>フランスの哲学者,思想家。 1970年以後パリ第8大学教授。 M.フーコー,J.ラカンらと並んで現代フランスの知的指導者の一人と目される。ニーチェの強い影響のもとに,B.スピノザ,L.ザッヒャー=マゾッホ,M.プルースト,L.キャロルらに関するきわめて多様な著作を通じて,差異の観念を発展させ,二元論的対立を克服して,開かれた動的な言葉そのもののうちに自己の思想を陳述し,強力な欲望と意味生産の概念に達している。『経験論と主観性』 Empirisme et subjectivité (1953) ,『ニーチェと哲学』 Nietzsche et la philosophie (1962) ,『マルセル・プルーストとシーニュ』 Marcel Proust et les signes (1964) ,『マゾッホとサド』 Présentation de Sacher Masoch (1967) ,『差異と反復』 Différence et répétition (1968) ,『アンチ・オイディプス』L'Anti-Œdipe (1972,『資本主義と精神分裂症』第1部,ガタリ Félix Guattariと共著) ,『千のプラトー』 Mille Plateaux (1980,ガタリと共著) など。
>11世紀前半に教師ドラジーがカイロで創唱した教理を信仰し,それがドゥルーズの名称ともなった。その教説はタキーヤ (神隠し) の説をもつところからイスマーイール派の一派ともされるが,メシア主義,グノーシス派,新プラトン主義などが折衷されている。ドゥルーズは十字軍への反抗,オスマン帝国時代の領臣としての活躍などで歴史にも名をとどめた。教派は2つに分れているが,教義は秘密となっており,その規律により帰属意識は強く,結束が固い。社会は伝統的な習慣を維持しているが,女性の地位は比較的高く,単婚が守られており,離婚もできる。禁欲,禁煙,禁酒は厳格に守られている。村落を形成し,主として農耕を行う。