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Gyazo UXリサーチ

概要
スクリーンキャプチャ共有ツールGyazoのUXリサーチを実施した。
ユーザの実態やプロダクトの問題が明らかになり、メンバーの意識合わせに大きく貢献できた。


背景
現在ゲーマーにターゲットを絞っているGyazoに関してたくさんの機能アイデアや仮説が出ている。ところがターゲットユーザの情報を開発メンバー間でイマイチ実感として共有できていない。(理屈では理解できるが、感覚として共感を感じない)。なぜならメンバーはターゲット(= ペルソナ)とは異なる生活を送っているから。仮説検証のためにいきなりMVP(必要最低限の機能を備えたプロダクト)をリリースして試すことは手段の1つではあるが、それでもやはり時間はかかるし精度は低い。そこで現状を把握するために簡単なユーザー調査を行った。


知りたいこと
1. ターゲットの現状のGyazoの用途
何をキャプチャーしているのか
なぜキャプチャーしているのか
どうやってGyazoに出会ったのか

2. ゲーマーの生態系
何に価値を置いているのか
どういうゲームライフを送っているのか
ゲーマーがスキルや知識を共有するモチベーション

方法
定量調査 (定量的に傾向を把握)
SNS上で共有されているゲームスクショを収集して傾向を分析
定性調査(定量結果の理由や感覚を分析)
Gyazoを使っているプロゲーマーにインタビュー


定量調査
今回はGyazoが利用されるプラットフォームとしてRedditを選択。メインユーザ層であるゲーマーが、Redditのゲームコミュニティ内でGyazoを使ってスクショを共有する事例を100例集めた。
結果、以下の10パターンの用途が浮かび上がった。
HELP(ヘルプ) : エラー表示や、設備、ゲームのプレイ方法などについて助けを請う投稿。
REPORT(報告) : バグや追加機能など、コミュニティ内でまだ知られていないであろう発見の共有。
DISCUSSION(議論) : 自分の分析や意見に対し、コミュニティ内での意見を求める投稿。
CREATION(創作): 自分が作った創作物を紹介する投稿。
KNOW-HOW (ノウハウ): ゲームのノウハウ紹介。
PRAISE-ME(褒めて!) : 見事なプレイや自慢したいシーンの紹介。
IDEA(アイデア) : ゲームの仕様に対するアイデア。
FUN(おもしろ) : 笑いを誘うおもしろ投稿。
SELF-INTRODUCTION(自己紹介) : 自己紹介やゲームの設定共有
INVITE(招待) : ゲーム内のイベントへの招待


ゲームなのにまるで仕事のような実用的な用途
質問や報告、議論などシリアスな場面での実用的な用途が大半を占めた。
キャプチャーは複雑な文脈の一部として使われており、参照や証拠の役割を担っている。
開発陣の中ではもっとライトな使われ方が想定されており、これは新しい事実だった。
明確なヒエラルキー 主役はテキスト
あくまで主役はテキストであり、画像は補足資料の役に徹している。ヒエラルキーがはっきりしている。優先度はテキスト >>>> 画像。
読む側もそれを望んでおり、文章本体から視点が離れることを嫌っている。文脈から逸れて画像を閲覧するのを避ける方法を取っている。
1つの文の中に複数の画像が使われるケースも多い。比較や追記など。
読み手は顧客
画像は記述内容に対する読者の信用や理解を促進するために使われている。書き手は自分の記述をきちんと読んでもらうために必死。読者が負担を感じないようにかなり気を使っている。
画質の悪さを謝っているケースも多々見られる。書き手にとって読み手は本当に大切な存在なのだろう。(もしくは怖い)


定性調査
Notaがスポンサーを担っているアメリカのプロゲームチームから7人を抜粋。
現在のGyazoの使い方や彼らが抱えている問題を中心にインタビュー。
特に気になったのはGyazoでスクリーンショットを撮影する瞬間のモチベーション。
スクショを撮るその先にある目的のようなもの、それがなんなのかを突き止めるのが主な目的。
音声の記録にはRevを利用。かなり使いやすかった。

結果
Gyazoの利用モチベーションは愛と野心に溢れている
多くのユーザが、キャプチャの共有のモチベーションとしてファンやコミュニティの「笑顔」を挙げていた。
自分を見に来てくれた人を少しでも楽しませたいと。
自分の能力で世の中の状況を少しでも良くして、しかもそれでお金がもらえるなら最高だ という雰囲気
つまり我々の最終ターゲットはGyazoユーザーと言うよりは、その閲覧者だと言える。
彼らを幸せにすることが、Gyazoユーザをも幸せにする。
ものすごく自己研鑽している
まさにスポーツ選手に対するインタビューのようだった。
研究・そして練習の積み重ね。
自分のスキルとパフォーマンスとビジネスについて真剣に考えている。
プロ意識を感じた


まとめ
定量調査からはこれまで把握できていなかった使い方を知ることができた。
定性調査からは定量調査の結果を裏付けるような、Gyazoの利用動機について知ることができた。
これまでにwebアプリに注力してきた開発陣と、ネイティブアプリを中心に利用を重ねるユーザーとの間に大きなギャップを発見できた。
これにより、具体的な機能アイデアやデザインについて評価の指標を立てることができ、コミュニケーションが円滑になった。