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OKR
目標(Objective, O)と「主要な結果」(Key Results, KR)で目標設定をする方法。

日本には表紙にデカデカとOKRって書いた本OKR(書籍)があるので紛らわしいが、このページでOKRと言った時はその書籍のことではなくOKRという手法のことを指す。このページでこの本に言及する場合は原著のタイトルRadical Focusを使う。また書名を書かずにページ数で言及している場合は、GoogleにOKRを持ち込んだJohn Doerrの書いたMeasure What Mattersへの言及である。

OKRについて語る時、2通りの視点がある。一つは経営者の視点で、自分の経営する組織のメンバーにOKRを使わせるとどういうメリットがあるか考えるもの。もう一つは個人の視点で、自分がOKRを使うとどういうメリットがあるか考えるもの。Measure What Mattersの序文でGoogle共同創業者のラリー・ペイジは「管理すべきが自分だけという時代」にこの本があったら良かったのに、と語っている(p.2)。この個人の視点の方が大部分の人にとっては馴染みが深いはずなのでまずはそちらにフォーカスする。

目標」は、何を達成すべきか。ゴールと意図。
「目標を明確化しましょう」って話は、OKRに限らず色々な人が言っている。
OKRは、それを一歩進めてどのような形で目標を決めたらいいかを詳細化した。
>「ミッドレンジのマイクロコンピュータのコンポーネント市場で支配的地位を獲得したい」、これは目標だ
>今四半期の「主要な結果」の一つは「8085を使った設計を新たに10件受注すること」だ、これはマイルストーンだ。
p.42
目標と「主要な結果」を常にセットにする。

主要な結果」は目標をどの程度達成しつつあるかをモニタリングする為の基準。
計測可能でなければならない。(関連: SMART criteria)
「目標を計測可能にせよ」って話は、やはりよく言われること。
この「主要な結果」がどの程度達成されているかで進捗が分かる
「達成できそうな目標を立てる」のではない。「達成できるかどうか五分五分」な難易度にする。
(Googleの意見)コミットするOKRと野心的OKRを分ける。
コミットするOKRに期待される評点は1.0、野心的OKRに期待される評点の平均値は0.7だが分散は大きい。

p181 全てを達成することはあり得ない
100%近い結果を出す部門は目標が低すぎたと見なされ、注意される


p183 進捗と評点はイコールではない。
Googleでは、OKRの進捗はあくまで参考であり、自己評価や評点にそのまま使うのではない

p186
p176

(Googleの意見)活動ではなく、エンドユーザにもたらす影響を書く。

数値目標を立てる場合、品質目標と対にせねばならない。(p.87)
さもないと、質を下げて量を稼ぐようになってしまう

全ての主要な結果の評点が1.0なら目標の評点も1.0になるようにせねばならない(p.365)
これが良い考えかどうかはまだわからない

p.88 質の高いKRとは? インプットとアウトプットをペアにする
レースで勝利するという目的に対して
悪い:スピードを速くする
普通:平均スピードを2%速くする
良い:
平均スピードを2%速くする
風洞試験を10回実施


OKRと報酬は切り離す。(p.257)
OKRはあくまで目標を管理してモチベーションを高める手法
目標が困難であるほどパフォーマンスレベルは向上する。目標の達成率は低下する。(p.198)



経営者視点
OKRは「会社内のあらゆる組織が、同じ重要な課題に全力で取り組むようにするための経営管理手法」である(p.19)
全社員がそれぞれ自分のOとKRを言語化し、他の全社員と共有する

p123 上意下達の効果と弊害
p128 上意下達はほどほどなら組織にまとまりを持たせる効果があるが、すべての目標が上意下達で決まってしまうと弊害が起きる
p129 4つの弊害
機動性の欠如
指示を下ろすのに時間がかかる
指示が降りてくるのを待つようになる
柔軟性の欠如
変更が大きなコストなので変更を避けるようになる
コントリビュータが軽んじられる
最前線の従業員の意見が無視される
組織の連携が一面的になる
縦の繋がりだけで、部門をまたいだ水平連携が起こらない

p132 グーグルは(上意下達ではなく)市場主義的アプローチを取る。会社全体のOKRが周知され、一人一人のOKRも可視化されているため、時間の経過とともに全員の目標が収斂していく。

43 テイラーとドラッカー
142 会社全体のOKRを一人一人が作った話

OKRの4つの威力
Focus and Commit to Priorities
Align and Connect for Teamwork
進捗トラッキングし、責任を明確にする
Track for Accountability
第12章 驚異的成果に向けてストレッチ(OKR)する
Stretch for Amazing

OKRの4つの威力
第6章 コミット
チームワークを生む方法について議論されてるのはサイボウズ的に興味深い
組織のメンバーがバラバラな方法ではなく同じ方向の努力をすること
全社横断的グループウェアが存在していて検索ができることが有益に働くのと同じ効果がOKRでも発生する。アライメントが重要だが、アライメントのために統制するイメージではなく個々人が自分の目的を言語化することで「周りの人の目的」を知ることができ、事後的に連携が発生していく
第9章 連携
個々人が自分の目標を定め、社内で共有することで
p325 うまくいってないことをアピールする、手助けが得られれば自分の目標達成に有益だから
p166 他の部署の人の主要な結果が自分の目的に関係していることがしばしばある、連携することで自分の目的の達成に有益
第10章 進捗トラッキングし、責任を明確にする
トラッキングが可能であることで、状況の変化に適合させることができる
目標を設定してさらに週次の進捗を友人に送った人は、目標を立てただけで他人と共有しなかった人より目標を達成する割合が43%高かった p.176
第12章 驚異的成果に向けてストレッチ(OKR)する
13, 14章 ストレッチ


本家OKR本を読み返してて、4つの効果のうちのトラッキングだけピンとこなかったので掘り下げてみたのだけど、定量的な尺度があることによって「進捗率」という概念が生まれてドライブフォースになるのだな
p.175 「誰もが自分の進捗を〜パーセンテージのレベルで示して欲しいと思っている」