高校 現代文 【檸檬】「私」の心情を理解する
鶴見大学附属中学校・高等学校 国語科
巻島美奈子
作品:『 檸檬』梶井基次郎
対象 :高3
・ロイロノートにて、心情語を配布
・なぜ『檸檬』を読むのか、考えてみる
・「心情語」の並び替えと整理にシンキングツールを用いる
単元の目標
・場面や情景描写から心情の変化を考える。
・鑑賞文を書き、自己と照らし合わせ、「生きる」を考える。
シンキングツール使用のポイント
座標軸 :表現について、「わかること・理解しやすいこと」と「わからない・理解しがたい」、「ポジティブ・明るい」と「ネガティブ・暗い」のように生徒に整理させる。
ベン図 :場面と主人公の状況を比較。ポジティブとネガティヴの二項対立を明示してもよいし、違う観点も考えさせる。
フィッシュボーン:どの風景や小道具によって、心情が変化し、丸善という「空間」や「場所」に向かうのか、整理する。
授業展開のポイント
段落ごとの場面の切り替え、心情の理解や感想をまとめ、自分と比較する。
作者の世界観を味わい、幻想的な表現について論証、鑑賞文を書く。
グループワークや、教室で一覧、比較し、できれば考察や理由も発表。
シンキングツールを用いる前に「初発の感想」をロイロノートに提出、読後授業後にも比較できるようにする
い
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展開1
初発の感想を大切にしながら、印象的な場面や文体やキーワードを抜き出し、共有する。
XチャートやWチャートなどで分類の具体例を示す。
・気になったキーワードを抜き出し座標軸で整理する。
・自分の感想をカードにしてまとめてもよい。
展開2
展開1を発展させる。
場面の理解、現在と過去の場面を確認しながら、段落の内容も確認する。
心情理解にシンキングツールを用いることを説明、あらかじめ生徒の状況にもあわせて、心情語カードを一斉に送信し、家庭学習につなげてもよい。
展開3にむけ、提出箱に各自で整理したシンキングツールを提出してもらい、クラスで可視化するのもよい。
展開3
いろいろなシンキングツールを使ってみて、心理状況と描写の関連や、五感に訴える表現にも注目させる。
なぜ、「檸檬だったのか」考えることにもつなげたい。
*どのツールが一番整理しやすいか、生徒に選ばせてもよい。
展開4
展開5
自分なりに整理した「主人公・私」の状況や、クライマックスの設定、『檸檬』を読むことでどのようなことを考えたか、まとめていく。
丸善を出て、また街に帰る「私」のその後などを考察してもよいし、正確な読解の後の、自由度ある「鑑賞文」に期待したい。
*まとめ
場面の描写や段落ごとの時間の移り変わりと「私」の心情については自由な読み取りもできるだろう。
読後の感想文には初発の感想と比べての、読み取りや、幻想的な状況や文体にも、生徒の興味が深まるであろう。