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樋口恭介さんの「瞬きと瞬き」の感想
樋口恭介さんの「瞬きと瞬き」の感想

小説の人称システムをハックする作品かと思いきや(もちろんそういう側面もあるのだが)、多重の「私」による、むしろ「私」の喪失のような不思議な感覚を覚えた。存在/欠落/欠落という存在。まなざされるものとまざなすものの輪廻。頭がぐるぐるひっかき回される

記憶の絶対的地位を解体することで、その不安定さが浮かび上がるが、しかし、他者の経験をあたかも自分のものであるかのように構築できる可能性もまた開かれる。あるいは、それはいつでも「語り直す」余地を持つ。