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中学校 社会【新しい権利をもとに人権について考える】

愛徳学園中高等学校 廣畑 彰久
新しい人権の学習をきっかけに、人権をどのように守っていけばよいのかを考えさせます。
ただ意見を出させても、他人ごとで当たり障りのない意見ばかりになりがちなので、シンキングツールを使って、誰が何をすることができるのかを具体化するのが目的です。

シンキングツールについて
教科書の記述をもとに、新しい人権について整理していきます。その際、 #ツールごとの使い方例 を使用して新しい人権が登場した社会的背景に目を向けさせるようにしました【展開1】。
#くまでチャート で意見を考えてもらい【展開2】、集めた意見を #Yチャート で整理しています【展開3】。今回は、プライバシーを守るために何ができるのか、個人・企業・政府にわけて考えるようにしています。文字の色を変えているのは、次にツールを切り替えたあともこの区別を残しておくためです。
出揃ったら、ツールを #座標軸 に切り替えます【展開3】。今回は、(すぐできる対策か・時間がかかる対策か)、という横軸と、(コストが高い・コストが低い)という縦軸を設定しましたが、生徒が自由に考えても良いと思っています。この軸に沿って、対策を並び替えます。
企業・政府の立場になり、対策を一つ選んで #くらげチャート を使って具体化していきます【展開3】。
パフォーマンス課題で企業・政府の立場から対策を発表します。聞き手は消費者・国民の立場から、それぞれの対策を #PMIチャート を使って分析し、発表者にフィードバックします。

題材について
人権について考える題材はたくさんあると思うのですが、時代や社会の背景をくみ取りやすいということで、新しい人権を題材としました。ただ、知る権利やアクセス権は生徒にとって身近とはいいにくいと感じので、この授業案では生徒が意見を出しやすそうなプライバシーの権利に焦点を当てています。  

授業の流れについて
【展開1】・・・新しい人権について情報の整理
キャンディチャートを用いる。左端の権利は、教科書の記述の中からピックアップする。真ん中も、教科書の記述からまとめさせる。右端の理由は、個人個人で考えさせる。
展開2以降は、プライバシーの権利に焦点を当てるため、①のカードをクラスで共有する。

【展開2】・・・プライバシーの権利が侵害される要因の書き出し
企業からの個人情報流出やGAFAの情報収集・独占、犯罪者に対するGPS装着の問題など、プライバシーに関係する現代社会の課題を生徒に紹介する。
その上で、展開1も踏まえて、くまでチャートにプライバシーの権利が脅かされる要因を個人で考え、列挙する。
展開3に備えて、列挙したカードをクラスで共有する。

【展開3その1】・・・プライバシーの権利が侵害される要因の整理と対策の書き出し
共有したカードをYチャートに入れ、どのような対策が考えられるかを班で相談しながら記述する。その際、その対策はどの主体が行うのかを考えて分類する。
主体に応じて文字の色を変更することにより、ツールを切り替えても区別できるようにする。

【展開3その2】・・・プライバシーの権利侵害の対策を整理
ツールを切り替えて座標軸を背景にする。その1で考えた対策を、班で相談しながら軸を基準として並べ直す。

【展開3その3】・・・プライバシーの権利侵害の対策を具体化 
その2の座標軸から、企業または政府が主体となって行う対策を任意で1つ選び、具体化する。選んだ理由を書き込んだ上で、足の部分に、誰に対する、どのようなタイミングで、どのように行う対策か、詳細を班で考えていく。

【展開4】・・・パフォーマンス課題による対策の発表
企業あるいは政府の立場からプライバシー保護のためにできることを、展開3のくらげチャートをもとに発表する。
聞き手は、消費者あるいは国民の立場から対策を評価する。その際、PMIチャートを用いて、良かった点、課題を感じる点、自分が考えた意見をそれぞれまとめる。チャートは、最後に発表者にフィードバックする。

【展開5】・・・個人の感想・まとめ
展開3の座標軸から個人で行う対策を任意で1つ選び、自分自身がプライバシーの権利保護のためにできることをまとめる。