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Scrapboxは執筆には向いていない
執筆という「負荷の高い知的生産」にScrapboxを使ってみると、Scrapboxの向き不向きがよくわかる
椅子とかに負荷耐久試験してどこが壊れるか観察するようなもの

なのでScrapboxを使い慣れた人の間で「Scrapboxと執筆」というテーマで話題が盛り上がっている
だけど、これを見てScrapboxに不慣れな人が「Scrapboxは執筆に向いているんだ」と勘違いすると不幸になる
執筆のような認知的負担の高い作業をする際に、余計なオーバーヘッドのかかるツールを使ってはいけない

「Scrapboxは執筆には向いていない」という言葉の意図を明確にしておく
Scrapboxは、
有限のページ数の紙の書籍を、
ツリーで構築し、
きれいに清書して完成させること
には向いていない

有限の時間
執筆は編集者が決めた締め切りがある
もしくは締め切りがなくて「自分で締め切りを決めて進めないといつまでたっても出版されない」という状態
Scrapboxはテキストを生かしておく手段であり、執筆はテキストを殺していく手段

有限のページ数
Scrapboxは未接続リンクがどんどん生まれてどんどん広がっていく

ツリー
Scrapbox情報整理術では情報整理の歴史を3段階に分けて解説している。
書籍のツリー構造情報整理1.0、Scrapboxはネットワーク構造による情報整理3.0を志向したツール。
Scrapboxのデータを書籍の形にしていく過程で
せっかく細かく分けたページをまたくっつける
せっかく付けたリンクを外していく
という「自分が掘った穴を自分で埋める」ような拷問のような作業が発生する
今はリンクを外してコピーする「Copy plain」の機能が付いたから少し楽だが倉下さんはその機能がなかったので手で外したそうな。
最終的に編集者がテキスト形式で受け取ったのをInDesignで組版する。

清書
生きていたテキストを殺す作業

では何に向いているか

ツリー構造を持たせる必要がないエッセー集的な書籍
具体的には例えばオオタキラジオ /ootaki の500回記念に合わせて、過去の500件の中から選りすぐりの50件を選んで紙の本にする、など。
まだ締め切りや具体的な企画がなく、何か書きたいけど何を書くかが明確に決まっていない状態
Scrapboxに思いついたことをどんどん書いて「原稿を消してはいけない」をやれば徐々に何らかのものがたまっていく
それを見て、何を書きたいかが事後的に明確になる
そのプロジェクトを複数人で共有してもよい
公開でやるのが恥ずかしいと思う人はprivateでやればよい