generated at
9827_注文の多い料理店・序(1)紅葉
森の中をひとり歩いていると、賢治の『注文の多い料理店』、とその『序』を、思い浮かべます。今日も紅葉のカーペットが見たくて、森の中へと、入って行きました。

昨年 [2016年)見つけた、山奥の公園です。公園の地面は一面、紅葉のカーペットでした。賢治の『注文の多い料理店』、とその『序』を、思い浮かべます( 2017.12.10
hr
>わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、
>きれいにすきとおった風をたべ、
>桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
>またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、
>いちばんすばらしいびろうどや羅紗(らしゃ)や、
>宝石いりのきものに、かわっているのをたびたび見ました。
>わたくしは、そういうきれいなたべものやきものをすきです。
>これらのわたくしのおはなしは、
>みんな林や野はらや鉄道線路やらで、
>虹や月あかりからもらってきたのです。
>ほんとうに、かしわばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかったり、
>十一月の山の風のなかに、ふるえながら立ったりしますと、
>もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。
>ほんとうにもう、
>どうしてもこんなことがあるようでしかたないということを、
>わたくしはそのとおり書いたまでです。
>ですから、これらのなかには、
>あなたのためになるところもあるでしょうし、
>ただそれっきりのところもあるでしょうが、
>わたくしには、そのみわけがよくつきません。
>なんのことだか、わけのわからないところもあるでしょうが、
>そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。
>けれども、わたくしは、
>これらのちいさなものがたりの幾(いく)きれかが、
>おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、
>どんなにねがうかわかりません。

hr