誰がためにアクセシビリティ対応をするのか?
Accessibility
Access(アクセス)+ -bility(可能性)
アクセスのしやすさ
利用のしやすさ
「アクセシビリティ」と聞いて思い浮かべる一般的なイメージとしては「障害者・非健常者」のためのもの
主に視覚障害者(のイメージ)
ただ、別に障害者対応することだけがアクセシビリティなわけではない。
いろんな人間が居ていろんなニーズがあることを理解する
たとえば急に自分が片手負傷したときに通常通りの両手での操作ができなくなるかもしれない。
そうなったときに片手だけでもどう操作できるのか?みたいな視点をもつこともアクセシビリティへの加担
どういった状況下でどういう人間が触れても問題ないことがアクセシビリティなのではないだろうか
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「アクセシビリティである」ということは何も操作をサポートするための意味ではない
Webという媒体にのるだけで少なからずアクセシビリティに加担できている
ここから更にどういった工夫できるかがWebに携わる人たちの課題である
そして差別化できる箇所でもあると思う
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色変更とか文字サイズの選択とかあればアクセシビリティじゃん?
それだけだと不十分
音声読み上げ
文字拡大
文字色変更
色について
ページ色の変更もそれだけではアクセシビリティ対応とは言えないのは上述済み
色覚異常の人は、色で重要な判断をされるとわからない
よくある指示
「ここは重要だから赤色でお願いします」
「赤が見づらい人どうするんですか」
無理に進めず、一旦立ち止まるのも必要
今のデザイナーは白黒のものから強弱さを考える特訓などしているのだろうか
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日本社会が今後高齢化の一途をたどるとした時にWebの利用者の平均年齢もあがってくる
後続はまた別(だと思ってる)
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そういう「いずれ訪れるであろう未来のため」に投資しておくのは悪いことではない
総務省統計局にその辺のデータがある
> 日本眼科医会は2030年には201万人と07年(164万人)から23%増えると予測している。
ちなみに障害者の差別撤廃は国が施策として取り組んでいる
そもそもユーザは何に対して
アクセスしようとしているのか?を明らかにしたい
何を知りたい?
会社情報とか
統計情報とか
商品詳細とか
検索結果とか
こういうのはUI観点での見直しもそうだけど、導線の引き方を考えねばならない気がする
そもそも健常者も理解できるものを提供してるか?
モーダルにおけるキャンセルどっち問題
自分たちでも難しく思えるのに、支援が必要な人は更にどうないせっちゅうねんとなる
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まずは万人に使えるよりも「そもそも自分たちが使えるか?」が達成しているかを確認してみる
実装での細かい話
テーブル実装
こういう rowspan
や colspan
があるテーブル
難点は合併すると「2年次単位」というのだけが読まれて、下の「文系」「理系」のヒモ付けができない
1つの正解としては以下みたいにするのがいい
そもそもテーブルのマシンリーダブルとヒューマンリーダブル保持はかなりしんどい
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こういったレスポンシブで th
と td
を display: block
とするのがあるが
これはスクリーンリーダーでは認知できない問題がある
alt
みなさんご存知の代替テキストと呼ばれるもの、スクリーンリーダーで読み上げてくれる
質問:この画像にaltつけるならどうつける?
文脈:アクセスページ内、「浦和駅西口から降りて6番バス停にお越しください」テキストあり
回答編(一例)
地図画像がなくても、そこにたどり着けるような情報が代替テキストで書いてあるか?が大事
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ビジネスのためのアクセシビリティ
「全体のパイを増やす」意識
アクセスできる人が増える
アクセスできるデバイスが増える
PV増加を考えれば有用
海外展開を考えるのであれば考えるに然るべき観点
逆に諸外国の人が自分たちの作ったサイトをきちんと理解できるように作っているか?
日本語って複雑な言語ですよね
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海外の事例
オートコンプリート機能
> イギリスの保険会社リーガル&ジェネラルグループは、障がいのある人々がアクセスできるようにウェブサイトを再設計したとき、オンライントラフィックを3ヶ月で 2倍にしました。12ヶ月以内に再設計のコストを回収しました 。
海外であるのと、ユースケース自体が強すぎるので参考にするには難しいが…
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日本企業のやっていき
スクリーンリーダー対応
アクセシビリティとは「手段」である
こういう施策をしていると公言するのは同業他社と差別化を図れるが
手段が目的となる危険性がある
私達はやってってるぞアピールをするだけ
規格に対応するために「何が必要か」を取捨選択せずに不要そうなものだけを切り捨てる
そういうのは手段を目的化してしまっている
あくまでも真の目的を忘れてはいけない
どこの誰でもが平等に情報へアクセスしやすいという意識
エンジニア側でアレコレやるだけでは足りない領域に思える
それはアクセシビリティに限っただけの話ではないが…
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むしろ他の職務とかを分け隔てなく参加できる領域だと思ってる
たとえばコンテンツ自体が導線を確保できていると
それに沿うデザイン設計にすればいいので特に苦労はない(はず)
「コスト」ではなく「チャンス」にしていきたい
全員が参加できて全員が良くしていける分野だからこそ
なにをやればいいのか
1. ページの内容がわかるページタイトルを記述する
2. 見出しやリストなどの文書構造をマークアップする
3. リンクテキストはリンク先が分かる文言にする
4. 情報を伝えている画像に代替テキストを提供する
5. 文字色と背景色のコントラストを確保する
6. ユーザーがコンテンツを拡大表示できるようにする
7. キーボードだけでも操作できるようにする
8. フォーム・コントロールのラベルを提供する
9. データテーブルの構造をマークアップする
10. エラーメッセージではエラー箇所を明示する
「基本を忠実に守る」だけでアクセシビリティの担保となり得る
今すぐは無理でも施策を建てて「XX年をめどに改善を行う予定」と書くだけでも前向きに検討する材料になる
色々と案件が重なる中で難しいのもあるが
直近のイベント
2018/11/25(日)
2018/11/28(水)
これの答えを各自で持ってもらうことを今日のゴールとしたい
そのほか
> アクセシビリティ対応はどの時点でやっていくのがいいか
やっぱり何事も最初からやるのがいい
途中から1つずつ直していくのはしんどい事が多い
そういった設計にし直すことができないフェーズになっていたりする
もし途中からでも見直しをしたいのであれば
この機能をアクセシブルにしていきたい
この部分をアクセシブルにしていきたい
このページにおいてこういうユーザ層を獲得したい
といった部分的な改修をしていくのがオススメ
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スタートアップが最初からその辺考慮してるの前例あんまきかんなーと思う
ビジネスとしてスピード感をもとめられているのもあるけど
国内で言えば地方自治体のサイトが頑張ってるらしいです
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現状、日本ではクレームを送ること自体はあまりないと思う
というのもそういったクレームを「どこにどう送ればいいか」の窓口がないため
ここで諦めてしまう
仮に送ったとしてもそれをどこまでどういうふうに対応するか、を明示してくれる連絡もあまりない
なのでクレーム(というよりは要望)自体はあるけど、声が届かない現状なのであります
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ただ海外だとそれが通用しないのは認識しておいてください…