> 平和な夜だった。
> 何事も起きていなかった。少なくとも人間にはそう見えていたのだ。
>
> そんな人間のもとに妖怪が訪れる。
> いつもなら妖怪退治は人間の役目だ。だがこんな『異変』が起きている
> と言うのに、人間は一向に動こうとしないので痺れを切らした、と言う。
> だが人間は、そのとき初めて『異変』に気が付いたのだ。
>
>
> 妖怪退治が役目の人間は、
> 『この異変』を、夜が明ける前に解決出来るだろうか、と言った。
>
> だが妖怪は言う、
> 『こんな異変』は、夜を止めてでも今夜中に解決させる、と。
>
>
> 妖怪は、月の欠片を求めて夜の幻想郷を翔け出した。
> 後を追うように人間も飛び出す。
>
>
> 魔を感じ、幻を打ち破る人間。
> 魔を遣い、幻を無効化する妖怪。
>
> ―― 二人は、夜を止める