>競争よりも協力を重視する教育の一番極端なものは、様々な成績の順位をつけないというものだろう。日本でも運動会で順位が明確になる徒競走を種目に入れないとか、仮に徒競走をしても順位をあえて付けない、極端な場合は手をつないで全員一緒にゴールするというようなことをした小学校もあった。そういう教育慣行を小学校で受けた人たちは、競争を嫌い、互恵的になっただろうか。Ito, Kubota and Ohtake(2014)の分析結果は衝撃的だ。反競争的な教育を受けた人たちは、利他性が低く、協力に否定的で、互恵的ではないがやられたらやり返すという価値観を持つ傾向が高く、再分配政策にも否定的な可能性が高い。おそらく教育が意図したことと全く逆の結果になっているのではないだろうか。