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『妄想する頭 思考する手 想像を超えるアイデアのつくり方』
出版社 : 祥伝社 (2021/2/1) ISBN:4396617488
>ユーザーインターフェース研究の
>世界的第一人者による
>アイデア発想法の決定版!
>
>「新しいことを生み出したい」すべての人へ!
>「妄想=やりたいこと」を実現するための思考と戦略
>
>▼安宅和人氏(慶應義塾大学教授・ヤフーCSO) 推薦
>未来を生み出す思考法とは何か? その答えがここにある。
>この本はヤバい。歴史に残る名著だ。
>『イシューからはじめよ』の未来開発版そのものだ。
>こんな秘中の秘を明かして良いものなのか。
>未来を作りたいと願うすべての学生、大人たちへ。
>そして、ふわっとしたことしか思いつかない人はみんなこれを読むべし。
>ホンモノの発想となんちゃっての違いがここにある。
>
>▼石井裕氏(MITメディアラボ教授)推薦
>「妄想」は種。それを丹念に育て実体化すると「アイデア」という木になる。
>そして何百という木がその妄想から育つと、
>それは「ビジョン」という森になる、新しい時代の潮流となる。
>ヒューマン・コンピュータ・インタラクション研究の世界的リーダー、
>そして盟友 、暦本純一氏の独創力の秘密がこの一冊に凝縮されている。

目次
はじめに
序章 妄想とは何か
第1章 妄想から始まる
第2章 言語化は最強の思考ツールである
第3章 アイデアは「既知×既知」
第4章 試行錯誤は神との対話
第5章 ピボットが生む意外性
第6章 「人間拡張」という妄想
終章 イノベーションの源泉を枯らさない社会へ

2021/1/31
購入
読み始め

「はじめに」。発明は妄想から始まる。妄想は現在の在り方から地続きではなく、むしろ飛躍がある。だからこそ、それが新しいものを生み出す契機になりうる、と。

まず『行為と妄想』を思い出した。あと享楽と妄想の「近さ」についても思いを馳せた。では、本編。

「序章 妄想とは何か」。具体的な課題解決からではなく、自分自身の素朴な疑問からスタートするルートもありえる。非真面目型イノベーションと不真面目型イノベーション。真面目のアンチとしての不真面目ではなく、別軸としての非真面目。自分がやりたいことに集中する非真面目さ。

「第1章 妄想から始まる」。"妄想から何が生まれるかは、やってみなければわからないのだ"。それは一種の賭けであろう。実存を賭ける。さまざまな価値判断の手前にあって、考えずにはいられないようなこと。それが妄想。

「第2章 言語化は最強の思考ツールである」。主張を短く言い切ること。その言語化の過程で思考の整理が進む。そして仮説的に実行し、決着させていく。打率が低いからこそ、スピーディーに高速に回していく。

「第3章 アイデアは「既知×既知」」。妄想の幅を広げておくこと。集団は既知を広げるために活用できる。あと、集団で作業するにしても"どこかに責任を負う人間の孤独なプロセスを入れる"ようにすること。これはとても大切。

あと、グラウンド全体に傾斜をつける話で思いついたのは、「別にコートが左右対称になっている必要はないのでは?」という疑問。前半後半で入れ替えたら平等なわけだから、サッカーとかバスケットで左右のコートなりゴールなりの形が違っても面白いかも。

「第4章 試行錯誤は神との対話」。すごい章題だ。失敗が重要なのは、"自分が取り組んでいる課題の構造を明らかにするプロセス"だからという指摘はまさに。"天使のようなひらめきは、腕を組んで考え込んでいてもやってこない"。

「第5章 ピボットが生む意外性」。方向転換による、当初想定していなかったような着地点に至ること。これはとても大切な話であると感じる。

「そもそも論」と「らしさ」について。おそらく方向転換する各々のタイミングでどのような決断を下すのか、というのが「らしさ」を醸成するのだろう。「らしく」振る舞うことではなく、どう決めるかが「らしさ」の元になる。アイデンティティとしての妄想。

「第6章 「人間拡張」という妄想」。"妄想は欲望がないと生まれない"。"妄想は、現時点での最先端から始まるわけではない。むしろ、現実の世界に対して違和感を抱くところから始まる"。

「終章 イノベーションの源泉を枯らさない社会へ」。他人をキョトンとさせる妄想を語ること。そして、そうした言説を排除しない社会を築いていくこと。「選択と集中」はおおむねそれと逆の路線だと言えるし、「失敗を避けたい」という思いが社会の各レイヤーに浸透しているとも言える。