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索引 ~の歴史
索引 ~の歴史




> 索引をめぐる物語は、冊子本や活版印刷の発明などの書物史とともにあり、情報処理の歴史でもある。索引が異端者を火刑から救った逸話、索引で政敵を挑発する流行、小説にも索引をつけた時代があったことなど、興味深いエピソードとともに、13世紀の写本の時代から今日の電子書籍まで連なるその道筋を描き出す。

>  索引が誕生する画期は、13世紀だという。キリスト教の修道士が人びとに説教するにあたり、また大学で学生たちが討論をし、文献からの引用をするにあたり、効率的に読書し、スピーディーに読み返すためのツールが必要となった。
>  当時は、この新しい技術が悪影響を及ぼすことが懸念された。索引に過度に依存すると、拾い読みが横行し、本全体を精読しなくなり、注意散漫になるなどだ。ネット検索や人工知能への懸念とよく似ていよう。
>  それでも索引は定着する。その理由として本書は「人生は短い」ことを挙げる。目当ての記述を探して、分厚い本を頭から繰るには、人生は短すぎるのだ。
>  索引が独立した作品であることも、本書を読むと理解できる。本文の流れとは完全に関係を絶って、事項・人物・主題をアルファベット順(日本語なら50音順)に機械的に並べる。どのような見出しを立項するかが、索引を作る側の腕の見せどころとなる。索引家は、政治家や論敵を当てこするために、「とんでもない愚鈍さ」「外国人への媚(こ)び」などの見出しを潜ませることもあった。

目次
第1章 順序について―アルファベット順の配列
第2章 索引の誕生―説教と教育
第3章 もしそれがなければ、どうなるのだろうか?―ページ番号の奇跡
第4章 地図もしくは領土―試される索引
第5章 いまいましいトーリー党員にわたしの『歴史』の索引を作らせるな!―巻末での小競り合い
第6章 フィクションに索引をつける―ネーミングはいつだって難しかった
第7章 「すべての知識に通ずる鍵」―普遍的な索引
第8章 ルドミッラとロターリア―検索時代における本の索引
結び 読書のアーカイヴ