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『段落論』
『段落論 日本語の「わかりやすさ」の決め手 (光文社新書)』
(著) 石黒圭
出版社:光文社(2020/2/18) ISBN:4334044611
>段落を意識すると
>読み書きの力がぐんぐん伸びる!
>
>◎内容
>文章を書くことは「引っ越し」に似ている。
>部屋に散らばる無数の小物をそのまま運びだし、トラックの荷台にバンバン載せていくと、あとで崩れて大変なことになる。
>衣類、食器、文房具、おもちゃなど、種類別にラベルを貼って段ボール箱に詰め、
>それを荷台に積みこむことで、効率のよい引っ越しができる。同様に、文章を書くときも、
>書き手の頭にある無数の「文」を、「段落」という箱に整理して入れ、順々に運び出すことが大事である。
>読み手の頭という新居に荷物が届いたら、ラベルを頼りに仕分けして梱包を解けば、そのまま適切な場所にしまえる。
>文章による情報の引っ越しは、「段落」という箱の使い方にかかっているのだ。
>
>◎目次
>
>はじめに
>
>第一部…段落の原理
>
>第一章:箱としての段落
>・段落とは何か
>・段落は箱である
>・段落を箱と考えると
>
>第二章:まとまりとしての段落
>・話題による段落分け
>・段落の内部構造
>・中心文の統括力
>・パラグラフ・ライティングの限界
>
>第三章:切れ目としての段落
>・一段落つく
>・文間の距離
>・動的な過程としての段落
>・段落の開始部の文の特徴
>・段落の開始部の接続詞
>・段落の終了部の文の特徴
>
>第四章:つながりとしての段落
>・段落分けのない文章とある文章
>・跳躍伝導を可能にする段落
>・アウトラインの把握を助ける
>
>第五章:フォルダとしての段落
>・引き出しとしての段落
>・階層フォルダとしての段落
>・フォルダのしくみ
>・「流れ」と「構え」の出会いの場
>
>第二部…段落の種類
>
>第六章:形式段落と意味段落
>・形式段落と意味段落の区別の是非
>・「段」設定の意義
>
>第七章:絶対段落と相対段落
>・「段落連合」と「文塊」
>・「書くための段落」と「読むための段落」
>・「構造段落」と「展開段落」
>
>第八章:伝統的段落と先進的段落
>・「黒地に白」と「白地に黒」
>・段落の外部的制約
>・段落の内部的制約
>・囲み枠の段落
>
>第三部…段落とコミュニケーション
>
>第九章:読むための段落
>・文談を意識する
>・段落に区切る
>・段落と接続詞
>
>第十章:書くための段落
>・段落を作る
>・段落をつなぐ
>・小見出しを活用する
>
>第十一章:聞くための段落
>・話し言葉の段落の目印
>・話し言葉の段落の階層性
>
>第十二章:話すための段落
>・思考の橋渡しとしての段落
>・上手なプレゼンテーションの方法
>・教室の対話の段落
>・伝言の対話の段落
>
>第十三章:段落の未来
>・変容する段落
>・リンクと段落
>・文字の段落から画像の段落へ
>
>おわりに


文章の「流れ」と「構え」の交差点としての段落
>段落の作成方法には、複数の文をまとめて組み上げて作っていくボトムアップ式の方法と、全体のアウトラインをあらかじめ設計し、そのアウトラインを細かく分割しながら個々の文を収めていくようなトップダウン式の方法とがあります。しかし、このいずれかの方法だけで段落を作成することは難しく。私自身が本書を執筆する場合、ボトムアップ式とトップダウン式の方法を併用しています。

>執筆過程のなかで、その都度その場の文脈を考えながら一文一文生み出し、それを次から次へと継ぎ足しながら文章という一本の線を紡いでいくこと。これが文章を書くことです。このように、その場の文脈に合わせて即興的に考えながら文を継ぎ足していくボトムアップ式の活動を「流れ」と呼ぶことにしましょう。

>一方、文章を書く人なら誰でも、アウトラインという名の文章構成の設計図を持っています。用意周到な書き手であれば、かなりしっかりしたアウトラインを作り、それにしたがって文章を書いていこうとするでしょう。そうしたトップダウン式の活動を「構え」と呼ぶことにしましょう。

>「流れ」と「構え」はつねに拮抗する存在です。「流れ」が無目的に走り出そうとすると、「構え」がそれにストップをかけます。一方、「構え」が「流れ」を無理に押さえつけようとすると、「流れ」がそれに反発します。予定していた「構え」のとおりに書けないのは、設計図としての「構え」にそもそも無理があるためであり、「構え」を「流れ」に合わせて修正していくことで、自然な流れの文章ができあがっていくからです。このように、文章とは、「構え」と「流れ」の絶え間ない戦いの過程であり、両者の調整の歴史です。書き手によるそうした調整の歴史が文字として残り、それを読み手が文章として読んで理解していくのです。そう考えると、段落は「流れ」と「構え」が出会い、調整をする場だということになるでしょう。ボトムアップ式の活動とトップダウン式の作業がクロスする交差点なのです。
まるっきりシェイクについてと同じ話である。