PICSYを実装する際の課題と展望
実装に当たって気づいたことがある者は、ここに追加していっていただきたい。
1.パーミッションフルの改善
2.計算量の改善
PICSYでは社会に参加している人間の人数をNとして、N×Nの行列を計算する必要があるが、
仮想中央銀行法では、中央銀行からのソーシャルミニマムを仮定しており、ベーシックインカムの二重受給を防ぐ必要がある。
PICSYには、PICSYに参加している人間の正確な人口を把握する術、もしくはソーシャルミニマムの設計自体を変更する必要がある。

はPICSYのコアシステムとしての
ソーシャルミニマムを廃止し、パーミッションレスな構造へ移行することを提案する。
仮想中央銀行から人iへの評価を、C_i /Nと設定することで、正確な人口の把握の必要がなくなる。
これは、中央銀行(社会)からの評価を社会への貢献度に比例する形で設定するものである。この方法では、社会に対する貢献度が高いものほど優先的にPICSYが渡される。複数アカウントで受給したとしても、それはその人のそれぞれのペルソナに対して社会が適切に評価したと考える。
問題点としては、富める者がより富むということになる可能性がある。生まれたての子供は十分に受給できない可能性がある。そのため、それぞれのCompany(例えば国や会社単位)でソーシャルミニマムや福利厚生を実装することで補完する必要がある。
感想
今回の説明は「仮想中央銀行法」を使う想定なのかなと思う

追記:仮想中央銀行法は中央銀行法の上位互換として紹介されていたので、仮想中央銀行法を使う前提で論を進めていました。
3つの方法の比較はp.99
今回の提案は
パーミッションレスにしたいという目的のために第四の方法を提案したということだと思う
これはPICSYが生まれたときにはまだなかった文脈に対して新しいPICSYが適応しようと変化しつつあるのだと思ってて個人的にはすごく面白いと思う

今後、第五第六の方法が生まれて最終的により良いものが勝ち抜いていくのかなと思う
そもそもこの「
自然回収」自体が、

のよくいう「
徴税」に相当すると思うんだよね

Web3界隈では税の取り方の議論もだいぶ盛んだという認識
ここら辺の文脈を取り込んで新しいより良い方法が見つかるかもしれない
追記
確かに、自然回収が徴税で、中央銀行からの評価がベーシックインカム(一律ではないが)と言い換えることができそうです。自然回収率γを設定することで税率を調整することができますが、徴税方法もなめらかに移行できるように設計しておけばいいと思いました。γの値もガバナンスで調節できるように設計する必要があると考えています。
PICSYでは決済されるたびに巨大なN×N正方行列の固有ベクトルを計算する必要がある。
スーパーコンピュータ「京」注2)で100万×100万の行列での固有値計算を行った結果、これまで1週間程度必要だと考えられていた計算を、わずか1時間で計算することに成功しました。
N=100万の行列をEthereumなどのブロックチェーンで処理するのは現実的ではないため、行列の並列計算によるグリッドコンピューティング、貢献度の入れ子構造、などデータ構造を考えなおす必要がある。
ある行列Eの固有ベクトルcを計算するには時間がかかるが、あるベクトルcが行列Eの固有ベクトルかを確認するのは1回の計算ですむという特徴がある。これはPoWの特徴を満たしている。
詳細には、計算の難易度を調節したりする必要があるのだが、PoWの計算リソースをPICSYの行列計算に充てるという発想は新しくデータ構造を考え直す際に役立てば幸いである。
感想
密行列の固有値問題を並列計算でなんとかしようするのは無茶な気がする
上記スパコンの記事みたいなことの達成が話題なるのは並列計算でO(N^3)より小さくするのができてないから
しかし逆に考えると、O(N^3)でN=100万のとき1時間なのだから、N=1万なら雑な見積もりで4ミリ秒
今の暗号通貨がもっとゆっくりした時間解像度で有用に機能してることを考えると、1インスタンスで1万人さばくPICSYサービスを提供するのは余裕なのではと思う
そうなると「1万人のPICSYインスタンス」の間で価値をやりとりする「PICSY of PICSY」的なものがあればいいのかなという気持ち
1万人ホストできるサービスを立ち上げることによって、その貢献に対する暗号通貨が得られるという形になればいくつもホストが立ち上がって、社会的に密に繋がってる人が同じホストに接続する形が多くて、上のレイヤーでのコストが効率的に削減されるかもしれない
人間の取引のネットワークが、ランダムなネットワークではなく局在した取引が多い性質を持っているだろうから
口頭でも「異なる通貨の間での価値のやりとり」の議論がされてたけど、Web3でのその辺りの概念がPICSYの文脈に応用されるといいのかもしれない
追記
PICSY of PICSY