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高校 地理【withコロナの鎌倉の観光を考える】

齋藤 亮次(公文国際学園中・高等部 教諭/早稲田大学 教育・総合科学学術院 特別研究員)

授業の概要
新型コロナウイルスの第二波拡大も心配されるなか、医療や観光業への打撃も深刻化しています。日本有数の観光地「鎌倉」の新しい観光の姿を模索すべく、オンラインフィールドワークを実施しました。かねてからオーバーツーリズム(観光公害)に悩まされてきた鎌倉を、VR映像を利用・Zoomによるゲストスピーカーにも参加してもらいながら未来志向で分析し、All Onlineで創造的にカタチにしていく授業を検討しました。

パフォーマンス課題
鎌倉で活躍している3名の方々にお越し頂き、生徒は鎌倉市・生活観光課の職員に扮して「持続可能な観光の在り方」をデザインし、アイディアを提案します。最終的には、展開④に示したルーブリック評価にて授業の成果を振り返ります。

授業展開
発散と収束を繰り返しながら、「過去」と「未来」を繋ぐ流れを展開しました。
グループワークでディスカッションしながら進めていくイメージです。
プロットの頂点には、鎌倉の地域的な特色や現状のオーバーツーリズムの課題を踏まえた上で、アイディアを創造的に提案します。

1時間目

展開①発散:まずは観光地「鎌倉」の魅力をキーワードでブレインストーミングします。

展開②収束Xチャートにツールを切り替え、鎌倉の魅力を分類します。

展開③ひなたGISを用いて、鎌倉の土地利用や標高、ハザードマップ等を調べます。
観光地・鎌倉を自然的・経済的な側面からも理解します。
また、鎌倉が東京から1時間のベッドタウンであることも同心円チャートでまとめていきます。
ここから、鎌倉が観光都市であるとともに、東京の衛星都市としても位置づけられることを理解する。

展開④発散&収束ベン図を用いて、鎌倉の魅力を「市民」「観光客」の両側面から分析します。



2時間目

展開①発散:商店街の方々へのインタビュー記事等を参考にしながら、観光地「鎌倉」の課題をキーワードでブレインストーミングします。


展開②収束:ブレインストーミングで出した課題を、座標軸を用いて「住民・観光業」「観光客」というステークホルダー、「これまで」「これから」という時間軸で分類します。

展開③発散:過去のGoogle ストリートビュー/withコロナのVR映像を用いてオンラインフィールドワークを行い、観察調査を行います。気になったことは、鎌倉に関するゲストの方にZoomで質問してみます。

展開④収束KWLチャートでフィールドワークの成果をまとめ、「W:調べたいこと」については文献やインターネット、そして鎌倉に所縁のあるゲストの皆さんにZoomでインタビューを行います。


3時間目

展開①②発散→収束:課題に対する解決策をブレインストーミングして、座標軸で「重要度」「緊急度」で順位付けしていきます。
 

展開③④発散⇔収束:展開②で収束したアイディアのうち1つを選んで、くまでチャートで具体化していきます。具体かしたアイディアがそれぞれのステークホルダーにとってどう映るかを想像し(場合によっては聞き取り調査を行い)、PMIチャートで整理します。展開③と④は行ったり来たりしながら、アイディアをブラッシュアップしていきます。
 


4時間目
①グループ毎にフィッシュボーン図を作成し、「誰に?」「何を?」「どうやって?」という観点からアイディアを整理していきます。その際、合わせて「実現に向けての課題は?」という問いも投げかけることで、自らのアイディアを批判的に捉え、メタ認知能力も培えるように促します。

②それぞれのグループに対し、データチャートを用いたルーブリック評価を事前に提示します。「創造性」「実現性」「共感性」の3つの観点から、相互評価を促します。最後に、鎌倉に関するゲストの3名から講評を頂き、授業終了です。実際にお越し頂いたゲストからは、「ぜひ、実現に向けて継続プラグラムにしてもらいたい」とのコメントを頂きました。本内容は、日本地理学会・日本地理教育学会等を通して、発信していく予定です。

※上記実践は、早稲田大学地理学教室と共催した授業をもとに、「ロイロを用いた場合にはどんなことができるか?」という観点で再構成したものです。



実際に行われたオンラインフィールドワーク@鎌倉の様子は、教育新聞や学校HPでも紹介されました!

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