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線形空間
from 第二章 線形空間と線形写像
線形空間
事前定義
\mathbb{K}:体 (スカラー体)
実数全体集合\Rか複素数全体集合\mathbb{C}かであると考えればいい
0 \in \mathbb{K}: 零元/加法単位元
太字\bm{0}とは区別するので注意
1 \in \mathbb{K}: 乗法単位元
V:集合
+: V^2 \to V\cdot:\mathbb{K}\times V \to V, -: V \to V:写像

\mathbb{K}上の線型空間(V, +, -,\ \cdot \ )とは、以下のような条件をすべて満たす集合である。
(あらかじめ任意のa, b, c \in \mathbb{K}, \bm{x, y, z} \in Vをとる。)
以下の演算+, -, \ \cdotが存在する。
\forall \bm{x, y} \in V; \ \forall a \in \mathbb{K;}
閉じた加法\bm{x} + \bm{y} \in V
+: V^2 \to V
閉じたスカラー倍a\bm{x} \in V
\cdot:\mathbb{K}\times V \to V
逆ベクトル -\bm{x} \in V
-: V \to V
特殊なVの元として、零ベクトル \bm{0} \in Vが存在する。
定義された演算の満たすべき性質
(1) 加法に関して(V, +)は可換群
(a) 加法交換則 \bm{x} + \bm{y} = \bm{y} + \bm{x}
(b) 加法結合則 (\bm{x} + \bm{y}) + \bm{z} = \bm{x} + (\bm{y} + \bm{z})
(c) 加法零元 \bm{x} + \bm{0} = \bm{x}
(d) 加法逆元 \bm{x}+ (-\bm{x}) = \bold{0}
(2) スカラー倍に関して(V, \ \cdot \ )は(ほぼ)可換群
(g) 乗法結合則 (ab)c\bm{x} = a(bc)\bm{x}
(h) 乗法単位元 1\bm{x} = \bm{x}
notepad 乗法交換則は\mathbb{K}上の性質からすでに保証されることに注意
(ab)\bm{x} = (ba)\bm{x}
notepad 乗法逆元は存在しない。(ベクトルの除算は考えない)
(3) 加法と乗法に関して体
(e) 乗法から加法の結合法則 a(\bm{x} + \bm{y}) = a\bm{x} + a\bm{y}
(f) 加法から乗法の結合法則 (a + b)\bm{x} = a\bm{x} + b\bm{x}


この上で、以下の系が導き出せる。
0. ベクトル和とスカラー倍の関連
\bm{x} + \bm{x} + \cdots + \bm{x} = n\bm{x}
ただし、左辺にはn個の\bm{x}が並んでいるものとする。
数学的帰納法を使う。

1. 両辺の減算
\bm{x} + \bm{y} = \bm{z} \ \Rightarrow \ \bm{y} = \bm{z} + (-\bm{x})
(1)から導出可能 (群の性質)
2. 両辺の除算
a\bm{x} = \bm{y} \Rightarrow \bm{x} = \frac{1}{a} \bm{y}
(2)から導出可能
3. 零ベクトルの一意性
\bm{x} + \bm{y} = \bm{x} \Rightarrow \bm{y} = \bm{0}
4. 5. 乗法零元
0\bm{x} = \bm{0}, a\bm{0} = \bm{0}
6. 逆ベクトルの一意性
\bm{x} + \bm{y} = \bm{0} \Rightarrow \bm{y} = -\bm{x}
7. スカラー倍と逆ベクトルの関連
(-1)\bm{x} = -\bm{x}
8. 逆元の逆元 -(-\bm{x}) = \bm{x}
9. 因数分解 a\bm{x} = 0 \Rightarrow \bm{x} = \bm{0}\ \mathrm{or} \ a = \bm{0}
10. 通分 \frac{\bm{x}}a + \frac{\bm{y}}b = \frac{b\bm{x} + a\bm{y}}{ab}
11. 乗法単位元の一意性 a\bm{x} = \bm{x} \Rightarrow a = 1
12. 乗法単位元の一意性 a\bm{x} = b\bm{x} \Rightarrow a = b

おおよその関連性はこう