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江戸の花
ハヤカワ文庫SF・短篇集『SFマガジン700【海外篇】』収録 http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/11960.html

概要
明治のはじめ、「江戸」から「東京」へと変わっていく街を実在の落語家・三遊亭円朝の目を通じて描き出した作品。

おすすめポイント
「江戸」から「東京」へ、失われるものと残るもの。
陰をもち東洋的神秘の息づく「江戸」から、ガス燈の立ち並ぶ西洋的で清潔な「東京」へと移り変わっていく様を、人情噺や怪談を得意とした名人・円朝の目を通して描くという構図がすごく好きな作品です。
作者ブルース・スターリングはウィリアム・ギブスンと並びサイバーパンクの中心人物とされていますが、本作ではサイバーパンク的な要素をまったく使うことなく、むしろ日本人作家よりも日本らしい「江戸」を描き上げています。
また、本作はスターリングの本国アメリカよりも先に日本で和訳版が発表された珍しい作品。SF要素は少ないように見えますが、読めばわかる通り、SF的な視点と考え方を活かした実にSFらしい作品です。

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