Sternberg was the first director to attain full mastery and control over what was essentially a new medium by restoring the fluidity and beauty of the late silent period. One of the key elements in this was his understanding of the value of silence itself. Morocco contains long sections sustained only by its stunning visual beauty, augmented with appropriate music and aural effects. Sternberg was the first artist to make an authentic virtue of the arrival of sound.(10)(18)
> 近代美術館の映画部門の学芸員であるチャールズ・シルバーは、モロッコについて次のように評価している。
> 「スタンバーグは、後期サイレント時代の流動性と美しさを回復することによって、本質的に新しいメディアを完全にマスターし、コントロールした最初の監督である。その重要な要素のひとつは、沈黙の価値そのものに対する彼の理解であった。『モロッコ』には、その見事な映像美と適切な音楽と音響効果によってのみ維持される長い部分がある。スタンバーグは、音の到来を正真正銘の美徳とした最初の芸術家であった
> (18) Weinberg, 1967. p. 56-57: Morocco "effaced the last vestiges of the demarcation between the silent and the sound film ..."